飄々とした攻め、大好きなのですが、そこに無邪気さが加わってしまうと子供っぽさと紙一重だったりしつつ、本作品の攻めは受けの前で無邪気に甘える姿と不意に垣間見えるオトナの色っぽさの二面性の描き方が絶妙で、終始キュンポイントの連続でとっても素敵でした!
一途なゲイ受けへの無責任なスキンシップ連発…かと思いきや、しっかり手籠めにする気満々なのがまた…
序盤の「わかんねえの?」の辺りの突き刺すような視線が、攻めのかっこよさにぐっとくる一コマでよかったです。
中盤での攻めの出張帰りのシーンで、お仕事モードの真剣な眼差しの連続コマから受けを見つけてはじけるような笑顔に変わる一連のくだりも胸を引き絞られるように萌えました…このギャップ、ずるすぎます!
そんな攻めの自由さに終始翻弄されっぱなしの受けも終始かわいくて…!
自分に自信がなくてちょっぴり卑屈なところもありますが、だからこそこの攻めと出会えてよかったなと…。
想いが通じあった時のやりとりがすごくぐっときました。
受けの「自分は子供を産めないから」というノンケ×ゲイあるあるな問答にも、「俺も産めないけど、ごめんな」と返す攻めの懐の深さと機転の利きすぎるオトナさが新しい…!
はれてラブラブばかっぷるになってからの二人はもうずーっとにやにやしながら眺めてしまいました。
折り返しとカバー裏の甘々エピソードも糖度抜群で、砂を吐きながら親指を立ててしまいます…!
ここ数日、一読目から通しで何度も読み返してしまっているお気に入りの一冊です。
作家さんの過去作はすべて読んでいて好きなのですが、本作のシリアスとコミカルの配分が今までで一番好みなので、次回作もすごく楽しみにしています!
1巻に続き、グロテスクかつ美しい世界観と独特の人外表現に夢中になった2巻でした。
キッカに使役されるつくも神たちがキュートでかわいかった…。
2巻も、オムニバスの一話一話がすごく濃密で面白かったです!
(個人的に、1クールくらいのアニメーション作品としてまとめて頂きたいくらい大好きです…動くキッカと秋緒と妖怪たちが見たい)
一番印象に残ったのはやっぱり子ぎつねのお話なのですが、
生まれて初めての暖かさを知った直後に襲い掛かる、ある種正当でやっぱり理不尽な暴力と、今わの際での強がり、そして見つけられてしまう亡骸…
恐ろしく残酷な展開ですがはらはら泣いてしまいました…
(残酷さの中に、ARUKU先生らしい死生観と美しさを見出すこの感じ…以前読んで大好きだったクリーニング屋さんのお話を思い出します)
お話全体のオチもまたARUKU先生らしいというか…!
明日屋という世界の都合の良さ、それでも秋緒を包み込むようなやさしさ、無情な残酷さ、それらの全てにしっかりと理由がついていたのが、
もうそういった部分は度外視して読んでいたので予想外で面白かったです。
(意識を取り戻してから、身の回りのあらゆるものに明日屋で過ごした名残がある辺りもすごくぐっとくる演出だった…)
残酷な話、暖かい話、なつかしい話、オムニバスのすべてが切なくてちょっぴり寂しい『愛』がテーマになっていて、なんだか野島伸司の「世紀末の詩」を思い出しました。
ARUKU先生はやっぱり唯一無二の素晴らしいストーリーテラーだと思います。
濃密な世界観にどっぷり浸りたい時に、1巻から続けて一気に読み返したい作品です。
ARUKU先生ワールド全開の唯一無二の世界観にぐいぐい惹き込まれてしまう1巻でした!
