てんてん
kanaderu yuwaku
本品は『奈落の底で待っていて』の
コミコミスタジオ限定特典小冊子になります。
本編後、
朝倉低で勃発したある出来事に関するお話です。
千尋に落籍された馨は
主人である千尋よりも馨が
心地よく過ごせるよう整えられた洋館を
住まいとします。
貴重な色とりどりの錦鯉を泳がせた池泉、
こころゆくまで双花竜を吹きならせるよう
あちこちに配された東屋、
京の都からはるばる移築した茶屋、
春ともなれば百家の花園と化す贅沢な庭園等々。
妓楼の座敷では思うように贈れなかったと
身につけるものもここぞとばかりに捧げられ
様々な種類が数え切れないほど
桐の箪笥に仕舞われていますが
千尋は毎日贈り物を携えて帰ってきます。
お姫様の大事な身体に
何かあってはいけませんから
馨が己の子を身ごもっていると
本気で信じている様子で
過保護ぷりに拍車がかかる一方ですが
馨は千尋が真実求めているのは
我が子ではなく馨との確かな繋がりだと
判っているから
それで千尋の気が済むならと
馨は付合ってやろうと思っていたのです。
そんなある日
馨は低の中で千尋の客としてやってきた
原田子爵と遭遇してしまいます。
子爵は不躾に侍女たちを眺めまわした上に
馨の美しさに目を止めて頬を紅潮させて
千尋から自分に乗り換えないかと迫ります。
金にものを言わせるような男に
馨は嫌悪も洗わせ睥睨しますが
底冷えのする声と共に
馨を束縛する子爵の手の甲を
男の肩越しに伸びた杖が叩き落としました。
千尋の剣幕に恐れながらも
された行為に抗議した子爵でしたが
馨が千尋の「妻」である事を知ると
見栄も矜持もかなぐり捨てて許しを乞います。
しかし
姫君を狼藉された千尋が許すわけは無く
馨は嫌な予感に突き動かされて
千尋の右腕にしがみつきます。
果たして抜き身の刃を晒した仕込み杖が
まさに子爵のたるんだ首を掻き切るところで?!
千尋との取引にやってきた子爵が
馨に手を出して大惨事になりかける
というお話です♪
小冊子頁数はいつもと同じですが
文字が小さめフォントなので
通常よりボリュームUPしてました。
千尋は馨を侮辱する者に容赦せず
ありとあらゆる手段で追い詰め
それでも足りないと思えば
命を持って償わせようとするのですが
馨にとっては命であがなう程には思えず
何より子爵が制裁されれば侍女と召使いも
何らかの罰を受けるだろう事が見えた馨は
己の身体でもって説得する事にします。
もちろん、
そんな馨の振る舞いの意図は
千尋にはお見通しですが
馨に密着されたら否応なく反応してしまい
子爵への断罪を諦めます。
本編の床事情も
かなり頻度も絡み具合も濃厚ですが
本作は馨から誘っていますので
誘惑された千尋の責めは容赦ないです♪
馨の誘惑は成功し
馨が懸念した事態は回避できたですが
千尋は他の手段で子爵を追い落とすので
その場じゃなかっただけなのですよね。
馨本人に子爵のその後は伝わらないだろうし
即死じゃなかっただけ良かったのかな?!
まぁ本作カプは
2人とも別の意味で難ありキャラなので
それぞれにとっての凸凹なら
それはそれで幸せなのかもですね。
尚、
子爵に訪れる不幸な未来については
フェア書店特典ペーパーにて語られています。