てんてん
ninkimono ha dareda
本品は『月神の愛でる花~巡逢の稀人~』の
コミコミスタジオ限定特典小冊子になります。
皇国で出回り始めた
ある誌面をめぐる小話になります。
ある日、
佐保は接客用の広い卓に広げられた
大きな紙を見つけます。
最初の数行を四苦八苦して読んだ佐保は
大きな声をあげてしまいます。
大きな見出しと数行の解説文、
その下に並ぶのは名前、
それから数字と多くの文字。
ミオを呼ぶ珍しい佐保の大声に
庭で蝶とにらめっこしていた仔獣達が
何だろうと振り返るほどです。
佐保が見つけたモノは
「人気者は誰だ!?」と書かれており
列記されている名前は城関係のものが多く
内輪で楽しむならまだしも
大々的に公表しても不敬に当たらないのかと
心配になってしまいます。
しかし、ミオによると
それは陛下の即位礼の前後に
毎年恒例で発行されているモノで
佐保が今年初めてだったのは
去年は本宮の火災があったために
機会がなかったからと言われます。
佐保はミオが見せてくれなかった事を
ズルいと責めますが
ミオには別の思惑もあったようで…
A5判カラー表紙(文庫カバー同イラスト)、
2段組12頁とボリューミーな小冊子は
皇国内で行われている人気投票のお話です。
ミオによると去年の佐保は
とても微妙な立ち位置にいた上に
人気者の名前を見て陛下以外の方に
興味を示されてはいけないと
侍従として配慮したというのです。
佐保はその時なら
名前をも見ても判らなかったのでは
と不思議に思いますが
副団長や団長、将軍が常連なのだと
言われてしまいます。
しかし、
この人気投票はいろいろな部門があり
暗黙の了解として本人の前では
話題にしてはいけないというのです。
そして以前に他国の王子が犯した
リー・ロンについての逸話を
一つ教えてくれます。
それは彼は自分の妃よりも
団長のほうが美しいと言い
彼に女装をさせようとした
というとても恐ろしい話でした。
団長以外にもこの話題には
触れて欲しくない人がいて
本当に秘密を共有する身内以外では
黙って一人で楽しむのが通
と言われていているとか。
佐保は部門別に入賞した人なら
優秀な人なのだろうと
ミオにどんな人物なのか
と教えを請いますが
張り切った本気のミオは
とても凄かった
…というオチで終幕しています。
皇国の人々は
ちょっと癖のある方が多いので
人気投票で投票されても
全てが喜ばしい事ではない
というのは妙に納得です。
月神シリーズの小冊子は
本編では紹介されない
裏話的なお話が多くて楽しいです。
最後に抜粋で
○○部門第一位の方達が
列挙されていて
既刊を読み返したくなりました (^-^)