特に、妖怪をはじめとする魑魅魍魎たちの独特な人外表現に寺山修司の舞台を思わせるグロテスクさとなんともいえない奇妙な魅力が共存していて夢に出そうです…。
シーンの中に不意に脈絡がないコマがはさまれたりする表現があり、ともすればテンポの悪い印象になってしまうので特に序盤の説明不足の中では「あれ、読み飛ばしたかな」と少しページを戻ってしまったりしたこともあったのですが、のちのちちゃんと意味があったことがわかり、サブリミナルみたいな不思議な表現で面白いなと思いました。
とてもドキッとさせられます。
全編通して、幽霊とナチュラルにコミュニケーションできる都合のいい感じもとても好きです。
(2巻まで読むとちゃんと理由があったこともわかるのですが)
芋虫の話のぞっとする感じとか、日本兵の話のどうにもぎゅうと絞られる感じとか、グロテスクなお話と切ないお話の合間に挟まれる、お母さんのスープの話の暖かさが本当によかった…。
1冊通して様々な感情を喚起させられるこの感じが、オムニバスの醍醐味だなと改めて感じました。
一話読み終わった後に、次のお話がやっぱりとてもわくわくするんです。
同時収録の俳句のお話もとてもキュンとして印象に残りました。
一つ一つの言葉選びがARUKU先生らしくて素敵な作品です。
受けのために価値観を改革してただただ前向きな努力をする攻めが、本当に尊くて素敵だなと。
(サボりがちだったジムにも真面目に通い始めたりするところ、特にぐっときました)
恋をして、好きな人の影響で季節の美しさを感じ取れるようになり、世界が違って見えてくる感覚…すごく好きなテーマです。
実在する病気という少し重めのテーマを扱っている分、少し読むのに勇気がいる作品でした。
終盤のカタルシスへの布石だとわかっていても、序盤の鬱屈した受けの少年時代は読んでいてとても切なく苦しかったです。
生来の枷から、どうしても内に内に籠もってしまいがちなパーソナリティの受けですが、そんな受けにまっすぐ向き合い続け、受けを正しく照らせない太陽のかわりになろうとするかのように明るく受けを愛する年下攻めが胸を打ちました。
イケメン年下芸能人攻め…というBL小説ではよく見かける設定なのですが、決して芸能活動が順風満帆ではなく、前向きに努力をしている場面が多く描かれているのも好感が持てるし新鮮な印象でした。
全体の流れとしては、年下攻めと年上受けが、互いに相手に対する愛情だけではなくコンプレックスも感じていて、それでも一緒にいたくて、相手のためになりたくて…という感情の流れを際立たせるエピソードの一つ一つが抜群でした。
窮屈な枷とあいまって育っていった受けの才能も、一癖あってとても面白いなと…
成功の過程が本当に嬉しくてカタルシスがあります。
上り坂のストーリーをすごくうまく描いてくださることに信頼のおける作家さんなので、今回も序盤の苦しさを乗り越えて暖かい読後感に無事辿り着くことができました。
ラストでは序盤のやるせないエピソードが下敷きになりつつ、年月が経ち成長し、偏屈なままだけど確かに強くなって、自分にまっすぐ向き合い続けてくれた攻めのために必死の勇気で壁を乗り越える受けが本当にかっこよかったです。
扱うテーマ的にも何度も気軽に読み返したいと思う作品ではきっとないのですが、不意にすごく読み返したくなる、ここちよい重みのある作品です。
新谷、菊池、須藤…三者三様の難儀さを抱える登場人物たちがページをめくるたびみるみる深みに落ちていくスピード感に、深く没入しながら一冊読み終えてしまいました。
新谷みたいな正義感の強いヘテロがド変態のマゾ受けに迫られて、なし崩しにドSにさせられてしまう描写って、やっぱりやるせなくてものすごい萌えるなと…
『黒猫』の異名の理由がまさかの…だったのと、カラオケの選曲のあたりでかなりぐっときてしまったので、須藤の新谷への一方通行すぎる執着がこの先どうなっていくのかがとても楽しみです。
(須藤の襲い受けに新谷が勃起してしまうまでの流れが、ステッキドンからの銃フェラ…からのブチギレ…という本当に難儀すぎるアレなのですが、その後の須藤の失禁まで含みでとても萌えてしまいました。)
菊池はおつむが残念なせいで本当に徹底的に他人の食い物にされてしまう系のかわそうさがあるけど、やっぱり「バカな子ほど…」的な愚直さがかわいいし、軽率で惚れっぽいところがすごくいい…
愛に飢えてる菊池は新谷にどこまでも甘やかされて欲しいと思っていたのですが、1巻中盤以降さらなる深みにはまっていく様子が見ていて辛かったのでこの先救いがあってほしいです。
1巻のみの関係性からだと新谷×菊池で落ち着きそうなお話ですが、
既にそんな単純に終われそうもない泥沼具合でこの先どうなるのかハラハラしながら2巻を待とうと思います。
3人のキャラそれぞれの魅力と浅はかさと難儀さがあるので、後味が悪いだけの痛い系の話にならず、それぞれにそれぞれの救いと報いがあるラストを願ってます。
妊娠BL…というようなアオリが帯についていたので、
ファンタジーの世界観の中でどんな表現になるのだろう…とちょっぴりドキドキしていたのですが、
いざ読んでみると非常にあっさりとちびドラゴンが生まれていたりして、不思議なかわいさ&ほのぼのがあって萌えました!
どこかほっこりするファンタジーな空気の中で、こんな風にナチュラルな妊娠BLの描かれ方も素敵だなと…!
