橘盾
soshite futatabi kaze ni naru
病気で夢破れた比嘉の、大きな夢の第一歩がここに!
本編ラストの比嘉のひとすじの涙のシーン、あの涙が甦ってきました!
比嘉も手に職を付け、もう瓜生におんぶに抱っこの生活じゃなくなるけれど、それだけじゃ比嘉は満足しないのです!
強く輝く男!瓜生のヒーロー大復活です!
いや~^^;その内、瓜生だけのヒーローじゃなくなっちゃいそうですよ~
瓜生は気を付けなきゃだね !?
今井先生、有難うございます!
拍手もののSSでした!
いろいろなことを乗り越えて、一歩前に踏み出す物語。
本編の最後では、比嘉は完全に失明してしまいましたが、それでも、瓜生と一緒なら、何も怖れることはないと、前向きな気持ちで新しい朝を迎えて終わりました。
そして、その後を綴ったショートストーリー。
毎朝、ランニングに行く瓜生の足音を聞いて、比嘉も外へと踏み出すのです。
瓜生を伴走者に、陸上で世界を目指す。
簡単なことではないし、荒唐無稽な夢のような目標かも知れないけれど、おまけペーパーのお話としては、この位の夢や希望があってほしい。
本編が途中結構しんどかったので、特にそう感じる。
とてもネタバレですので、内容は知りたくないというお方は
誠に勝手ではございますがお読みにならないで下さいね;;
毎朝6時前には必ず起きて、ランニングに行く瓜生の姿を
もう目では見送れないけれど
こっそり二階の部屋の窓から足音が遠ざかるのを聞いている比嘉です。
プロボクサーの夢を絶たれて、それまで自分も毎朝走っていたのが
もう走ることさえ出来ないと悔しい想いを味わっていました。
この気持ちを考えると、お話だというのに心が絞られるような感覚になります。
でも、瓜生と一緒に走りたくて、身体を動かしてみたくて
ボランティアの人に教えてもらった“ガイドロープ”という、
1メートルくらいの綿の縄を通販で買ったまま
まだ瓜生へ話していませんでした。
以前私はテレビで拝見した事があります。
目の不自由な方でも、それをガイドランナーと持ったまま併走できるのです。
そのお相手は、自分がしっかり信頼できる人でなければならないそうです。
歩くことも恐怖心があるでしょうに、ましてや走るだなんて…。
雨のにおいがする朝の道を、瓜生に頼んで歩きます。
不安を拭えないまま、最初はゆっくり走ると
風を切る感覚や春の陽射しが気持ち良くて
このままずっと走っていたくなるのです。
もちろん、瓜生は比嘉にペースを合わせてくれているのですが
初めての併走でこれだけ気持ち良く走れるならば、と
比嘉は自分の目標を突然宣言します!
「陸上でパラリンピックを目指す」
その相手が自分だと聞いて喜ぶ瓜生も、
瓜生となら、金メダルも夢じゃない、とすでに信じる比嘉にも
涙が止まりません…!!!
盲目になっても、こうまで前向きに生きていけるのかと、
自分が恥ずかしくさえなってしまいました。
本編で感じた苦しさが、一気に吹き飛ばされた気がします。
裏面は、小椋ムクさんの雨上りの朝のイラストです。
部屋の窓の手すりにたたずむ比嘉の近くには小鳥がとまっていて、
その下には、今まさに走っていく瓜生の姿があります。
道に水たまり、木や空気に光る露、朝独特の空気が伝わってきます。
SS内で、瓜生が水たまりを踏んでしまい、野良猫にかかって
「あ、ごめんね」と謝るシーンが可愛いのですが
そんな目に遭うだろう猫も3匹いました。
イラストだけだとただ微笑ましい感じですが
SS読んだ後だと沁みますわ……。
ペーパー読めて良かったですホント……!!
こちらは素直に感動した!!!ので神です!!!!!