ココナッツ
unmei no ito wa hisoka ni
出版社の発売記念ペーパー。
A4四つ折りで、一面は本編表紙のモノクロ印刷。
その他の三面が、SSです。
まだ泪(受け・オメガ性)が、理人(攻め・アルファ性)への恋を自覚していない頃のお話。
なんともおぼこい泪とは違い、理人の方はすでに情欲をもともなった恋心を自覚しています。
実父が亡くなってから虐げられて育った泪は、きちんとした性教育を受けていないようで、理人の発するフェロモンの香りをただ甘くて好きな匂いとひょうし、理人をいたたまれない気持ちにさせます。
彼が泪を好きで好きでたまらないのだと、そして抱きたくて仕方ないのだと実感させられました。
本編を読むと理人がいかに泪を大切にしていたかわかっているので、そんな欲を抱えつつも10年泪の気持ちに添い続けた彼は辛抱強いステキな攻めでした。
泪の「理人から甘い匂いがするんだ」という無邪気な発言で、理人がどんなに泪を好きか、礼央と斗真に知られてしまうお話です。
普通は発情期にオメガの発する誘引フェロモンがアルファを刺激して、アルファとオメガは番いますが、稀に発情期でなくても、一組のアルファとオメガの間で、互いにしか作用しないフェロモンが発生することがあるのだそう。それは、相手に好意を覚えたり、相手から好意を向けられて嬉しいと思うと、オメガだけでなくアルファもフェロモンを発生するというもの。
意地悪な継父のせいで、幼少の頃から家庭教師がつかなくなっていたオメガの泪は、どうやらそのことを知らないようです。
幼馴染の仕立て屋・礼央の店で作業中、理人が来ると当てた泪に驚いて、礼央と斗真、理人は、どうしてわかったのかと尋ねます。
「理人から甘い匂いがするんだ」、「今日は特に甘く香ったからすぐにわかったよ」と無邪気に答える泪に、気まずげに笑う幼馴染三人。どうやら理人は、パン屋の斗真と仕立て屋に向かう道中、泪に対するセクシャルな想いを斗真に打ち明けていたようです。
対して、泪から理人に香ってくる匂いは、花の香りが風に乗ってくるような、ふんわりとした優しいもの。このときはまだ、泪の理人への気持ちは淡かったのですね。自分のように強く甘い匂いのしない泪に、理人は自信が持てず、本編ではなかなか告白できなかったのかもしれません。
「僕、理人の匂い好き」、「抱きしめられてるって感じがして…」と無邪気に話す泪に、ますますいたたまれなくなる理人。泪が「今日は特に甘い気がする」と追い打ちをかけるので、理人が泪を好きでたまらないことを礼央と斗真に知られてしまう…という、なんとも微笑ましいお話でした。
本編の二人の初めての出会いの場面を読み返してみたら、二人が顔を合わせないうちから、理人から泪には甘い香りが漂っていたという描写が! 運命の番の秘密の設定なのかな、と一人楽しく想像してしまいました。
「運命の、糸はひそかに」発売記念ペーパー。こちらの方は、幼馴染たちのきゃっきゃ♡話で楽しかったです。可愛いです、幼馴染たち。
泪は継父たちから酷い仕打ちを受けていたため、幼い頃から家庭教師がつかなくなったせいか、性教育を受けていないのか・・・オメガなのに、そちら方面の重要な知識が欠落しているようで。
まだ見えていないのに「理人が来る」と当てた理由を聞かれ、「理人から甘い匂いがするんだ♡」と礼央、斗真、理人に言うのですが、邪気がないので、まあ嬉しそうに照れ臭そうにしていて、なんともはや・・・
そうなったら泪様にヤイヤイ言えないので、理人が二人からイジられる羽目になるというお話でした。
無知ゆえの白さ?いや、知ってても純白な様子なんじゃないかと思う泪様でした。
好きだったな、この受けさん。
泪が仕立屋で礼央の作業を手伝っていると何やら甘い香りが漂って来て、今日は来る予定では無いけど理人が来るかもと、言った途端に店に現れた理人とパン屋の斗真。
今噂していたんだよと言って席を外した泪。
その途端に礼央が2人に何の話をしていたんだよ?
言葉を濁す理人に猥談だと暴露する斗真。
番の間での好意のやり取りで発するフェロモンの香りは、他人には分からないのを知らない泪。性教育を受けて無いのでは?と噂する3人。そこに泪が戻って来て理人の匂いについて更に純粋に感想を言うので、恥ずかしくていたたまれなくなる理人。そんな話で赤面して理人をどつく斗真と礼央。
天使は時に小悪魔になるのだと思ったのと、理人は常に泪にメロメロなんだと思いました。笑