てんてん
scalpel wo nigiru daienshi
本品は『メスを握る大天使』の書泉オリジナル特典ペーパーです。
本編幕間、至誠会病院のスタッフ用食堂でのお話になります。
至誠会病院のスタッフ用の食堂を一目見た時、芳賀の口から出た言葉
は「非常識」の一言でした。
スタッフ用の食堂は最上階の10階にあります。病院自体が高台に建っ
ている為、大きく取られた窓からの風景は圧巻で、かなり遠くのに
ある山並みまで捕えた眺望はかなりハイレベルの展望レストランと
なっているのです。
芳賀は無意識のうちに窓に近い席を取りながら自分の経験値から言っ
てこの食堂は「異常なレベル」だと言います。昼食のために芳賀と
ともに食堂を訪れた小泉には「普通」に思えますが・・・
A4サイズ4つ折り両面ペーパーは2人が入局した至誠病院の食堂での
出来事になります。
広い食堂内はレストランスペースとカフェスペースに分かれていて、
レストランスペースは定食屋麺類がセルフサービスで食べられます。
いや、このパスタは普通じゃない
芳賀はトマトソースのかかったパスタを注文していましたが、一口
食べて、パスタはたぶん手打ちでトマトソースも巻ではなくちゃん
とトマトを仕込み、上にかかったチーズも今すりおろしたのだろう
と言います。
小泉は和定食で鯵の開きでしたが、ふっくらとしていて身が厚く、
確かに小鉢もどれも美味しいものでした。
これでワンコインで、このロケーションで振る舞うって、凄いな。
どんだけ働かされるんだろうな。
芳賀の言葉に小泉はきょとんとしますが、スタッフの福利厚生が非
常識に充実している施設は非常識に働かされる、それだけ充実させ
ないとスタッフが逃げるのだと言うのです。
待遇がいいから労働条件がいいとは限らないまで言う芳賀に、小泉
はもぐもぐと鰺を食べながら、労働条件なんて考えた事が無かった
と思います。
しかし芳賀は『非常識に働かせる価値のある医者』しか雇わないか
らこそ興味をひかれたようです。医者ファーストな手術室もしかり。
芳賀は「非常識に働く価値がありそうでしょ?」と笑い、小泉も頷く
・・・という何もかも規格外らしい至誠会病院を描いたSSでした。
春原さんのホワイトハート文庫シリーズは複数の特典があるので、
いつもどの書店で買うか迷うのですが、タイトルにひかれて本品に
しました。
本編中でもちらっと立派な様子は出てきましたが、こちらはより
具体的に立派さが語られています。そういう意味では面白かった
けど、病院勤務初日のお話なので絡みが無さ過ぎて残念でした。
10月刊でもまた迷いそうです (^-^A