てんてん
shinkon omega no sengoku hatsukoi emaki
本品は『新婚オメガの戦国初恋絵巻』の
コミコミスタジオ限定特典小冊子です。
狸視点で傑との関りを描いたお話です。
1年前、狸の家族は
腹を空かせた野犬の群れに喰い殺され
狸も大怪我を負ったところを
殿さまに助けられます。
温かくて優しい殿さまといると
狸も寂しくなかったのですが
いつの頃からか殿さまに
避けられるようになります。
何かしたのかと思う狸でしたが
城中に毎日餌を用意してくれるので
遮二無二殿さまにせっついたら
狸は乱暴に突き飛ばされました。
何が起こったのかと思っていると
庭の茂みから男が
太刀を振り上げて飛び出してきて
殿さまに切りかかったのです。
怖くなった狸はその場から逃げますが、
どうなったか気になって会いに行くと
殿さまはふわりと笑い
狸を抱き上げて抱き締めてくれます。
殿さまの気持ちは
狸にはわからないままですが
1人になるとひどく寂しそうな顔で
遠くを見ている殿さまを
放ってはおけませんでした。
それから1年が経ち…
狸は殿さまがいつも水で描く絵を
墨で描いていてびっくりして
手許を覗き込むと
狸が見てもどきどきするような
綺麗な天女が描かれていました。
どうやらそれは
殿さまの嫁となる葉月様らしく
忠成が絵を絶賛していても
殿さまは全くにていないと
やたらと不満げでした。
その後に嫁さんがやってきて
絵を見たいとねだられても
下手過ぎるからと決して
描こうとしませんでしたが…
A5判カラー表紙(文庫カバー同イラスト)
いつものコミコミ小冊子より増量しての
2段組16頁にて狸視点で傑との過去から
現在から後日譚となっています。
殿さまが嫁さんに
情けない弱音も吐けるようになり
嫁さんが朗らかに笑って
殿さまを抱き締めるようになったある日。
狸が殿さまと一緒に
縁側で日向ぼっこをしていると
嫁さんが硯と筆を抱えて走ってきます。
殿さまが絵が好きだと知った
嫁さんの弟が贈ってくれたそうで
嫁さんは自分の絵を描いてくれたと言います。
自分も殿さまの絵を描くからと
嫁さんはさっさと描いて見せるのですが
狸にもそれが顔には見えません(笑)
どうやら嫁さんは絶望的に絵が下手らしく
殿さまが下手でも嫌いにならないからと
自分の絵を所望するのです。
そんな嫁さんの押しの強さを
スゴイと思う狸でしたが
殿さまの絵を見た嫁さんはアタフタし
自分が殿さまの描いた通りに見えるなら
殿さまの目はおかしいと騒ぎだし
嫁さんは絵の何十倍も綺麗だと
叫びだしそうな殿さまの口を
慌てて塞いでしまいます。
殿さまが墨で絵を描く日が来ることを
願っていた狸ですが
2人のいちゃいちゃぶりに
寂しさを感じていると
嫁さんが殿さまの描いた
「天女のように美人な嫁さんの腕に
狸が抱かれている絵」を見せてくれて
狸も幸せをかみしめる
という幕引きまで
狸の目を通した傑の変化が
とても心を打つお話でした (>_<)
葉月から見ただけでは描けない
傑の姿が狸視点で時に切なく
時に優しく描かれていて秀逸です。
ルチル文庫の前作でも
同じようにコミコミ小冊子がつき
その時も本編に入らないのが
すごく勿体ないと思ったのですが
今回も以下同文です。
できる事なら本作と併せて
本編を楽しんで欲しいので
今回は「神」評価とします♡