ポッチ
nagira yu debut 10shunen kinen shousasshi
凪良さんのデビュー10周年を記念して刊行された書き下ろし番外編小冊子。
『天水桃綺譚』に封入されていた応募用紙に、『闇を呼ぶ声 -周と西門-』と『天水桃綺譚』のカバーについていた応募券を添付し、+500円の自己負担金で応募できた全サの小冊子です(残念ながら応募は終了しています)。
大きさはB6サイズよりも少しだけ大きいサイズで、表紙はちょっと凝った紙質で色はピンク、裏表紙はブルー。なんともラブリーな表紙にテンションが上がります。
内容は今までの凪良作品の番外編。
「ありがとう」 『積木の恋』より
「彼氏観察日記」 『お菓子の家~un petit nid~』より
「ごかぞく」 『天水桃綺譚』より
「Ordinary Life」 『未完成』より
「おうちのクリスマス」『365+1』『愛しのいばら姫』より
「事故物件」 『闇を呼ぶ声 -周と西門-』より
の6作品。
どのお話も本編終了後のその後を描いたお話でした。
内容をざっくりと。すみません、ネタバレしてます。
「ありがとう」(『積木の恋』より)
パン屋でバイトを始めた透。そんな透の様子を見に行く目的もあって、そのパン屋「un petit nid」を訪れた加賀谷だが、そこでun petit nidのスタッフである加瀬という男性の存在を知り…。
透くんが働きだしたのは、『お菓子の家~un petit nid~』で登場するパン屋さん。何という繋がりか!と思いつつニヨニヨしながら読み進めましたが、中身は意外とシリアスでした。
かつてun petit nidがヤクザの抗争に巻き込まれ銃撃を受けたことを知った加賀谷くんは、そんな危ない店で働いたらダメだという。
けれど、透くんも、前科がある。
過去がある人に対する偏見を、透くん自身も受けたことがある。そのことを思い出した加賀谷くんは…。
「前科者」である透くんに対して世間は厳しい。
けれど、そんな透くんを全身で守ろうとする加賀谷くん。その加賀谷くんの愛情は、透くんにもしっかり伝わっていて―。
切ないけれど、温かい。
そんなお話でした。
「彼氏観察日記」(『お菓子の家~un petit nid~』より)
阿木さん、加瀬くんの視点が交互に2話ずつ描かれています。
阿木さん視点のお話は…、
いつも仏頂面をして愛想のない加瀬くん。
そんな加瀬くんが、自分にだけ懐いているのがうれしい。
ところがある日、店にやってきた男性客とスマホを見せ合いながら微笑んでいる加瀬くんを見かけた阿木さんは柄にもなく嫉妬してしまい…。
この男性客が、『積木の恋』の加賀谷くん。
スマホで見せ合いっこしていたのは…。
阿木さん、大人げなく拗ねたり嫉妬しているのがめっちゃ可愛いです。
そして、阿木さんに嫉妬された加瀬くんが喜ぶ姿も。
最後に、「彼シャツ」なるものを里央との会話で知った加瀬くんがとった行動は…。
という小話が収録されているのですが、これが、
めっちゃ可愛い…!
阿木さんのシャツを着ても、阿木さんと同じくらいガタイのいい加瀬くんではいわゆる「彼シャツ」にはなりえない。そのことを分かったうえで、少しでも自分を喜ばせたいと奮闘する加瀬くんの恋心を理解している阿木さんの男気に萌えました。
「彼シャツ」の裏には、知世さんのナイスサポートがあったのにも爆笑しました。
「ごかぞく」(『天水桃綺譚』より)
本編で、白虎さまの子を産んだコモモですが、その産んだお子達の育児日記、のようなお話。
子たちを目に入れてもいたくない可愛がり方をしている全員(コモモはもちろん、白虎さまも、モモも)の微笑ましいお話。
「Ordinary Life」(『未完成』より)
時にすれ違い、別れ、そして恋人関係になった瀬名くんと阿南先生。
指導する側になった瀬名くんと、相変わらず生徒のことに心を砕く阿南先生。
昔は自分のことだけでいっぱいいっぱいだった瀬名くんですが、阿南先生を思いやれる良い男になった姿が描かれています。
この小冊子はエロ度はほぼ皆無ですが、この作品だけ濡れ場が描かれています。
小冊子に目次が書かれていますが、この目次のところに「未完成」ではなく「未成年」と書かれています。凪良さんのツイッターによると誤植のようです。ツイッターを見ていない方もいらっしゃるかな?と思ったので一応補足しておきますね。
「おうちのクリスマス」 (『365+1』『愛しのいばら姫』より)
恋人同士になって初めてのクリスマス。
なのに、久保田さんは紺と綾野と一緒に鍋をしよう。と提案してきた。二人っきりのクリスマスを楽しみにしてたのに…!
