新展開とても熱かったです。
会ったこともない上に死んでしまっている他人にどう接近するのか。それが上野山立夏にしかできないやりかたで為されていました。立夏にとって由紀や、彼と残された幼なじみたちのことは立ち入り用のない領域だったと思います。絶望的な大きさの隔たりを音楽で紐解いてゆき、楽曲を「修復する」ことは、生前の由紀と交流がない立夏にとっては由紀という人物にアプローチする唯一の手段であると同時に、音楽という表現方法を持ち、真冬を特別に思っているという共通項のある立夏にしかできなかったことだと思いました。
柊と立夏の交流は、才能と情熱のある若者同士が化学反応を起こす様が読んでいて爽快でした。
立夏のお姉さんの、自分の中にある負の感情と真っ向から取っ組みあっている姿も印象に残りました。
次巻以降も楽しみです。