てんてん
koisuru inu no shigusa zukan
本品は『恋する犬のしぐさ図鑑』のコミコミ特典小冊子です。
本編後、重倉視点で公園デートするお話です。
重倉の住むアパートの近くには大きな公園があります。ボートの漕げる
池や売店があり、桜の時期になると花見客であふれるデートスポットで
すが、重倉はこの公園には立ち寄った事がありませんでした。
今日は直紀と待ち合わせて商店街で昼食を買ったらアパートに戻るつも
りでしたが、商店街から同じ方向にぞろぞろと歩く人達を見た直紀が
興味を示したのでやってきたのです。
行けの近くのベンチでパン屋で買った焼きそばパンとコロッケパンを
それぞれ食べ始めますが、池から聞こえる水音に自然と目がいき、楽し
そうに手漕ぎボートを漕ぐ人達が目に留まります。
直紀が乗りたいのかと重倉が問うと「男2人で乗るのは変だよね」とハッ
したような顔で重倉を見ますが、家族連れかカップルが多いものの女同
士で乗っているボートも有ります。
重倉は変じゃないと言おうとしますが、直紀が「あっ」と声を上げまし
た。どうやら池の端にたつ鳥居の向こう側の社付近にいた白い柴犬が
「ちまきにそっくり」に見えたようです。
重倉は「ちまき」と聞いて銀髪に金の瞳で余裕綽々に笑う男を思い出し、
無言で眉間を狭めてしまいます。そんな重倉を見た直紀は自販機で飲み
物を買ってくるからとあたふたとベンチを立ってしまいます。
重倉が足早に去る直紀の背中から再び神社に目を戻すと、飼い主たちが
鳥居をくぐって近づいてくるのに動かないひと際毛並みのいい白い柴犬
が見えました。
直紀が言っていたのはあの犬かと思いますが、柴犬は首を付けておらず、
白い犬が鳥居をくぐった瞬間、唐突に風が巻き起こり!?
A5判カラー表紙(カバー同イラスト)12頁のボリュームにてちまきが再び
現れるお話になります♪
重倉がとっさに俯き再び顔をあげると、白い犬の姿はなく銀髪をなびか
せた男が白い服の裾を翻して向かってきていました。重倉は名前を呼ぼ
うとして固まってしまいますが、ちまきの方から声を掛けてきます。
ちまきは直紀のその後が気になって様子を見に来たと言いますが、そう
簡単に来られるものではなく、今回は特例にして最後になるだろうと
言います。
それならと重倉は直紀の後を追うようにと向かった先を教えますが、
ちまきは「下手に顔を見せて引き留められても困るし、幸せそうな顔を
見られただけで十分だ」と言いますが、重倉に「直紀をよろしく頼んだ
ぞ」と言いつつ、「直紀を粗末に扱えば相応の罰か下ると心得るがよい」
と続けます。
重倉は粽の真の目的は自分に釘をさす為だったのではと疑う程、ちまき
の声は底冷えするような冷たさでしたが、重倉もちまきを睨み返しなが
ら「言われなくても粗末に扱うはずがない」と返すと、わずかに目元を
緩めて帰っていきました。
自販機が遠かったと帰ってきた直紀にまたあの男に会いたいかと訊ねる
と「会いたいけどまた帰れなくなったら大変だし、引き止めちゃうかも
しれないから」と粽と同じようなことを言い、ちまきが恋人である自分
ょりも直紀をよく理解しているのようでまた眉間が寄ってしまいます。
気が付くと直紀が戸惑い顔で見ていて重倉は正直に「あの銀髪男と仲が
良すぎて・・・少し妬けた」と口にします。そして自分も舌の名前で呼びた
いと続けます。
直紀は驚いたような顔で重倉を見ますが、快諾してくれて自分もそのう
ち名前で呼んでみたいと言う
・・・というラブラブな2人の公園デートでした♪
重倉は「男同士でボートに乗っても変じゃないからボートに乗るか?」と
言い、ついでに神社にお参りしていこうと誘い、神様だけでなく狛犬にも
お礼参りをしなくては!! と思うという最終オチまで楽しく読ませて頂きま
した。
ちまきの心配は無用だったかもしれませんが、直紀と重倉をよりラブラブ
にした事は間違いありませんね (^O^)/
※他店舗特典(レビュー済)
アマゾン特典は2人のお買い物風景になります。
本編終了後、一月程たったある日の2人。
今日は、2人で商店街でお買い物をして、その後お家デートの予定が、近所の大きな公園に寄り道です。
他の人の眼鏡気になるのか、うつむき加減で少し離れて歩いているような直紀の気持ちを気にしている重倉。
池の近くのベンチに腰を下ろして、パンを頬張っていると、直紀が、池の端に立つこじんまりとした鳥居の近くで、ちまきに似た子犬を見かける直紀です。
"ちまき"と言えば、直紀に迷惑をかけていただけの存在としてしか思えない重倉は、ついむっつりしちゃいます。
そんな重倉の不機嫌さを感じ取った直紀は、飲み物を買いに走っていく。