と、ちょっと不貞腐れている美山くん視点のお話。
孤独だった幼少期。
派手だけれど、どこか作り物めいていたモデル時代。
幸せなクリスマスを経験したことがなかった美山くんが、久保田くんと知り合い、手に入れた幸せ。
が描かれています。
相変わらずな4人に、思わず笑いがこぼれました。
「事故物件」(『闇を呼ぶ声 -周と西門-』より)
四辻がらみ(霊的な現象)で、とあるアパートに赴いた西門さんと周の二人。
いわゆるいわくつきのアパートで、その件で何度も足を運んでいる周は大家さんとも顔見知り。今回は霊のいたずらが若干大きくて…、という依頼だった。
部屋に行くと、不動産屋さんの男性が。その男性と会話しつつ、軽めのお祓いをする周だけれど…。
このお話、めっちゃ切ないです…。
霊=悪いもの、ではない。
「事故物件」が一番短いお話なのですが、グっと胸に迫ってくるお話でした。
どの作品も、番外編というにはクオリティの高い短編集で、今回手に取ることができなかった腐姐さまにいつか読んでもらえる機会があるといいなと思います。
萌えあり、涙あり、笑いあり。
めっちゃ満足度の高い小冊子でした。
凪良先生10周年おめでとうございます ということで応募者に送ってくださった当小冊子。わーい♡です。
計7作品のキャラ達の後日談6話で、各話の先頭にその本の表紙モノクロ挿絵が入っています。各話の紙の下の方には、何かのモチーフが描いてあって(モモちゃん話にはリアルモモ、お菓子の家の下には各種スイーツといったもの)凝ってるー。
未成年だけ、未読なので、それ以外の感想を。どれも素敵で、懐かしく、人間味あふれてて、嬉しいお話です。
1.ありがとう ~積み木の恋より
加賀谷視点のお話。なんと透くん、un petit nidの本店(二号店が出来てる!)でバイト始めてました!!!仕事帰りにそのバイト先に立ち寄った加賀谷。加瀬や里央に会って、家族ですと紹介してもらってニコニコしてます(可愛い)。ただ本店で昔あった事件の事を知って、あわあわ「バイト辞めてください」と心配し・・・・というお話でした。
透くんも加賀谷も穏やかに幸せに暮らしているようで、本当に嬉しいお話でした。うるうるしちゃう。
2.彼氏観察日記 ~お菓子の家 より
阿木視点と加瀬視点のお話が日記形式で綴られています。主に彼シャツ爆笑話。
加瀬もクロ♡も里央も、そして女たらしの武藤も出てきます。加瀬はもうちょっと進化してもいいと思うんだけどなー。あの世間からずれてるのが彼の魅力とも思うけど、やっぱ彼シャツは(阿木のものじゃなくてもいいから)サイズ5Lぐらいで、見えそうで見えないという状態にして、もう一度阿木にアタックしてほしいw
3.ごかぞく ~モモちゃんの番外編
主にコモモ、白虎様とそのお子様方の幸せ話と、最後にモモちゃんと亨さんのことがちっぴりだけ。ふふ、モモちゃんたちは、可愛いお子様話に主役取られちゃった感じです。
4.Ordinary Life ~未完成 より
早く読まなきゃな。番外編を先に読むわけにはいかない!
5.おうちのクリスマス ~紺、綾野、久保田、美山
久保田と付き合い始めて初めてのクリスマスなのに、なぜか綾野んちでクリスマスすることになり、ご機嫌いたって斜めな女王様。さばき方の知らない「皇室御用達の蟹」と格闘し、シャンパンを飲み、キムチ鍋をし・・・としているうちにほっこり幸せになってきた というお話でした。初めてのおうちクリスマス♡美山 よかったね♡こっちまで幸せ♡
6.事故物件 ~闇を呼ぶ声 より
四辻で受けた依頼のため、あるアパートに向かう二人。その部屋にいくと、不動産屋さんも既にその部屋に到着していて・・・
全部祓えばいいというものでもない という、ちょっと物哀しいお話でした。二人とそのおじさんが温かい人で良かった。先生、番外編もいいけど、本編の続きもお願いしますw
好きなキャラ達の後日談って、本当に甥っ子たちの幸せな様子を聞いたように嬉しい。
先生、素敵なお話、有難うございました!これからもどうぞよろしくお願いいたします!
