ぴれーね
kirawareshi miko no 8nenkan
電子限定特典となる、その後の二人を綴ったショートストーリーです。
これ、これな!
内容的には優しいお話と言ってもいいもののはずなのに、読後感が強烈に切ないんですよ。
なんかいつまでも心に残っていて、無性に泣きたくなってくると言うか。
そもそも本編ですが、「めでたしめでたしのその先」がテーマとの事なんですね。
異世界に召喚された主人公が運命的な恋に落ちて、まさにめでたしめでたしの結末を迎え、その幸せが一生続くと信じて疑わなかったー。
その先のお話。
で、まさにこれも「めでたしめでたしのその先のお話」なんだろうなぁと。
本編で二人は結ばれハッピーエンドを迎えたワケですが、だからといって「永遠に幸せ」とは限らない。
悲しくて心が張り裂けそうな時もあれば、苦しくて眠れない夜もある。
でもそうやって、人って生きていくしかないんですよね。
夜明け前の暗闇の中、抱き締めあって眠るそんな二人の姿に、無性に切なくなってくる。
なんかこうして思い出すだけで、じわっと涙が出てきちゃうんですけど。
や、私が今とにかくバタバタしてて、疲れが溜まってるからこれだけ涙もろくなってるだけかもしれんけど。
とりあえず、このSSがあると無いとじゃ、作品の深み自体がぐっと変わってくると思うんですよ。
ぜひこちらも読んでいただきたい。
で、内容ですが、本編終了後。
圭視点で語られる後日談になります。
過去の苦しい経験を夢に見て、魘される圭。
目を覚ました彼は、隣に眠るテスが髪の毛を撫でているのに気がついてー・・・。
って感じでしょうか。
テスですが、圭を苦しめる全てのものから守りたいと強く願いながらも、実は自分自身がその「苦しめるもの」の一つだったんですよね。
そして、その過去にそれこそ苦しんでいる。
また圭は圭で、そんな自分を責めるテスの姿に心を痛める。
それぞれが後悔や心の傷なんかを抱えていて、たとえ恋人であろうと、それを拭い去る事は出来ない。
自分の中にあの頃の痛みが残っているように、相手のそれもまた、消え去る日は来ないんですよね。
きっと。
それでも、自分は選んだ。
これ、夜明け前の一番暗い時間なんですよ。
その暗闇の中、それぞれの想いを胸に抱えて、抱き締めあって眠る二人の姿が書かれたお話なんですね。
何だろうな・・・。
悲しみ苦しみも喜びも、そのまま全て丸ごとの彼を包み込みたいと抱き締める主人公と、本当にすごく優しいお話なんですね。
でも何故か強烈に切なくて、無性に泣けてくる。
いや、情景描写が上手いからなんかなぁ。
とりあえず、すごく深みのある素敵なSSだと思います。
二人が結婚して圭の部屋で一緒に眠っている、ある日のお話です。
圭はこれまで向けられた心無い辛かった言葉に夢の中で追い詰められて。
やっぱりいつまでも玉についた傷は磨いても残るんですよね。深ければ深いほど。
テスに額に手を置かれていて目が覚める圭。
おそらく圭はうなされたか寝言でテスの名前を口にしたのか。
隣でテスが申し訳無さに苦しんでいて。
圭は朝は誰とも口をきけませんが、言葉の代わりにテスを抱きしめて。
誤解も罪もすれ違いも何もかも飲み込んできた圭。
やっぱり悲しみと隣合わせな気がします。