てんてん
ookai ouji no katakoi tsumorite
本品は『狼皇子の片恋い積もりて』のコミコミ特典小冊子です。
本編後、敦誉の立太子礼を半年後に控えた秋の出来事です。
立太子礼まであと半年となった秋。
亡くなった中宮や東宮の喪が明けきっていない事もあり、公の行事は
簡素なものとされていましたが、それでも疫病が猛威をふるっていた
先年と比べれば人火度の表情は明るく、空気は華やいでいます。
敦誉と幸紀は相変わらず菊見の宴だ、中秋の名月を愛でる宴だとあちら
こちらの公家の館に招かれる日々が続いています。そんな"相変わらず"
の日々に、脇息に深くもたれかかった敦誉は不機嫌に眉を寄せます。
扇を鳴らしながら「どういうつもりだ」と問う主の真意がわからず、
幸紀は「どういうつもりとおっしゃられますと・・・?」と軽く首を傾げて
敦誉を見つめます。
扇の先で幸紀の膝の上にある薄様の文を指します。それは大納言から
花薄の宴への誘いの文で、どういうつもりもこういうつもりもない招待
の文ですが、敦誉が言いたいのは菊見の宴に招かれたのは4日前です。
敦誉にとっては"またか"という事なのですが、幸紀は菊見の宴は楽しか
った、敦誉に感謝の念を表したいのでしょうと返します。
幸紀は本気で感謝の念云々で招かれていると思っているようですが、
その席に毎度大納言の末の姫がいる事の意味をわかっていないようです。
度重なる招きに必ずいる未婚の姫を偶然だと思う幸紀の気が知れません。
そこまで言われてようやく幸紀はピンときますが、大納言の狙いが敦誉
だと疑いもしません。しかし御所で敦誉が后を迎えないと宣言している
事を知らない者はいないはずで、大納言とてわかっているはずです。
まだわからぬのか。頼信の狙いはおまえのほうだぞ、幸紀。
幸紀はこぼれんばかりに目を見開きますが、言葉に詰まります。敦誉は
そんな幸紀の言葉の先を待つように、どこか意地悪な表情で幸紀をじっと
見つめてきて・・・
A5判カラー表紙(文庫カバー同イラスト)2段組12頁という大ボリューム
にて、幸紀が大ボケすぎて敦誉の悋気に触れちゃうお話です♪
幸紀は自分は敦誉のものだと思っているので大納言の思惑など、全く少し
も気付いていないのですが、敦誉としては2人の関係が公にできないもの
であるからこそ、幸紀の実家である左大臣家との姻戚関係を狙うものが
現れてもおかしくないと思っています。
しかし、幸紀はそれはあまりにも幸紀自身を軽んじているし、相手の姫君
に対してもあまりにも失礼だと怒ります。そんな幸紀を敦誉は嬉しく思い、
夜を待てずに唇を重ねる
・・・というラブラブな後日談でした♪
幸紀のズレズレな勘違いと敦誉のヤキモキが楽しかったです (^-^)
幸紀はホントに人の好意を疑わない人ですね。それはとても良所ですが、
もうちょっと裏も読まないと御所での暮らしは大変そうですよね(笑)
でも鈍いのは色恋に関する事だけなのかな!?
本編後なので敦誉は幸紀に遠慮が無くなって、かなりの策士になっているような気がします。
相変わらず幸紀は鈍感のようです。でも敦誉は幸紀の気持ちを知ってるし信じているので、以前のように拗れる事が無いようです。幸紀にちょっと意地悪をして自分が聞きたかった言葉を引き出して、しまいには昼から幸紀におねだりさせていました。
敦誉は策士ですね。
本編では幸紀の頭が固くて苛つく事も多かったですが、小冊子では恥ずかしがりながらも素直に愛情を言葉に出す姿に好感が持てました。
2人の関係が正しい意味で周知されるまでは、まだまだ大変そうだと思いました。