いちご狂さんのマイページ

レビューした作品

アドバンスドレビューアー

女性いちご狂さん

レビュー数39

ポイント数223

今年度40位

通算--位

  • 絞り込み
条件

指定なし

  • レビューした作品
  • 神作品
  • 萌×2作品
  • 萌作品
  • 中立作品
  • しゅみじゃない作品
  • 出版社別
  • レーベル別
  • 作品詳細
  • レビューした著者別
  • レビューした作画別
  • レビューしたイラスト別
  • レビューした原作別
  • レビューした声優別
媒体

指定なし

  • 指定なし
  • コミック
  • 小説
  • CD
  • DVD
  • ゲーム
  • 小冊子
  • GOODS
発売年月
月 ~
レビュー月
表示モード

清居視点が面白い!

清居視点が読めます。
平良のことをどう思っていたのか、テレビの中の人になりたいと思った子供の頃の寂しさ、独占欲。
「一生持って歩くバッグの中身は意外と子供のころから入っているものが多い」
私はこの言葉がすごく刺さりました。
本当にそう思う。
清居のバッグの中身を少し見せてもらえた時、なぜ平良のことをこんなに好きになってしまったのか納得させられました。
噛み合ってしまった平良と清居のこの奇跡的な出会い─── 平良の熱狂的なあの目でなければダメなのだということ。
この清居視点を読むともう清居が可愛くてですね。
空回りに意地っ張りに嫉妬、恋してるなぁ。
あと、「びびり」って言った時の笑顔が可愛すぎる。
せっかくこれで付き合えると思ったら、平良の拗らせ大発揮。
怖い...真性の信者(一兵卒)の思考恐るべし...!
意味のわからなさにえぇ...?となるんですが、それに対する清居の心の声というかやりとりがおもしろいんです。
笑うところじゃないんだけどなんかコミカルで、ひらきよ節だなと思ってしまうというか。
思うんですけど、ネガティブは置いといて平良の頑強で意味不明なマイルールは一人っ子でご両親が優しいというのも影響しいてるのかな。
優しく見守ってくれるから、怒られなかったから、尊重されたからこういう平良が出来上がったのかな...なんて。

おっ?となったのがエビコロ。
ドラマだとエビのしっぽがついていたのでああいうフォルムの食べ物なのだと思っていたんですが、漫画だと見た目は普通のコロッケです。(平べったいコロッケじゃなくて俵型)
これエビコロだよね?お母さんがエビフライって言ってたけどこれ(エビコロ)のことだよね?って一瞬考えてしまいました。
エビのしっぽがついたものを先に見てしまったのであれ?となったけど、清居が食べるまでコロッケだと思っていたのを考えるとエビのしっぽがついていない北野先生が描かれたものが凪良先生のイメージに近いのかもなと思います。

小山くんのことも触れておこう。
正直清居以外でこんなに平良のことを好きになってくれる人は小山くん以外もういないと思う。
平良のことが好きだからこそ清居のことを悪く言ってどうにかこのままの関係でいてもらえるようにと足掻いているの、嫌な奴かもしれないけど私はそれだけ好きなんだなと思った。
ひらきよが強すぎてどうにもできないしどうしようもないし、応援してあげられなかったけど、いい子だし彼のおかげでまた平良と清居の関係が動き出したターニングポイントとなるキャラなので、平良とは残念だったけど幸せになってほしいなと思います。

水を使った表現が美しい

清居が小学校の文集にアイドルになりたいと書いていた理由が分かります。
そして卒業式。
“雨だれみたいにぽつぽつと降る”会話という表現のあとの、水溜まりを踏みしめて水が跳ねる描写がすごく好きで、その後の清居からのキスと水溜まりに映る2人の表現がとても素敵で印象に残りました。
コマ割りも、相変わらず見開きを使ったページがあり、単調にならない割り方をされていて見応えがありました。
ただちょっとあれ?となったところがあって。
私の記憶違いかな?
小説の記憶なのかドラマの記憶なのか、色々ごちゃまぜになってしまっていてよく分からないんですが、この清居からのキスシーン、清居が平良にキスしたあとに平良を突き飛ばしていた記憶があるんです。
でも、漫画では落ち着いていて...。
実は清居はファーストキスで、恥ずかしくて突き飛ばしたっていうエピソードがあった記憶なんですが...コミカライズは原作に忠実なはずなので、あれはドラマの設定なのかな?
それとも私の勘違いなのかな?
記憶力が乏しくてどの媒体の情報か把握しきれていないことを思い知らされました。

