皆さんの評価を裏切らない良い作品でした!
まず、思っていたよりも読みごたえがありました。ジーンと来るけどずるずるまとわりつくことはない、さっぱりとした読了感で気持ちが良いです。
主人公が病気だったり虐めを受けていた事があったり、な設定だとどうしても同情っぽい雰囲気が出てしまいがちかなと思いましたが、この作品は全然無かったです。
プロローグはニーナが小学生で、本編のはじまりは陽光が小学生。
陽光とニーナの違うところや、逆にちょっと似ているところがよくわかるので、物語に入り込みやすかったです。
小学生の陽光は素直に思ったことをぽんぽん口に出すので、会話シーンはすごく楽しくテンポ良く読めました。
国道を爆走するところは読み終えた後だと、二人とも子供だったなぁって感じますが、読んでいたときはもうどうしようもないんだって思いがすごく伝わってきました。
書きたいことは沢山あるけどかなりすっ飛ばしますが、ニーナが自分から昼間に外へ行く場面。
普通の人には昼間外に出られないなんて想像もできないでしょう。
周りに誰も自分と同じ境遇の人がいない中、外へ行く決意をしたニーナがすごくかっこよかったです。
しかもその理由が陽光に会うためだと思うと。。。
私が一番好きなのは、陽光が免許を取ってニーナと話した言葉です。
昔は怖くなかったけど、今なら全力で止める。
小学生の時とはやっぱり変わってるんだよなあ…って実感と嬉しさがこみあげてきました。
過ごしていく時間の中で二人がそろって成長しあっていく様子は、まさに「年代記」なのでしょう。
星みたいにキラキラしていて、二人が話す言葉はパチパチする細かい飴みたいな印象がありました。
是非、沢山の人に読んでほしいです
原作のゲームをプレイ済みだったので話の核心部分は知っていたのですが、哲雄(攻め)からの視点で改めて本を読むと新鮮に感じられます。
ゲーム内では表されなかった哲雄の細かい心理描写は、寡黙で何を考えているのかわからない攻めを
(中身は普通の男子高校生だな)
と思わせてくれて好きでした。
ただ、本来主人公だった蓉司(受け)にどんなことが起きたかはほとんど書かれていないので、この本だけではわからないことも多いです。
明らかに周囲とは違う、人間ではない自分。
それを幼い頃からうっすらと解っていた哲雄は、蓉司と出会い、何故だか彼に強く惹かれてゆきます。
どう接していいかわからず蓉司を傷つけてしまうこともあり、そして蓉司も『普通じゃない』ことを知る哲雄。
惹かれ合っていた思いが種族を残そうとするためだけの作用でも、二人の間にはきっともっと違う感情があったと思います。
今が最も大切な時間だと思いたいから、
『永遠なんてない』。
この言葉にすべてが詰まっていると思いました。
最初この作品に手を出そうかどうか迷っていた自分は愚か者でした…!
試しに一巻を買って読んだらめっっちゃハマり、それから中毒です!
一気に全巻集めました。
歴史モノで長いので
ぐだぐだなかだるみするかなーとか思っていましたが全然そんなことありませんでした。
とってもスピーディーに話が進むので読んでいて気持ちいい。
でも一つ一つの描写は細かいし、登場人物の動作もイメージしやすい。
そして驚いたのはその舞台となる16世紀の綿密な歴史考証です!
ここまで歴史についてよく調べられているBLはなかなか無い!
私自身その時代が好きで、色々調べてたことがあるのですが
ドレイクや無敵艦隊や船の造り、食べていたもの、衣服の構造に宗教 etc…
読んでいて顔がニヤけてしまうほど。
敵方の王様の愛人の話なんて普通出てきませんよ…!
何度か感動で叫びたくなりました。
松岡なつき先生は本当にこの時代が大好きなんでしょうね。書いているのが楽しいって伝わってくるようです。
この作品に力を入れているのがありありと出ている感じ。
読んでる方も楽しくなるのですよ~。
そんなしっかりした土台の上を動き回る登場人物たちがまた魅力的なんです!
なんでこんなにかっこいいんだ!
海斗を愛する人全てに感情移入してしまいます。
みんなが幸せになって欲しい…。
もう海斗が四人いたらいいのにいい!
イラストを描いている雪舟さん、彩さん
どちらもFLESH&BLOODの世界にぴったりで美しい!見とれるほど美麗です…。
騙されたと思って読んでみてください。