蛇神さまのお話も、仲直りのためにせいいっぱいきらきらと輝くものを集めていたり、ぴーえすぴーが見つからない…と泣いちゃったりする神様が本当にかわいかったです。
オムニバスな一冊ですが、『想いが通じ合うと、同じ姿になる』という共通した設定がどの話もとてもよい活かされ方をしていて、そういった部分でもまるごと好きになれるお話でした。
かわいくてかっこいい受けゾッコンな神様たちに、ほっこり癒されたい時にまた読み返したいなと思います。
職場であっさりうっかりカミングアウトしてしまう徳永さんが、読み手の気持ちとしても本当にほっておけなくてうずうずしつつかわいかったです。
華やかな見た目で古谷さんには愛が全開なのに、意外にもめっちゃオクテで経験も少ないっていうのがツボすぎて…!
この不器用さはずるいです。
攻めの高梨くんは序盤はしっかり部下してるんですけども、恋人になったら頻繁に男の顔を見せてるくのにもきゅんとしました!
お酒飲んだら素直にふにゃふにゃしちゃうとこも好きです…
あとはやっぱり古谷さん…!お話の中で一番好きな人です。
過去話は正直あまりに救いがないと思いつつ…
古谷さんの徳永さんへの理解や見守る優しさにしっかり理由があることも知れてぐっときました。
残り2冊分も、2人の恋を見守りたいと思います。読むのが楽しみです。
全編、疲れて寂れた独特な場末の空気感があって好きです。
みくちゃんのこの何ともいえずひとたらしな魅力が、表情や振る舞いの一つ一つから伝わってきてたまらない…。
個人的な一押しは斎木くんでした。
TENGUおなにーとエッチ中のとろんととろけた表情かわいすぎます…
(斎木くん回では普段は見れないサクマさんのみくちゃんへの執着も垣間見得て、とてもぐっと来ました)
斎木くん回ではサクマさんがエンコ積めてるほうの手で5万提示した時に4万と思われるくだりもめちゃめちゃおもしろくて、
やはりこういったちょっとしたディティールがとても魅力的でおもしろい漫画を描かれる方だなと思いました!
この世界観で、もっとみくちゃんとサクマさんを取り巻く色んな人たちの人生を見てみたいです。
ひょうた先生の作品はもともと大好きなのですが、あらすじを読んで年下攻めモノでほっこり幸せな気持ちになれそうだなと思い購入したところ、案の定終始あたたかな気持ちになりながら萌えさせていただきました。
読んでみるとまさかのノンケ×ノンケでびっくりしたのですが、お互いを慮れるいいひと同士の受け攻めがゆっくり絆を深めていく様子がとても愛しかったです。
夢見がちなワンコ攻めがリーマン受けに夢中なのがかわいい…!!
表紙でちっちゃい攻めくんがわちゃわちゃしながら受けの周りを漂っていますがまさにこんな感じで、ただただゾッコンで幸せな様子にほっこりしました。
初めてがまさかの浴衣エッチということでびっくりでしたが、怖がりつつも最後は「来て…」と自分から思わず誘ってしまう大人な受けが扇情的でとても良かったです。
描き下ろしもそうでしたが、ある意味でとても初心者なカップルなので、思わぬ方向につっこんでいく二人を見守るのも楽しいなと思いました。
(目隠し&縛りプレイはどんな風に盛り上がったのかとても気になります…)
最初から最後まで落ち着いた気持ちで萌えられる、素敵な作品でした。
一冊通してとてもコンセプチュアルで、秀先生は落語というテーマをこんな風に料理できるのか…!と、一話目を読み終わってすぐ次のお話が楽しみになる、読んでいてワクワクする本でした。
だめんずうぉーかーなビンちゃん、本当にかわいかったです。
「金魚すくい」では、だめんずな攻めってひとりにすると実は淡々と生きのびていくんだよな…という真理にも気付きつつ(でも受けの攻めへの献身を楽しみたいところもあるので、BL的には必要悪ですね)、ラストはやっぱりビンちゃんの健気さに切なくなりました。
また、「じゅげむ」のBLアレンジの発想が本当に面白くて…!
ちょっぴりコミカルにも描かれつつ、何度も投げやりになりながら時代を見つめてきた寿くんが切なかったです。
一番ドキリとしたのはやはり今際の際にビンちゃんがかの有名な名前を読み上げるシーンだったのですが、その中で不意にスッと切り取られる、「食う寝るところに住むところ」という一節となんでもない街の風景の挿絵になぜかすごくすごくぐっときて涙腺が緩んでしまいました。こういう演出は、やはり流石だと思いました…。
ラストは暖かい幸せもいっぱいで、時々不意に読み返したくなる素敵な一冊です。ありがとうございました。