キスをした卒業式から平良は清居と会わなくなり、大学生編に突入です。
平良の思い込みが強くてネガティブすぎるからこんなに清居と関わらずに月日が経ってしまったよ.........。
平良は大学の写真部の小山くんに告白されて、たまたま清居は男だったけど自分がそっち側か分からないことをはなし、そのままの関係で一緒にご飯を食べたりして過ごしている。
平良の別れの挨拶が「またね」や「じゃあ」ではなく「さよなら」なのが気になった小山くんとの会話のお陰で、清居のあの言葉には「また」があったということなのでは?とやっと気づく。
平良はキスもあの挨拶も最後の挨拶だと思っていたんですよね...。
あのキスも、同情でしてくれた“お情けのキス”だって思ってる。
お情けでキスなんかしないでしょ?!そんなわけあるか!って思うけど、平良には通じない。
「さようなら」の方が「じゃあ」より寂しくないと思ってしまうくらい清居の「じゃあ」がショックだったんだろうけど、普通は「じゃまたな」をこれきりだとは解釈しないですよね。
「さようなら」と言われたら時は、もしかしてこれで終わりかと思ってしまうけど... 怒ってたからきっとそうなんだって思い込むあたり平良のネガティブが炸裂です...。

小山くんと過ごしている時間が長くて情が移ったのかな?それと清居を忘れたいという気持ちが重なって、平良は一時は小山くんと付き合おうと考えていた。
もうなんていうか清居が可哀想...あのタイミングで再会できたからよかったけど。
小山くんも...本当に平良と清居の再会が告白する前でよかった...告白後だったら可哀想すぎる。
申し訳ないけどひらきよが早く見たすぎて小山くんを応援してあげれなかったんだけど、挨拶の意味に気づかせてくれたのも小山くん、舞台に誘ってくれたのも小山くん、小山くんに助けられすぎ、ありがとね...。
平良とは無理だったけど、幸せになってほしい。

素晴らしい表現力...

私はこの作品を電子で読んでいて、基本的にはタブレットを縦に使った1ページ表示で読むスタイルなんですが、今回はそれだと勿体ないと感じ、横にして見開きで読みました。
効果的に見開きを使って描かれたページがあるのはもちろん、コマ割りが見開きで見た時に美しいよう考えて配置されているのが感じられ、1ページ表示で読むのは勿体ないなと思いました。

好きなところその1。
ファミレスで、清居の前に空になったドリンクのグラスが沢山並べられているところ。
平良が清居の飲み物がなくなる前にせっせと入れて渡したんだろうなと。

好きなところその2。
清居がコンテストで優勝できず、1人こっそり拗ねているシーン。
普段は見れない表情が見れて貴重。

好きなところその3。
“架空のさえずり“という表現。
さすが凪良先生だなと感じました。
こんな文才私には1ミリもない。

好きなところその4。
平良に手の甲にキスされた清居が、驚いて手を引っこめたり慌てたりせず、動じずにキスされたまま会話するところ。
“清居奏!!!”って感じでとても好きです。(語彙力)
そして清居をすごく綺麗だと連呼する平良に、私は「北野先生綺麗です...上手い...北野先生がコミカライズしてくださって本当によかった.........」と絵と画面の美しさをしみじみ噛み締めました。

好きなところその5。
2度目の手の甲へのキスの許し、1枚まるっと使って描かれた光景。
神々しい............!
あ~~~~漫画で見れてよかった...好き.....................。

トマトジュースをかけられるところと平良が城田を殴るところは原作未読だと少しだけ分かりにくいかもと思ったんですが、それを差し引いても大満足です。
本を読むのが遅い人なんですが、面白くてすぐに読み終えてしまいました。

