フランク
koko de matteru
中学一年生になった論視点で綴られています。
皆、変わりなく仲良く暮らしている様子です。
飴屋も週一でご飯を食べにやってきて、成田も論の第二のお父さんみたいな存在になっているようです。
帰宅すると家の前に車が止まっていて、そこから母が降りてきて「ありがとうございました」と運転席の男の人に挨拶をさげている姿を見かけた論。
母は論のことを「息子です」と紹介してくれたので、礼をした論ですが……。
その日の夜、父の住むアパートへ向かった論は、先ほど見た光景を父と成田に話します。
「医者かな」「なら金が‥‥」「いや金だけじゃ‥‥」「いやあいつは‥‥」などブツブツ言いながらのばらを案じる姿を見て、以前から父は母のことがまだまだ好きだと思っていた論は、のばらとの復縁を求めるんです。
ひどく困った顔をする父に対して、いいかげん何かしないと横取りされるかもよ?と論は言い、成田にも同意を求めるのですが、何も言えず微妙な雰囲気になる二人。
その後、父に送ってもらい自宅に着いた論ですが、何かが気になり来た道を引き返すと、道の奥には肩を落とした二人の姿が。
話している声は聞こえてこないけれど、やがて父を引き寄せ背中をぽんぽんと二回叩く先生の姿が眼に映ります。
それは何気ない仕草だけど、見知った二人の様子とは違っていて結局声を掛けることができずに論は家に戻ります。
その晩、「お母さんも、お父さんも、祖父ちゃんも、俺もみんな、お前のことを大事に思っているんだ」という成田の声を思い出す論という形でお話は終わるんですが、実は最後まで読んで、これが論の回想録だったとオチでわかるんです!
こう言った成田の気持ちや言葉の重み、そしてすべての意味を近い将来、嫌というほどに思い知ることになることも、なにひとつ知らなかったと。あるんです。
ということは、どういったことがキッカケかわからないけど、論は知ってしまったということですよね………。
のばらや飴屋、爺ちゃんや成田がうっかりバラすとは死んでも考えられないので、多分のばら母がやってきて論がいる時にぶちまけたとしか思えない……。
ぎゃーーー!!
そしてこう締めくくっています。
「そういったことをなにひとつ知らなかった。
だって俺は愛情をさんさんと浴びて育った真夏の向日葵みたいに幸せな子供だったから……と。」
近い将来とあるので中1か遅くとも中2くらいの思春期真っ只中に、余りにも重すぎる真実を知ってしまった論のことを想像すると胸が締め付けられる……。
ちょびっとグレちゃうのかなぁ……
だけど、母、父、爺、父二号の四人でガッチリ愛に包まれて育ったから、きっと大丈夫よね、大丈夫だと信じたい。