私立と言えば、どこにでもある『特別待遇(VIP枠)』ですよねぇ。基本は良家のご子息、ご令嬢か、本人が超がつくような才能の持ち主か。。ですが、この作品も例に漏れず、芸能人で資産家の息子と、小説家の息子(かつ本人も小説家)の二人(まだカップルにはなっていません)がメインです。
芸能人か一般人かで差別的態度をとる大地は、売れっ子俳優。復学することになり、その世話を依頼されたのは生徒会長の達也。子供っぽく俺様な大地と優等生の達也。性格も正反対で、お互いに気が合わない。。はずが、実は共通点があったことが分かり、少しずつ心の距離が近づきます。
しかし、簡単にカップルになれるはずもなく、まだお互いに『気になる存在』の状態。
達也には、心を許す幼なじみ・政俊がいて、政俊は達也を想っている。勿論、達也はその気持ちに気づいていない。
同じVIPクラスの滋は、そんな政俊を気遣っている様子。
他にも元モデルで貴族のルイは、同じVIPクラスの侑一に恋しているが、侑一は全く気づいていない。
今回は、人間関係と背景を解るようにしている為、大きな展開まで進んでいません。(お互いに抜いてあげたりはしたけれど、それは成り行きと勢いと言う感じでした)
果たして、どんな恋模様になるのか?これからの展開が気になるところです。
年下攻めが2編(内、1編はオヤジ受け?になるのか??)、同級生カプが1編の構成でした。
全体的に思わせ振りな表情で、妙に何か言いたげで。。そして、攻めが『狡い!』。
受けは、自分の思いを堪えていたり、自覚していなかったり。。ですが、攻めの狡さは確信犯ですね~。『オーバーテイク』と『くものあみ』は、受けの心が自分に向いていることを知っていて、自分から愛を告白するでもなく、相手に言わせようとするあたりが。。『ミミック』は、直球で愛の告白をしているようですが、しっかり受けの退路を断っているあたりが、結構策士。
『オーバーテイク』については、そんなに年下の幼なじみって可愛いものかな~?と(エピソード的にちょっと弱い感じが。。)思わなくもないですねぇ。。(まぁ、あの甘えた表情が可愛いので、そこにほだされた感はありますが。。)
ただ、作品全体を見ると、エッチは少なめ。(オーバーテイクは、嫉妬と若さで暴走したけれど。。エッチそのものはさらりとしています)絵柄の色っぽさから言うと、何だか物足りない感じがします。(←私が欲しがりなだけ?)
個人的には、『くものあみ』の先輩の救済と、『ミミック』のその後、そして賢吾が嫉妬するきっかけとなった相葉(史也の同僚)辺りも誰か居そうで気になるところです。
折角なので、相葉メインで、その後の二人を出したお話とか、『ミミック』の息子が一悶着(『オヤジはアンタにやらない!』も良し。『俺、好きなヤツ(男)がいるんだ。こいつとのこと、本気だから』でも良し。)起こして、振り回されたおかげで二人がうまくいくとか。。そんな話が読んでみたいです。(もう、滅茶苦茶盛り上がって、お色気ムンムン?の、できればエッチ増量方向で(笑))
スピンオフしながら続いています、この『トラップシリーズ』ですが、タイトルに『初恋』が付けば、『学生×学生』物かと思いきや、まさかの『学生×社会人』でした!