すっき……

小説がコミカライズする時、原作挿絵のイラストレーターさんとは違う方が作画担当されることって割とありますが、なぜこの作家さんに?とがっかりしてしまったり、読んではみたけど続きはもういいかなと思ってしまいがちで、なんとか挿絵と同じ方でお願いしたいと思う派です。
ですが、こちらのコミカライズは素晴らしい!
原作と作画担当が違うコミカライズの大成功例だと思います。
まず絵が素敵!
葛西先生の雰囲気も感じる繊細さを備えた綺麗な絵で、しかし葛西先生がコミカライズされていたらこういう描き方はされなかったんじゃないかなとハッとさせられる描き方で見せてくださっており、小説の雰囲気を上手く漫画に落とし込んでいて、お上手で関心しきりです。
わ!この構図素敵だな!というものがいくつかあり、読みやすいし面白いし発見もありました。
原作ファンの方は葛西先生のあの挿絵の世界観のファンも多いと思うのですが、小説には葛西先生版のよさが、コミカライズには北野先生版のよさが出ていて甲乙つけがたいです...ありがたいことです...。
あと、小説をコミカライズするとどうしても端折られがちで、原作未読で読むと話が飛んで感じてしまうこともありますが、こちらはとても丁寧です。
原作未読の方でもストレスなく読めると思います。
その分進みはゆっくりで、原作1巻の序盤の方だけの収録だったので、長編大作になりそうな予感がします。

私は原作やドラマCDでは平良のことをキモウザくてネガティブだけど我の強い清居への信仰心がすごい陰キャだと感じていて、可愛いとは思っていなかったんですが、北野先生の描かれる平良の表情や行動からは可愛さを感じることができました。
「行ってきます」の表情や綺麗なお辞儀、おでこに「キヨイソウ」とマジックで書かれ嬉しそうに走るシーン(あのコマとても構図のセンスがいいと思う)、清居に恋してる顔...頬を染めた顔や、目がキラキラしているのが可愛くて、新たな発見が出来ました。

清居がキングたる所以は、その見た目の美しさやカリスマ性だけでなく、人をよく見ているところもあると思います。
スクールカーストものといえば容赦のない虐めが多いけど、加減を見極めてすくい上げてくるのが...有象無象とは一味違うなと感じさせられます。
私は清居がいつも一定の、どちらかというと静かなテンションで、王様のようでいて空気を読んでいたり、でも思ったことは言うところが好きなんですが、「なんで俺が知らない女に謝らないといけないの」がほんっっとにな......で。
あの後の城田達のぽかんとした顔がお上手なので、無自覚って恐ろしいな、よくこんな顔ができるよなって思いながら眺めてしまいました。
清居は何も悪くないよ、どう考えても城田が悪いよ...。

あ~~~もっと早く読めばよかった!
これからはリアルタイムで追います。

凪がれ星 コミック

ミギノヤギ 

心が弱っている人、読んでみてほしい

前半に感じた感想と後半に感じた感想が違って、読み進めて時系列が巻き戻って、あの時の槇人の境遇や感情を知ったあと、知らずに読んでいた時とは評価がガラッと変わった作品でした。

1度目のそういう雰囲気は雨宿りでのラブホ。
天惺が勃っているのを見て槇人が抜こうとするんだけど、普通はそうならないだろう?BLに都合がいい展開だなと思ってしまい、2回目のそういう雰囲気が来る時も互いに想い合ってはいるのだけど、結構サラッと両思いになったなと感じて、私は合わない作品かも…と思ったんです。
別にゲイではない者同士なので普通は葛藤しそうなんだけど、2人ともそういうのは全然なくて、川の流れに身を委ねるように(?)…それが自然かのようにヤるし、くっついてしまったなと思いました。
その“2人の中の自然さ”が当初の私には説得力が足りず不自然なBL展開に感じてしまい、特に槇人がなぜここまで天惺のことを好きになったのか汲み取りきれず、空気感は好きなのだけどハマりきれなかった…のですが、それを後半で覆してもらいました。
あぁこれは…この背景を知った上でまた読み返さないといけない作品だ…!好きだな、と思いました。
最初に感じた合わないかも…が、ここまで綺麗に覆されて驚きました。
今何かで心が弱っている人は、読むと槇人の気持ちに共感してしまうんじゃないかな。
弱った心のときに掬い上げてくれる存在のありがたさ、天惺の安心感に救われた気持になりました。
天惺って不思議な魅力がありますよね。
テンションに浮き沈みがあまりなくて常に一定で落ち着いているのだけど、けして感情が薄い訳ではなくて、素直で優しい、独占欲(愛)が強い人。
感性が他の人とはちょっと違うところも素敵なポイントだった。
メンタルが弱った人にピッタリハマる要素を兼ね備えすぎだと思う。
こういうキャラ好きだな。

