snowblack
omoi wa ougon ni notte
ついに戦いに突入した本編22巻。
主人公カイトは勿論イングランド側として戦いに赴くのだが
戦う相手スペイン軍には、心通じた人々がいる……
カイトの心引き裂かれる痛みは、そのまま読者の痛みだ。
自らの信じる旗のもとで、戦う男達。
相手を知らなければ、相手は悪魔だと思えれば
それはどんなに簡単で楽なことか!
スペイン側とイングランド側に視点が行きつ戻りつする本編は、
すっかりまとまったジェフリーとカイトの甘さをしても尚、
拭いきれないそんな人間的な辛さと緊迫感に満ちていて
しかもまだまだ序盤というフラストレーションが溜まる読後感。
そして、読み終わって手に取るこのおまけのペーパー。
どこか飄々とした檣楼手ユアンの目から見た、
「どうやらガキじゃなくなったらしい赤毛の坊や」に向ける暖かな視線。
そして、ただ1人のお頭ジェフリー・ロックフォードに寄せる思い。
爽やかな朝の光のような、優しくて穏やかな一編に、
本編での複雑な昂揚がゆるりと解けて行く……。
22巻をAmazonで購入時についてきた、特典ペーパーです。
B5、両面、イラストは表紙と同じで二色刷り。
初回限定のため、今は購入しても付いていないようです。
無敵艦隊と称されるスペイン軍とイングランド軍との戦いが決定し、船へ向かうこととなったカイトとジェフリー。
その二人をユアン(グローリア号の檣楼係の水夫)が迎えにやってきます。
ジェフリーとカイトを眺め、二人のお互いへの献身と愛を心から祝福し、自分たち船の兄弟たちは彼らを絶対に恥じたりしない(この時代、教会は同性愛を地獄に落ちるとしていたため)と心の中でひっそり考え笑みを浮かべるユアン視点となります。
ユアン自体は水夫といってもかなり最初から登場するキャラクターなので、読者にもお馴染み。
そんな彼の二人への内心が読める、ファンへの松岡さんからの贈り物のようなSSです。