さて、今回の主役カプは、前作の『求愛~』『蜜月~』のヒロイン?惺の親友・佑樹と、惺のダーリン・ロイの義弟アレックスです。
見事に身内?でくっついちゃった!というお話ですが、正にそれは運命的出逢いで、友人と思っていた男に佑樹が襲われているところを、人探しで訪ねてきたアレックスに助けてもらうところから話は展開して行きます。
とにかく随所に佑樹が、アレックスに見惚れているシーンが多いこと!ドキドキして、顔を赤くして。。本当に反応が乙女です。
そんな佑樹の可愛いさに、アレックスも庇護欲を掻き立てられるのでしょうね。どんどん佑樹を見つめる眼差しが甘くなっていくのが伝わってきます。
始めは自分を襲った岡崎から守ってくれたお礼に、少しでも滞在費を浮かせることができるよう、自分の部屋にアレックスを泊めることに。。そして、ギブアンドテイクとばかりに、佑樹は自分をストーカーする岡崎から守ってもらう代わりに、アレックスの想い人捜しに協力し、その女性の素性が見えてくるほど、アレックスの純情が弄ばれていたことが見え隠れしてくる。
付き合っている彼氏のDVに悩んでいた彼女の力になりたいという一心で、海を渡ってきたアレックス。。そんな彼に、自分が調べた彼女の素顔を伝えることを躊躇う佑樹。
その頃には、佑樹は自分の恋心を自覚して(それを隠そうと必死になる姿が健気です)、そうこうしている内に、彼女の本性を偶然にもアレックスが知ることとなります。
意外にも冷静に受け止めるアレックス。そして二人の別れの時。。
既にこの辺りで、アレックスは佑樹を完全に好きになっているはずなのに、優しい言葉をかけて去って行くアレックス。
そして、ここからが急展開。当て馬になった佑樹のストーカー・岡崎が登場。アレックスを追いかけた佑樹が、アレックスに噛みついている岡崎を発見。。そこで、二人のやり取りがあるのですが、思ったよりすんなりと岡崎は身を引いてくれました。もう、勝ち目はないとばかりに。
それからはお約束の愛の告白とラブラブタイム(←古っ!!)です。『ちょっと、二人とも初めてじゃないの?!』と言いたくなるほど、手際良くエッチに突入。佑樹は『ヤオイ穴?』を搭載していたようで、実に気持ち良くなっていますが、それはBLのお約束?ですから。。
ウブな佑樹は正しく『大和撫子』で、アレックスの好み、ど真ん中。照れ屋で、恋愛に疎い佑樹には、はっきりと愛情を示してくれるアレックス(年下攻め)がお似合いの相手ですね~。二人はお互いに一目惚れしたんだなぁ~と、読後にしみじみ思いました。
そして、二人のその後のお話『新婚トラップ』は、無事、日本に支社のある企業に就職したアレックスが幹部候補生として来日。いよいよ同棲生活に。。全くの悩みがないわけではないけれど、しっかりプロポーズもしてもらい、もう勝手にやっててくださいという甘~いお話でした。
帯から既に土佐弁!うん、何だか期待できそう!と、迷わず書店で手にしたこの本。
まずは表題作。釣り好きな攻めが漁を終えて帰ろうとしていたところに、思い切り初心者で、しかも素直で可愛い豊くんと出逢います。
この豊くん、実は社長令息で、次期社長。社内報を読んでいなかった巧(攻め)は、『武波』の苗字が同じだったことを今さらながら気づくのですが、成り行きから釣りを教えている彼の姿と、切れ者で評判な社内の彼とのギャップに、『ノンケと釣り仲間には手を出さない』と決めていた決意もグラグラ。。
そして、こんなに早く?!という位の速さで二人はくっついてしまいます。。(短編仕様だな。。と思ったら、どうやら『方言特集』の作品だったようで、納得)
続編は、豊くんの許婚者に会うお話で、まさかの三角関係になることもなく、病室エッチのオマケ?つきでした。
他の作品は、『男が好きな性癖に気づき、子連れバツイチになった兄』を応援する為、姪のお世話に悪戦苦闘する弟が、限界を感じて依頼した家政夫と恋に堕ちるお話と、冴えない教師がモテ男の学生から恋の悩みを打ち明けられ、協力という名のデートを重ね、いつしかその生徒に惹かれている現実を自覚したところで、実はその恋の相手が自分だったという年下攻めのお話。そして、もう1つが砂糖と塩(調味料の擬人化)のお話でした。
描き下ろしは『ビギナーズ ラブ』のイチャイチャ話。(恋する〇はキレイさ~←古!というアレです)
全体的に糖度高し。甘いお話が苦手な方は要注意です。個人的には、この作品が連載のお話だったら、もう少しじれったさとか膨らんで、面白いように思いますが、これはこれでぐるぐる悩むシーンは少なく、ライトな感じで展開していくので、気楽に甘めのお話が読みたい時にはオススメかと。。
そうそう!方言萌えの方は、攻めが高知の人なので、土佐弁バリバリの表題作は良いですよ~。
ポーッと頬を染めている美坊主の表紙。(そうか。。この話は坊主受けか!)と、解るほど、蓮川先生のイラストはナイスです!