途中から登場した羊介も瀬田もいいキャラだった。
2人が出てくると場がわちゃつくのが楽しくて、天惺といるときの槇人とはまた違う絆を羊介と瀬田と槇人の間に感じられました。
そして、羊介が可愛いです。
俺様そうな見た目からは想像しなかった純粋さと不器用さのギャップにやられました。
episode0よかった〜!
芸名カタカナに変えたのはマキがカタカナだからなのかな?可愛いなー。

ストーリーとは別に、作品内で萌えたのは後ろをほぐす時にゴムをつけていたところ。
指にゴムをつけてくれるだけで萌えるのに、ほぐすのにゴムを複数枚使う丁寧さ、こういうの大好物です。

槇人の火傷痕は事故らしいんだけど、事故の件についての掘り下げはないので、なぜあんな目にあったのかは最後まで不明です。
もうちょっと詳細が知りたかったけど、それでも面白かったです。

予想外!

こんなお話だとは思ってなかった!!!
一言で言うと、“予想外”が多かったご本でした!
この表紙から想像していなかった仄暗いお話だし、最後にも驚いた。
大島先生の作品を遅ればせながら読ませていただいているのですが、すごく好きな作品と刺さらない作品があって、本作も途中まであまり刺さらなかったのでこれは合わないのかな…と思ったんですが、後半一気に面白かったです。

ロバートを助けられなかったと後悔していたエリオット、でも私がエリオットでも同じことをしただろうと思う。
助けたいのにあと一歩の勇気が足りなかったってことは大なり小なり案外多くの人が経験したことがあるんじゃないかな。
後悔を抱えつつも薄れていくというのもある意味人間らしいので、そういう人間らしい弱さのあるキャラクターなのかと思っていたら、違っていて。
次こそって、ずっとずっと後悔していたんだと思う。
心に誓っていたから、咄嗟にそうしてしまったんじゃないか。
ロバートといることで影の道を進んでいくこと、ついに一線を超えたエリオットの愛情、完全に足を踏み外してしまった結果に驚いたけど、2人で逃げる決意が不謹慎にも好みで。
ロバートはこんな境遇でさえなければそもそもこういう道にはいなかっただろう優しい人なので胸が痛くて。
裏社会のお話が好きな人は読んでみてほしいです。
この選択が幸せかは難しいけど、この選択をしたこの2人が私はとても好きです。

雄大の気持ちがいつ変わったのか

絵柄がとても好みでした。
3人ともタイプの違う男前で、私は雄大が好みです。
駆→ 雄大→涼→女子生徒の一方通行の恋が、駆⇄雄大になるまでのお話。(描き下ろしでお付き合い後のデートあり)

元々は雄大と涼が幼なじみの仲良し2人組で、雄大→涼だったのだけど、とあるきっかけで雄大と涼に駆が構われるようになり、気づけば仲良し3人組に。
なぜタイプの違うクラスでも浮いた存在の駆と仲良くなろうと思ったのかは、駆が絵を描いていたのが気になったというのもあると思うけど、雄大の正義感と人のよさと真面目さが駆を放っておけなかったからが大きいと思う。
周りをよく見ているいい子なんです雄大。
そして涼も、自分も雄大に助けられた過去があるから、雄大が気にかける駆のことが気になったんだと思う。

涼への気持ちを秘める雄大は、寝ている涼に触れているところを駆に見られてしまい、黙っていてくれと頼みます。
この時すでに雄大のことが好きだった駆は、男が好きな訳じゃないけど涼が特別だと悩む雄大に、自分はゲイだと告白する。
自分の気持ちは秘めたまま、俺も話したから雄大も話してよと相談相手に。
そして、彼女が出来た涼に嫌な気持ちになるけど、まだ恋愛感情なのか分からないという雄大に、試してみたらわかるんじゃない?と手淫します。
その翌日、涼が彼女と寝たことを告白してきて、駆は雄大に誘われまたえっちなことをする。(解すまでで挿入はなし。)
その後も雄大に誘われ、雄大の家で手淫。