とても楽しみにしていた小冊子。
一読して、なんとも切ないというか、生きていたら人生悲喜こもごもなんだよなぁ、と思わずにはいられませんでした。
まずは「積木の家」から「ありがとう」
作品中でバイト先を前科者だから、という理由で辞めさせられていた透は、今は「お菓子の家」のパン屋さん本店でバイトして頑張ってました。
様子を見に来た加賀谷はその帰り道で加瀬が巻き込まれた発砲事件の事を聞いて、透の事を心配するあまり「危ないから辞めて下さい」とお願いするも、透から「前科持ちの自分も周りからそう見られるんだろうな」と返されてしまう。
自分の矛盾さに言葉を失くす加賀谷に対して、穏やかに「そんな自分を守ってくれてありがとう、幸せだ」と言い切る透。
加賀谷に愛されて大事にされて、透はこんにも繊細な優しさを身につけていってるんだなぁ、と切ないけど、愛情とか優しさのにじみ出るお話で、1話目から先生ありがとうございますがあふれました。
「お菓子の家」から「彼氏観察日記」
これはいかに阿木が加瀬の尻にひかれているかというか、ベタぼれしてるんだね、というお話。
加瀬が自分の知らない男(ちょっと寄っただけの加賀谷)と親しそうな態度を取っていただけで嫉妬してみたり、自分の勘違いに大慌てでご機嫌取りにいそしんだり。
加瀬がよくわからないままトライした゛彼シャツ゛。
本来の萌はなかったけど、加瀬の阿木を喜ばせたいという気持ちとか、わかってない加減がかわいくて、そんな加瀬にやられちゃってる阿木の姿にヨシ!!とこぶしを握ってしまいました。
「天水桃綺譚」より「ごかぞく」
スモモちゃんがコモモと白虎の双子ちゃんのお世話をしていて、そんな出来事を亨さんにお話している、という微笑ましいかわいらしいお話でした。
「未完成」より「Ordinayr Life」
後輩の指導に悩む瀬名がもやもやしながら帰ってきたら阿南は生徒と電話中で。
穏やかに辛抱強く生徒と話している阿南の先生の姿を見て、自分がかつて阿南にしてもらったように頑張ろう、と思いなおす瀬名はとってもいい男に成長してました。
お風呂場で゛先生と生徒ごっこ゛とか言い出して、いつもは封印している「我儘で若い俺」を出してきた瀬名に萌えましたー。
「365+1」「愛しのいばら姫」より「おうちのクリスマス」
紺と綾野、久保田と靫彦の4人でおうちクリスマスを賑やかに過ごしているお話。
2人で過ごしてみたかった靫彦は始め不機嫌モードだったけど、久保田はなんだかんだと甘やかしでお世話してくれるし、紺と綾野はそんな2人にいつも通りの対応をして、特別じゃないかもしれないけどいつも通りが一番ぬくぬくとした幸せがつまってるんだよね、と思わせてくれるお話でした。
「闇を呼ぶ声」から「事故物件」
依頼されて自己物件の様子を確認に来た西門と周。
6ページにつまっている、このお話に係わっている人たちの優しさに泣きたくなったお話でした。
どのお話も、いろんな愛や幸せがつまっているステキなお話ばかりで、読むことができてよかったです。
先生、出版者様、ありがとうございました。
でもでも、贅沢を言えば他の出版社様のお話の番外編も読んでみたいものです。
凪良ゆう先生10周年記念小冊子、プラチナ文庫での作品番外編でした。
トップバッターが「積み木の恋」後日談の「ありがとう」だったのですが、透がパン屋「un petit nid」でアルバイトを始めた、という2行目で「ありがとう!素敵!大好き!」と身悶えしました。「お菓子の家」とのコラボなんて素晴らしすぎます、先生…。
作品は全部読んでいたのですが、「365+1」「愛しのいばら姫」は時間が経過していたためか記憶がおぼろげで。ちゃんと本編を読み返してから、小冊子を読めば良かった!感動が違ったのに!とちょっと後悔しました。
2018年に発行された、凪良ゆう先生のデビュー10周年記念の全員サービス小冊子。(プラチナ文庫版)
収録は商業作品の番外編6本。
「積木の恋」、「お菓子の家~un petit nid~」、「天水桃綺譚」、「未完成」、「365+1」&「愛しのいばら姫」、「闇を呼ぶ声~周と西門~」です。
元の作品のカラーもあるのですが、全体的にしっとりした印象です。
久々に味わうお話の世界観もあってとても懐かしい気持ちがしました。
特に良かったのは「未完成」です。
あのきかん気の強い高校生だった櫂人が大人になっている!
教師生徒ものは個人的にハードルが高いのですが、この番外編ではもうお互い社会人(阿南は今も先生をしている)なので、安心して読めましたし、好物の年下攻めを堪能しました。
事後もとっても可愛かったです。
可愛いといえば「天水桃綺譚」。西神の白虎様が相変わらずコモモにベタ惚れで幸せな気持ちになったし、二人の間のお子達も可愛らしく、読書中、頬が緩みっぱなしになってました。
白虎様のS味がとても好みです。
一編一編は短いのですが、それを補うように元作品の表紙イラストが扉ページなどに差し挟まれていて、また、表紙を飾る透明箔やお話ごとに異なる本文ページの装飾など、デザイン的にも特別感のあるステキな一冊です。