で、すれていない、喩えるならば『深窓のお嬢様』なお坊様が受け。(これが成年コミックなら、生臭坊主の出番ですが)さすがBL!!夢がある!!
そして、ヒモを職業?にしている麗人が攻め。寧ろ、名前だけで見れば、攻め(安慈)の方が坊主っぽい。
それはさておき、二人の出逢いはご葬儀。『まるで、フランス映画みたい。。』と、どこの乙女?的思考で、副住職として葬儀に同行した幸生は、その場に似つかわしくない服装と態度で去って行った弔問客に一目惚れ。(←しかも初恋)
思い込んだら一途とばかりに、幼なじみがセッティングしてくれた合コン先で再会した安慈に運命を感じ、寝床を失った彼に対し、だったら。。と、自分の部屋に招待する幸生。
純情で天然で、どこかズレているのに、それが可愛い幸生。安慈は、一人で生きていく為に、幸生とは真逆の人生を歩いてきた男。これまでの人生も人生観も違う二人が出逢う確率なんて、正に奇跡的。
だから、幸生は魔が差したのでしょうね。。オモチャの手錠を眠っている安慈にかけたのも、今まで感じたことなどなかったであろう独占欲。所謂『煩悩』ですものね。そして、一度手にしたら手放せなくなる。それで皿洗いのバイトをするつもりが、ホストとして表舞台に出る羽目に。。
それにしても、安慈はその美貌があるのだから、ホストとしてNo.1を目指しても良さそうなものを、ヒモという職業?を選ぶあたり、どこか歪んでいるのかもしれない。そして、そんな彼の矜持は『ピアノ』。。それを職業に選べなかったのは、ある意味自信のなさだったのかもしれない。。
安慈は幸生に出逢い、その人柄に触れ、利害関係のない間柄があることを肌で感じ、友だちと紹介されなかったことにショックと失望を感じたことで、幸生にとっての自分の存在意義を考える。。自由だった自分が不自由を感じた時点で、安慈は幸生に恋してしまったのでしょう。何だか好きな展開です。
波乱万丈はないけれど、小さなすれ違いや思い込みなど、恋愛の日常って、こんなものだよねというお話でした。
幸生はお寺の跡取りなので、将来的にはあれこれありそうですが、案外安慈が頑張ってくれたりとかしそうです。まぁ、そこはBLですから。。ということで。。
イケメンだけど、人の悪いお兄さま。だから、能ある鷹は爪を隠すよろしく、面倒事を嫌って、まるで世捨て人のように暮らしている。。
しかし、そのお兄さまは父親が外に産ませた子。長兄ゆえ、父親が入院してしまった今、後継者として選ばれるのでは。。と、戦々恐々している次男の秋緒。
何と言っても、この秋緒の態度が『我こそは正統な藤宮家の跡取り』という、プライド高く、小学生か?!というほど幼く、ヒール役にしては何だか小物っぽい。。
しかし、どこまでもその態度だった理由が、『父親に愛されていない母親の子供』という、彼にとっての心の傷の意趣返し。。何だよ、意外に繊細なやつだったんだと、そんな秋緒の味方になってくれるのが、父親の秘書で、やり手の男です。これで秋緒は(私の中で)受け決定!ぜひ、次のお話があるなら、秋緒に『お仕置き』という名の調教もといLOVEを!