……雄大ってどのタイミングで駆のことが好きになったんだろう?
涼が彼女と寝たと聞いたあと誘った時、既にあまりショックじゃない自分に気づいていたんだろうか?
2回目の時はもう好きだったんだろうか。
チャラそうな見た目に反して真面目な雄大が、なし崩しにこういう関係になったり、挿れたいと言ったりするかなぁとひっかかるのでタイミングが知りたいんだけど、読み返してみてもはっきり分からない。
雄大って涼への気持ちは一時はラブだったんだと思うんですけど、気づいた時には駆のことを好きになっているんですよね。
いつ、駆のどこを好きになったのかがフワッとしていたのが惜しかった。
あの教室でのキスは嫉妬でいいのかな。
あと、ゲイじゃないけど涼が特別...ということだったのに、続けて男の駆を好きになったのは実はバイだったということなのか特別がたまたま2回続いたのかどっちなんだろう。(後者かなぁと思う。)

因みに、えっちなシーンはありますが、手淫(と後ろをほぐす)のみで合体はなしです。

この表紙みたいに3人にはずっと仲良しでいてほしいので、どうか末永くお幸せに。
BLを読みながら別れた時のことを考えるってあまりないんですが、3人組なので雄大と駆が別れたら面倒そうだな...涼が大変そうだなと思ってしまいました。

Kindle→白抜き

三者それぞれの救済のお話

なぜこんなに評価が少ないんでしょう?!大好きなんですがっっ!!!
読んでいらっしゃらない方がいらしたら是非!!
読み始めて数分、えっ……えっ?!ってなりました。
何このトライアングル...!
こういうの大好き!!!

家庭環境のせいで自己価値観が低く、心の拠り所がない御幸は、他者からの承認を求めて自分を必要としてくれる人を探しては尽くし、それを愛だと思っている。
尽くさないと愛されない、そしてそれでも捨てられる。
彼女にお金を散々貸した末、他に好きな人が出来たとフラれ、次なる拠り所はバーで声をかけてきた笹口で。
行為の最中に鼻と口を塞がれ呼吸困難になった御幸は、暴力を奮いたいという欲望を抱きながらひた隠しに生きてきたという笹口が御幸には手を上げてしまったと謝るのを聞いて、俺を必要としてくれていると思ってしまう。
御幸が俺でよければいいよと言ったことから、2人はそういう関係になるのだけど、笹口には妻も子供もいて。
この時点で歪なんだけど、笠口は編集者で、担当小説家である新発田がスランプで書きたいものが見つからないので会ってきてほしい、そして殴られるようにしむけてほしいと御幸に頼む。
新発田は笹口と御幸の関係は知らされていません。
新発田の小説は綺麗なテーマが多いので真逆の不倫やDVを扱ってみてはどうかという笹口の提案の元、ちょうどいい知り合いがいると御幸を紹介されます。
なぜ笹口は新発田と御幸を会わせようと思ったの?なぜ殴られるように仕向けてほしいだなんて頼んだの?
笹口は柴田の作品を読んで、暴力を過剰に恐れていると感じ、自分と同類なのでは?御幸に会うことで新発田の中にあるものを知れば新しい作品が書けるのでは?と思ったそうです。
自分の恋人を担当作家に紹介する歪なトライアングルに笹口はどういう意図なの?!と思ったら、そんな善意の気持ちで?!こんなにややこしい関係に?!本当に裏がないの?!と驚いた。
読み進めていくと、自分を救ってくれた御幸を幸せにしてくれる人を探していて、柴田の小説にこの人かもと思ったんだと。
笹口なりに御幸を愛して、幸せになって欲しかったんだと分かった。
笹口は新発田を同類と思っていたけど、そうではなかった……笹口の勘違いだったけど、この勘違いが救いに繋がった。
もしまたサディストの元に行くことになっていたら...考えたくない。

悲しい愛されたがりな御幸を優しく包み込んで、本当の愛を教えてくれる新発田。
それに対して御幸が何か与えなくては何か返さなくてはと必死になる姿を見ていると可哀想で胸が痛くて。
こういう子が依存ではなく安心感を持てるようになるには愛を与えてもらうしかないけど、根気と優しさがないと務まらないのでそういう相手に出会うのはなかなか難しいと思う。
でも世の中には出会えて幸せになれる人もいて……御幸が出会えた側の人でよかったと思った。
勘違いがあって本当によかった。

