これは『きみが恋に堕ちる』という既刊のスピンオフ作品です。
ちょっと皮肉屋で強引な攻・陣内×実は超天然受・礼一郎。礼一郎は大学出たてだから22歳くらい? それより10近く上だという陣内は30歳くらいかな?
いやぁ、礼一郎というキャラの面白さは、『~堕ちる』だけでは分からないですね。前作を読み返して、「鈍いなー」とは思っても、ここまで天然さんだとは思いません。キリリとした端整な顔立ちは変わらないけど、かわいいとまでは前作では思えなかった。
それがなー。『~溺れる』の礼一郎はかわいいんだわ。天然で。
天然は天然なんだけど、礼一郎の場合まっさらな天然。鈍感とはまた違ったんですね。色々経験値が足りないが故に、他人の言動の真意が分からない。きっと、自分がどういう表情しているのかとかも、あまり理解して
いないんでしょう
南国ばななさんは、BLっぽいけど、そこまでラブしない作品は、読んでいましたが、
ここまでエロいBLをかけるなんて、御見それしました。
「もっそれ」の延長みたいな雰囲気だろうという予測を思いっきり裏切ってくれました。
乱菊さんが麗人編集部はすごいと書いていましたけど、ここまで濃厚なエロを描けるとは、眼力はすばらしいです。
「全体的に変態出現率が多いような気もする1冊だが、「視線」「手」「狐のお面」というモチーフを効果的」
と乱菊さんがおっしゃるように、小道具の使い方がうまい!
きっと男性向きのエロを描いても、かなりエロいはずです。これからどんどんBL作品描いてほしいです。
Babyは、新人の作家さんを中心にして、かなり意欲的なBL作品を発信しています。
とりあえず王道的なストーリーはない気がします。全部が異端?
刊行当事のバックナンバーを古本屋さんで、ぱらぱらっとめくったときは、面白いけど、購入するのはちょっとなぁ…と思っていましたけど、今回はヨネダコウさんの表紙だったので、買ってしまいました。
気になったのが
恋煩シビトさんの「ループ ループ ループ」
車折まゆさんの「MEGA恋マニアック」
トジツキハジメさんの「食卓の乱Vol2」
海野サチさんの「ノットイーヴン」
です。
恋煩さんは、偶然街で出会った青年が恋人からの暴力を受けていることを知り、その同情から恋に変わる物語です。相手から暴力を振るわれることが愛情の印と勘違いして、わざと怒られる様なことをする受けがせつないです。そして物語も題名のとおりの結末を迎えるのです。恋煩さんは、BLにあるまじき、ブラックな方向を向いていますね。麗人ぐらいしか、このオチは許されないのでは…
車折さんは、ちるちるさんのイラストも描いている方です。漫画家とそのモデルをするツンデレな恋人とのワンシーンを描いた小品です。文句ばかり垂れるモデルに、いったい自分のことをどう思っているのか不安になり、自分の意固地な態度を見せる漫画家さん。指先の愛撫で口ではい得ない気持ちを表すという都会的なしゃれたセンスがいいです。
トジツキさんは、食器洗い機の中に放り込まれた食器たちの会話という設定。今回が2回目らしいですが、銭湯のように擬人化した食器たちがパンツ一丁でサウナルーム(食器洗い機の中)に入っていく着想がすごいです。のほほんと能天気な食器たちが笑えます。
海野サチさんは、独特すぎる絵なのですが、おバカなキャラがすごく際立っていておもしろいです。顔を触られてビクビクしっぱなしの受けがとてもかわいいんです。あそこまでみだれるなんて、ほんとに抱きしめたいくらいかわいい。そしてラストも笑えるけど、キュンとくるんです。
異色のBLが好きという方も、そうじゃない方も、お勧めのアンソロジーだと思います。
ツナのアンソロジーの第五弾。カップルのお相手はヒバリ or 骸 or 3P絡みです。
といっても、あまりHなシーンはありません。
かわゆいのが基本のツナだけど、コンドルさんの作品は、クールで悲しげ、でちょっと荘厳な感じのするツナです。テーマもリインカネーション?で、いろんな時代、場所にタイムスリップします。最初、何が起こっているのかわからなかったけど、とにかくものすごい力で納得させてくれます。大河ドラマを1年分観たような時間の流れを感じますよ。
舞浜さんの作品は、ギャグがベースでありながら、ところどころでシリアス調になりますが、うまくドタバタラブコメに仕上げています。うまい! このアンソロジーの中で一番好きな作品です。
蜂不二子さんのツナは、いきなり新人先生役の骸に魔法をかけられ、女の子にさせられてしまいます。Dカップ?の美乳がツナの胸がもみもみされてしまうところが衝撃的(笑)でした。
絵がきれい。指先と襟元にとても気を遣っている人です。ネクタイの描き方も微妙に線を変えていて、かなり作者が魂込めているかわかります。
表題作のトロン・プルイユとはわざと奥行きのあるように見えるだまし絵のようなものですが、タイトルどおり指先の表情をとても気遣っています。指先の表現が豊かさにかなり時間を割いて描いていらっしゃる方だと思いました。
そしてストーリーの最後の一コマにこの方のポリシーを感じます。
BLのラスト一コマをギャグ絵にしたりするおちゃらけの傾向がありますが、作者は、次の展開を想像させてくれる力強い一コマでフィニッシュします。
このフィニッシュがいいんです! なんというか気分が高揚して、よぉし、これからやってやるぞ!って気分になって。うまいなぁ。本当にうまい!
そして流し目がいい。セクシー!こんな目で見られて平常心でいられるのは至難の技。
東京漫画社さんの作品は、先進的なものが多いと思うけど、この作品は先進的であって、かつ洗練されている。これから作者がどんな作品を生み出してくれるのか、本当に楽しみです。
ちなみに、Hのときはしっかりコンドーム着用しているらしい描写があって細かい。セーフティHは大切です。
弟の親友、良平にトイレでオナニーしているところを見られてしまう、おバカすぎる有くんがかわいいです。
なんという恥ずかしさでしょう。しっかり鍵かけろよ~w
でも有くんは、弟と同室で、する場所がなかったから、トイレだったら安全だと思って、気がゆるんだんでしょうね。
そしてお泊りに来た良平に、有くんが年上にもかかわらず「前から有くんのこと気になってる」と「くん」付けで押し倒されてしまいます。しかも指入れあり。
ここが一番のハイライトです。
けっこう展開がすごいことになっているんだけど、読んでみると、クセがなくスルリとお腹に入ってしまうからおもしろいですね。
表題作が一番お勧め!