と、横道にそれまくってしまいましたが、末っ子の奈津生は、天然の男の子。使用人をしていた母親の再婚で、藤宮家のお坊っちゃまになったわけですが、自分は元々庶民出身の子なので何とかなるはずと、潜入捜査を秋緒に命じられ、母親の為と子供の頃からの憧れだった至輝に会いたい気持ち半分とで、長兄至輝の身辺を探るべく、使用人として働きはじめるものの。。やはり藤宮家のお坊っちゃまとして大切に育てられた年月は大きく、初めは失敗ばかり。。
そして、それでも二度目の失敗をしない奈津生は、持ち前の人懐っこさから、使用人仲間からも可愛いがられ、(至輝には弄られ(というか、セクハラされ)。。)順調に過ごすものの、至輝に自分を偽っている罪悪感で、あれこれ思い悩む。
最終的には、奈津生は連れ子で、至輝とは血の繋がりがなく、そして、秋緒が気にしていた後継者問題は、長兄の至輝に、父親が『後継者になる秋緒を兄として支えてやってほしい』と入院中に依頼していたことが分かり、ついでに至輝が『奈津生をもらう』と、ちゃっかり父親に嫁にする宣言&お許しをもらってしまうという大団円。
まぁ、あとはバカップルになること間違いなさそうな二人なので、やはり次作があるなら次男で!(←って、シツコイ)
個人的には、読んでいて話の展開がある程度予想できてしまうお話なので、ドキドキ感を求める方には物足りない感じがするかと。。ほんわり感はあるので、安心して読める作品でした。
『わんにゃん(わんことにゃんこ)』でお馴染みの戸倉先生のお話です。
スピンオフ作品なので、やはり『わんにゃん』での戸倉先生ありきで読み進めると、その純愛っぷりがじわじわきます。(何せ、本編に当たる『わんにゃん』では、ジュンヤを狙う変なオヤジもとい准教授で、おちゃらけているようで、どこか達観している大人な存在でしたので)
戸倉先生は、思春期の頃から自分の性癖(ゲイであること)を自覚し、世間体だけを気にして、本当の自分と向き合ってくれない両親に対する失望と反発が、考古学という研究者への道を進ませたことが、この作品で明らかになりました。
『勉強して一人立ちしたい。。』戸倉少年(15)にとって、勉強は子供の自分が持てる唯一の武器。大事なものを守れるように、自分は勉強して武装する。。
そんな戸倉少年の隠れ家に現れたのが、7才下の小学生、銀。彼もまた、母親を亡くしてからアルコールに逃げてしまった父親を護りたいと、幼心に決意を秘めた存在でした。
幼い銀に自分の決意を語る戸倉少年と、その話を聞いて、父親の助けになれる自分になりたいのだと語る銀。(本当に健気な良い子)
しかし、語りながらも、一人で堪えていた思いを抑え切れずに泣いてしまう銀に、戸倉少年は幼い銀が抱えている淋しさに気づく。銀は、そんな自分を優しく受け止めてくれた『えいちゃん』が大好きになり、父親の自殺で施設に預けられた後も、いつかえいちゃんに会いたいという一念で、勉強して同じ大学に進学。
一方、研究者の道を歩く戸倉青年は、優秀ながらも(寧ろ優秀であるがゆえ)ゲイであることで、研究室内でも正当に評価されず、それでも。。と、道を極めようと邁進する日々を送っていた。
そこに成長した銀との思わぬ再会。『大事なものは箱の中』。。呪文のように、銀を大事に思うからこそ、距離を置こうとする戸倉。そんな戸倉の研究は、学会に『教授の研究発表』という、共同研究者のクレジットもない、まるごと盗まれる形で、唯一の支えさえも失いかけ、自暴自棄に陥り、心配して会いに来た銀を手酷く抱く。
自ら大事にしていた銀を失ってしまったと絶望する戸倉。その裏では、戸倉の研究を盗んだ教授の講演会に出向いた銀が、敢えて発表内容の細部を突き、会場内に盗作疑惑を振り撒く暗躍を。。
これがきっかけになり、戸倉は憧れていた現在の上司になる根岸教授にスカウトされ、銀とは別れようとする。しかし、戸倉への恋情を諦めない銀に懇願され、身体だけの関係でいいなら。。と、敢えて自分の本心を語らず、返事を返す。
この戸倉先生の心の葛藤と、銀の一途さだけではないブラックさにヤラレました!
そして、過去編から現在へ。漸く二人は心から結ばれます。
良かった!本当に良かった!
はっきり言って、銀のは殆ど執着愛。戸倉先生のは純愛なのだと思います。銀に対する態度(本心)が可愛くて、精神的には『受け』なのかもしれないですね。(銀は小さい頃から自分以外の誰かを護りたいと思うような子供だっただけに、精神的には『攻め』なのでしょう)
描き下ろしは、本編がシリアス調だったので、オチに笑いました。がんばれアラフォー!
