kurinn
ryujin to hoshiyadosu tsugai
ノアがエルドラドの洞窟で同居してからひと月経った辺りのお話でした。
何とノアはエルドラドの身体を洗うばかりでは飽き足らずに歯磨きまでしようとしてました。
ノアは竜の口に頭を突っ込む怖いもの知らずで、エルドラドの方が怪我をさせてはならないと焦っていました。
ノアが村に帰った時も帰って来るまでソワソワしたり、間違えてノアを飲み込んでしまったりとか考えて鱗が逆立つような寒気を覚えたりと、ノアに対して随分と特別な感情をエルドラドは持ち始めているようでした。
きっとこんな些細な出来事の積み重ねでノアはエルドラドの「運命の対」となったのだと思いました。
本品は『竜人と星宿す番』のコミコミスタジオ特典ペーパーです。
本編幕間、エルドラド視点でノアがある事にチャレンジするお話です。
竜の姿しか取れなくなったエルドラドが、人里離れた森の奥の洞窟に籠
って早数年、蝙蝠くらいしかいない平穏で静かな日常は、獅突然生贄と
してやってきた人間ノアによって一変しました。
いくら帰れと怒鳴っても動じない動じないどころか、一緒に寝ようとか、
花畑を見に行こうとか、挙句の果てには川で洗ってあげるなどとありえ
ない事ばかり口するノアが勝手に居座り始めて、もうすぐ1月が過ぎよ
うとしています。
そんなある日、久しぶりに身の回りのものを取りに村に戻ったノアは
帰ってくるなり得意げにあるものをエルドラドに見せました。
エルドラドが頭の中で鳴る聞かない方がいいと言う警告音につい耳を
塞いで「なんだそれは」と問いかけてしまったのは、ノアが戻って来て
ほっとしたとか、もしかして帰ってしまうのでは心配してそわそわして
いたからではありません(笑)
ただちっょとだけノアがあまりにも楽しそうなので好奇心が疼いてしま
ったのです。というのもノアの持つ道具は今までエルドラドが見た事の
無いモノで、しいて言えばノアがエルドラドを川で洗う時に使うブラシ
に似ていました。
ノアはにししと笑って「教えてあげるから、エド、ちょっと口開けて」
と言うのですが、こういう顔のノアは大抵ろくでもない事を言い出す時
なのです。
無視するとこの先に何日もうるさい事は経験済みで、ため息をついた
エルドラドは面倒事を早々に片づけるべく、仕方なく口をぱかりと開け
ると・・・
B5サイズ4つ折り両面にてノアとエルドラドとの攻防戦になります。
ノアはもっと大きくとか、そのままとか注文をつけた挙句、ブラシを
エルドラドの口の中に突っ込んできて、エルドラドは驚いて口を閉じ掛
けますが、思わぬ感触にぎょっとしてぴたりと動きを止めました。
ノアは歓声を挙げてエルドラドの騎馬の1つに無遠慮に触れたのです。
なんとノアはエルドラドの歯磨きをしようと兄にブラシを作ってもらっ
たらしく、ご満悦でこしゅこしゅと磨き始めます。
「余計な事をするな」と言っても「歯磨きは大事」「とさらに大きく
口を開けさせられたエルドラドでしたが、ノアは自分なんて丸のみ出来
そうと口の中を覗き込んで、わくわくと声を弾ませていて、まるで危機
感がありません。
一通り牙を磨いたノアはようやく気が済んだようでエルドラドは本当に
ノアが頭をどけたのかどうかを確認せずにはいらませんでした。危機感
が無さすぎると言っても聞きません。
ノアは毎日歯磨きをする気でいるようですが、エルドラドはなるべく
早急にアレを隠してやると心に固く誓う
・・・というなんとも微笑ましい攻防戦でした♪
エルドラドにとってはノアを食べる、というか齧るというか、傷つける
かもしれない可能性のある事をしたくないのでしょうね。ノアにとって
はエルドラドは竜だけど人間と同じ感覚なのが、おかしくて楽しい小話
でした (^_-)