その間に、ちまきそっくりだと思っていた子犬が、瞬く間に人間の姿を取って、重倉に近づいて話しかけてくる。
ちまき、という名前がとっさに出てこず、あれか?と呼んだ名前はおしい‥のかな(^_^;)
神の庭へ帰った後でも直紀の事を気にかけて、重倉に牽制をかけてくれているちまきと、それに受けて立つ重倉の姿に、キュンでした(#^.^#)
ちまきのアドバイスに従うのは癪だけど、直紀の嬉しそうな顔に気付くことができて、まぁいいかと納得の重倉。
これから先、2人にはたくさんの時間があるんだから、焦らなくて大丈夫。
伝える努力、わかろうとする気持ちが大事だと分かっているんだもの(*´∀`)
とは言え、今の初々しい出来立てカップルの姿も非常においしいです(^^)d
本編が受け様の直紀視点だったので、攻め様の重倉視点が嬉しい小冊子でした。
重倉と直紀が付き合いだしてようやく一ヶ月らしく、重倉はまだお互いに分からない事が多いと思っています。
その日は商店街で昼食を買ってアパートに行く予定でしたが、直紀の「この先に何があるの?」という疑問から近くの大きな公園に行く事になりました。
池の近くのベンチに腰掛けて2人はパン屋で買った焼きそばパンとコロッケパンを食べながら、池の手漕ぎボートを見ていました。
ボートに乗った事が無いと言う直紀に重倉が乗ってみたいかと聞くのですが、男2人で乗るのは変じゃないかと直紀は気にしているようでした。
重倉が珍しいだろうが変ではないのではと言おうとしたら、直紀は池の端に立つ小さな鳥居の先のこじんまりとした社の向こうの犬のリードを持った男女の足元の犬を指差し「ちまきにそっくりだ」と言ったのでした。
重倉は銀髪に金色の眼に全身に白い服をまとって余裕綽々に笑う男を思い出して眉間を狭めていると、直紀があたふたと自販機で飲み物を買ってくるねとベンチを立ってしまいました。
重倉が再び神社に目を戻すと犬の飼い主たちは鳥居をくぐってこちらにやって来るところで、その集団の後ろに一際毛並みのいい白い柴犬の姿が見えて直紀が言っていたのはあの犬かと気が付きました。
その犬が鳥居をくぐると唐突に風が巻き起こって、重倉がとっさに俯き再び顔をあげると銀髪をなびかせた男が白い服の裾を翻してやって来ました。
名前を間違えた重倉に呆れ顔で天を仰いだちまきは重倉の隣に腰を下ろします。ちまきはその後どうなったか様子を見に来た、こちらに来るのは最後になるだろうと言います。
直紀に会わないのかと聞く重倉に、遠目に直紀の幸せそうな顔を見られたから十分だとちまきは言います。直紀は幸せそうだったか?と聞く重倉に、ちゃんと直紀の顔を見ていたか?下からなら直紀の顔がよく見えるから全身犬にしてやってもよいのだぞとちまきは言って来ました。
身を屈めれば済む話だと重倉は断ったのでした。
直紀をよろしく頼んだぞと言ったちまきは、直紀を粗末に扱えば相応の罰が下ると心得るがよいと釘をさして来ます。
反論しながら直紀の好きなこと、苦手なこと、したいこと、したくないことを探ろうと必死になっていると重倉は考えていました。
そんな重倉を見詰めていたちまきは目元を緩めて、たまには胸の内を口に出すと良い、直紀は分かっているようで分かって無いからなと去って行きました。
戻って来た直紀からお茶を受け取って鳥居を無言で見詰めていた重倉は、自分をちらちら見る直紀に余計な気を使わせたかもと思い銀髪に会いたいかと聞きました。
直紀の返事にちまきは恋人の自分よりも直紀を理解しているかもしれないと、無意識に眉間に力を入れてしまった重倉に直紀が戸惑った顔で見ていました。
言葉に迷い黙り込みそうになった重倉はこういうところがよくないと気付いて、体を前屈みにして直紀の顔を下から覗き込む形にしました。
そして銀髪と直紀の仲が良すぎて少し妬けたと本音を口にすると、直紀はぽかんとして目元が見る間に赤くなりました。
そして重倉は直紀に名前で呼んでいいかと聞くと、直紀はいいよと言って自分もそのうち名前で呼んでみたいと答えるのでした。
今じゃ駄目なのか、俺も名前で呼んで欲しいと正直に口にするとちょっとずつでいい?と照れくさそうで嬉しそうに直紀は笑みを浮かべていました。
悔しいけれどちまきに言われなければ直紀の顔を覗き込んでみなければ気づけなかった表情でした。
2人はボートに乗る前に神社でお参りして行く事にしましたが、重倉は神様だけでなくその眷属である狛犬にもお礼参りをしなければならないと思ったのでした。何故ならベンチから立ち上がる直前に直紀が恥ずかしそうに名前で呼んでくれたので、財布の中の有り金全てを賽銭箱に叩き込んだって悔いは無いのでした。