相変わらず、執着して束縛しまくり(勿論、この作品の中で占めるエッチ率は半分以上?)の千春と、そんな病みまくっている千春をドーンと受け止めてやる男前な一輝が、いよいよ修行の為に渡米する話です。
まぁ、予想を裏切らないというか、一輝がいない千春は、本当に闇に生きる男なのでしょうね~。完全に危ない人になってます。(こんな面倒臭い男に良く付き合えるなぁ。。と、一輝を心から尊敬します)
藤堂グループのトップ(社長)である父親から、一輝は将来どんな社長になりたいか問われたことで、今回の話は大きく動き出します。
『千春を守る為に社長になりたい。』この一輝の思いは、千春の敷いたレールに乗っているだけの『あやつり人形』と喩えられ、本当の意味で千春を守れる男になりたいと、決意をする一輝。
順調に渡米の準備が進む中、渡米前に思い出づくりをしたいと一輝に旅行を提案され、遂にその旅行先で箍が外れて一輝を監禁してしまう千春。。
そして、ロッジに監禁して、一輝をヤリまくるのですが、抱かれている一輝が千春に向ける思いが一途で健気!闇に飲み込まれそうな千春を光の当たる場所へと救い上げてくれる、正に千春にとっての『光』そのものが一輝なんですよねぇ。彼は本当に男前です。
いよいよ次巻では、一輝のいない千春の荒みっぷりが爆発して、周囲を凍らせる展開になりますね。
個人的に、大郷とカオルの二人が好きなので、二人の活躍に期待。
描き下ろしは、日本とアメリカで離れ離れになった二人のテレフォンS〇Xです。
吉田珠姫先生の作品は、本当に振り幅が大きいですが、この作品はよけいなことを考えたくない時にぴったりのお笑い系BLです。
まず、名門男子校なのに、試験問題を盗むってことが先生公認って。。と、ツッコミどころ満載ですが、可愛いのを鼻にかけて、男の純情を弄ぶ男子生徒の多いこと!
そして、ヘタレわんこな純太郎(攻め)が、伝説のヴァージン・キラーに任命されるわけですが、インカムで指示出しされて、お仕置き実行!。。と、お道具を使ったり、あれこれするのが、殆どコメディ。お仕置きの暗さもエロさも感じさせないおもしろさ。これは吉田先生ならではの見せ方ですね~。
そんな秘密を持つ純太郎は、幼なじみの美架が大好きでたまらない。。一方の美架も、女王様キャラながら、思い切りツンデレ!実は純太郎のことが物凄く好きだという可愛いヤツです。
読み進めて行くと、何となく話の展開が見えてくる、ある意味王道な学園物ですが、気楽にサクサク読めて、とても楽しい作品です。ナンセンスコメディだと思って読んで見てください。
それから、美架がデレた時(無事に二人はエッチできます)が激カワで、純太郎目線で楽しめるのも良い感じです。
あおいれびん先生の作品の中でも、これは異色作でしたね~。完読後、ホラーでもSFでもなく、『一途な愛』をテーマにした作品なんだなぁ。。と感じましたが、作品全体の印象として、実に難解!
傾きかけた老舗旅館を舞台に天然の若旦那とそろばんづくの番頭さんのBL。。ではなく、『人外なるもの』に心(中身)を奪われた若旦那の威彦を、もう一度取り戻そうとしている番頭さんの鎮水の切ない恋物語と言えば良いでしょうか。。
しかし、心温まるエピソードも、画面いっぱいに情報が詰め込んでいる感満載のコマ割で、文字面を追いかけるだけで、いっぱいいっぱいになってしまい、丁寧に何度か読み込んで、漸くこの作品の世界観を理解できた感じでした。
何度か読み込む中で感じたのは、鎮水は自らの役割に縛られ、威彦への恋心を封印していたはずが、威彦の中身を奪われたことで、自分が作り出したもう一人の威彦(ある意味、器だけの存在)に対し、存在感を消さない為という大義名分の中、何度も身体をつなぐ。。しかし、鎮水にとって、この行為に意味はなく、虚しさと威彦への恋慕が募るだけ。。
一方、鎮水の威彦への思いから作り出され、存在するもう一人の威彦は、自分が何者であるか(本物の威彦のダミーで、本体が戻れば自分は消滅することを)知っていて、その上で鎮水に思いを寄せている。。
鎮水の傲慢なほどの威彦への愛は、いつしか健気なもう一人の威彦の思いを受け、迷いが生まれ、それが実に切ないです。
というわけで、気分転換のつもりでBL本を(しかもコミックで)読む方にはオススメできないかな?という今回の作品、好みが分かれところで『中立』評価です。