私は御幸が自傷行為をしてしまったのを見た時、腕に笹口の付けた痣がなくなってしまって、笹口に会えなくて不安になってしまったんだろうか…やっぱり笹口が好きなんだろうかと思ってしまったんですが、本当の理由を知って余計に悲しくなった。
新発田の愛はちゃんと届いていた。
無自覚だった御幸が新発田のお陰で自分の気持ちに気づいた時の表情、感情の氾濫……そして新発田の涙が追い討ちとなって、私まで泣けてきた。
新発田は父親とは違うよ。
こんなに優しい。
でも、ずっと苦しんでいた。
御幸も新発田に出会えたおかげで救われたけど、新発田も御幸に出会えて彼を慈しむことで父とは違うのだと救われたのではないかと思う。
涙腺が緩む度に、他の作品のあとがきで読んだ、さとまる先生は悲しいシーンを描いている時に泣いてしまうというお話を思い出し...。
画面の中のキャラと私とさとまる先生、みんなで一緒に泣いた気分に。

描き下ろし『もう大丈夫』。
仕事を休ませてしまったお礼をしなきゃと考えたけど、新発田が何が好きか分からないと気づき、色んなレトルトと飲料の入った袋を持って新発田の家に行く御幸に胸がぎゅっとなりました。
いいのよそんなの……!でも急に何もしなくていいとは思えないよね、徐々にね...次は手ぶらで行けるといいね。
新発田の好きなものを聞いたら、自分の好きなものも話して、お互いの好きなものを食べて、お互いの好きなところに行って、一方的に譲らず好きを共有して、2人で嬉しくなれるといいな。
2人で幸せになれるといいな。

笹口の未来を考えると...御幸と離れてしまったら抑圧の日々だと思うし、またいつか爆発してしまう日がくるのかもしれないなと思う。
もしかしたら、欲望を解放できていた御幸と付き合っていた時が1番幸せだったかもしれない。
でも、子を授かったことでけじめをつけようとしたことも、彼なりに理解して気にかけていた御幸の未来を託そうとしたことも、彼が辿れる選択肢の中では1番収まりのいいところに着地したとは思う。
幸せなのかと言われると難しいけど...。
御幸に受け入れてもらえたこと、救われたことは彼にとって一生の思い出だと思う。

浄化系彼氏と出会えた2組のカップルのお話

結婚するならβ(普通)がいいと言われて恋人に捨てられたΩの万代。
道端で発情期がきてしまいしゃがみこんでいたところを見知らぬβの長岡に助けられる。
家に連れ帰り万代を休ませ、自分は家から出ていこうとする長岡に、いろよ、家主の好きにすればいいじゃんと引き止めそのままえっち。
これを機に長岡は万代に惚れる。
体からの恋だけど、長岡が遊び慣れていなさそうな真面目眼鏡くんなので、体の相性が良すぎたらそういう事もあるよねと妙な説得力がありました。

さとまる先生のえろってすっごく気持ちよさそうなんですよね。
あと攻めが好み。先生の攻めには理想が詰め込まれていることが多い。
「や、今、あぁ」(←さっきイッたばかり)に、「うん うん...」って相槌を打ちながら動きを止めず攻め立て、再びイッた長岡の背中にちゅっちゅっするのも、好き好き言ってくれるのもときめいた。
余計な言葉責めとかいらない。
「うん」に込められた色んな気持ちがじわっと。
長岡は誰もが振り返るようなイケメンじゃないし、優しそうだけど平凡かもしれない...けど、行動が理想の詰め合わせでした。
しんどい時は助けてくれて、衣食住の提供をしてくれて、ヒモ状態なのにゆっくり見守ってくれて、心配して駆けつけてくれて、守ろうとしてくれて、優しく愛いっぱいに抱いてくれる。
こんな彼氏欲しい!!!どんな徳を積んだら出会えるの?!
指輪の渡し方が2人とも下半身丸出しの状態(靴下は履いてるのがまた)なのが、なんかいいんです。
このありのまま感。
格好はつかないけど、格好つけなくていい関係というか、素のままのこんな日常が幸せなのが羨ましい。
描き方によっては間抜けに見えて笑っちゃうかもしれないのに、さとまるマジックだなぁと思う。

紫竹(万代の元彼。β)はαへの劣等感とアンチをΩで発散しているような二股クズ男で、この野郎...!って思ったんですが、渚がいい子で...紫竹には勿体ないけど、紫竹のことが大好き。
渚は寝ながら泣いている紫竹を見たことがあって、紫竹はなにか辛さを抱えているのだと受け止めようとしてくれる。
私なら紫竹の面倒を見きれないし、あぁいう過去があったとしてもそれとこれとは別でしょと見限ってしまうなと思ったんですが、渚は見限らない。
渚にも過去があって、ピルが飲めない体質なせいで心に傷を持っていて、そんな厄介な体質でも紫竹が必要としてくれたことが彼にとっては救いだったのかもしれない。けど、紫竹じゃなくても…(ゲホゴホ)
万代の言う通りあんな紫竹の周りにはこんないい子は寄ってこないと思うから、紫竹は運がいいと思う。
この出会いのおかげできっと人生が変わる。
渚の存在のおかげで、これからはαとも弟ともΩとも向き合えると思う。
これからの紫竹は大丈夫だと思うけど、渚を大切にしてね。

話が変わるけど、紫竹は一体どうやってピルが効かないΩを探してきたんだろう。
たまたま続いたのかな?
オメガバースモノでβ×Ωってたまに見かけるけど、1作に2カップルいてどちらもβ×Ωなのは珍しいなと思いました。
評価は総合で萌にしましたが、えろは萌2です。

Kindle→白抜き

真夏に読み返したい!

廃品回収屋、ハレノヒ。
壊れたものを魔法のように直してしまう晴仁だけど、直せないものもある。
それは桜次郎の心。
冒頭から、桜次郎が晴仁のことを好きそうで。
晴仁が、にこにこした気のいいおじさんっぽいのに悪い大人感もあって、ちょこちょこ方言?が混ざるのがとてもいい。
もしかしたら方言というわけではなくて、言い回しの癖みたいなものなのかもしれないなと思ったんですが、あとがきのキャラクター紹介で私の感じたことがそのまま書いてあったので、やっぱり!伝わってきました!!!となりました。
訛りのすごい方言だとまた雰囲気が変わっていたと思うんです、加減が絶妙。
読んでいるうちに色んな場面からどんどん晴仁という人が見えてきて、読んでいるこちらにもその魅力が伝わってきました。

桜次郎の心を直せないって、桜次郎が晴仁のことを好きなのを治せないってこと?男同士なのに好きなのを病気みたいに言ってるのかな?とか、そんなことを言いながらも思わせぶりに晴仁になつっこい仕草や距離感を取られる桜次郎を見て、生殺しだ~!とか、そもそもこの2人どういう関係性なんだろう?年齢差もあるし、気になる.........!!!とか、色々ワクワクしました。
なるほどそういう出会いだったのね...!そういう意味の言葉だったのね.........!と判明するんですけど、晴仁ってば人たらしだぁ~~~~!!!!
その上この包容力!これは桜次郎が惚れるのも分かる!

なんでも買い取るというのでとあるもの(物ではないんだけど)を回収させようとしたお客さんのシーン、それ自体も怖いけど、流れるテープの音(廃品回収車がスピーカーから流して走るあれ)が不気味さを助長していてとてもお上手だなと思いました。
桜次郎の回収シーンの時もですね。
うるさいはずのスピーカー音、なのにあの音のせいで逆に世界からそれ以外の音がなくなったような感覚になりました。
壊れているという表現が、胸糞悪くなったり色々考えさせられるのだけど、この表現が廃品回収屋さんという所とハマり合っていてよくできていると思う。
あの瞬間藤太が目覚めたことと、あんなに胸糞だった父親がすんなり非を認めて謝ったところは少し都合がよく思ってしまいモヤッとしたけど、晴仁さんの言葉と桜次郎の言葉で現実と向き合えたということなのかな。

桜次郎が自分のことを好きなのは感じていただろうに、時計を弄って気持ちを紛らわせながらあの関係性を大事に何年も待ってた晴仁にじわぁっと。
こういうのがいい!
すぐ寝ちゃってあーだこーだエロに走られるより、2人の気持ちや行動に心を動かされたい。
タガが外れたあとはそれまで我慢した分積極的になっていて、またおいしい。
桜次郎は見た目のイメージと違ってピュアで一途で可愛いし、晴仁もチャーミングで可愛いし。
最後のえっちシーンも可愛いかった~~~。
余裕がないの萌える!
積極的な晴仁にも萌えた!

上手い!と思うところがいっぱいあって、それはタイトルもしかりなんですが...上田先生のセンスのよさを噛み締めています。
夏のジリジリ暑いあの感覚が読みながらとても伝わってきて、もうちょっと暑くなったらまた読み返そう、と思いました。

Kindle→白抜き