てんてん
Raul no deshi
本品は『ラウルの弟子 ~最愛の弟子と引き離されたら一夜で美少年になり
ました~下』のコミコミスタジオ特典小冊子です。
本編幕間、シノ視点でのラウルと離れて5年後のお話です。
宮廷魔術師になれば会いに行くよ
ラウルがいなくなって5年が経ちました。シノはラウルの言葉にしがみつく
ようにして宮廷魔術師試験に合格しますが、ラウルは会いに来てくれません。
宮廷魔術師くらいでは足りないのかと思い、さらに名を広めるために空を
飛ぶ魔術フロウを査定に出し、シノの名は爆発的に広がりますが、天才宮廷
魔術師シノとして、知らぬ者はいないのではないかと言うくらい名が知れ渡
ります。
それでもラウルが会いに来ない理由はなんだろう。まさか、理由なんてなく
て、世間が問う通り、ラウルはもう・・・。嫌な事を考えてしまい、気が滅入
ってしまったシノは今日の昼食は王都でとることにします。
王都では流行っているという噂の肉料理屋へ入り、賑わっているのを確認し
ながら、急事に案内されるまま席に着こうとしますが、名を呼ばれて振りむ
くと離れた席にいたリュースが笑顔で手を振っていました。
彼の隣にはメディ、向かいにはアドネがいて、どんな組み合わせかと思いつ
つも、案内された席に着こうとしましたが、しつこく呼ぶので黙らせるため
に向かうと空いていた椅子に促されてしまいます。
いつまでも立っていると迷惑になりますよ。
後ろが詰まっています。早く座って下さい。
アドネに言われて振り向くと、迷惑そうにしている男がいて、その後ろでは
話している間にも行列ができていて、シノは座るしかありませんでした。
しかも、リュースとアドネはメニューのおススメを言い出し、メディがさっ
さと給仕を呼び止めたのでシノは不機嫌に注文を済ませます。
フドネはシノが流行りの店を知っている事をびっくりしていますが、シノは
ウラルの話が出たらすぐに駆け付ける為に、流行りや噂には過剰なくらい
確認しています。でもそれを言う気も悟られる気もありません。
そんな中、隣の席の2人組の男の1人が「手をかざしただけで傷が治ったと」
と興奮気味に話始めます。聞き耳を立てなくても聞こえる大声に自然に眉が
よってしまうシノでしたが「そいつが自分の事を治癒魔術師のラウルだと
名乗った」と言い出して!?
A5判カラー表紙(文庫カバー同イラスト)2段組16頁のボリュームで、シノ
がウラルの偽物と遭遇するお話になります。
2人の話にアドネが反応し、「ラウル様をどこで見たのです!」と男達に詰め
寄ります。アドネに揺さぶられた男は必死にアドネを引き離し、劇場近くて
怪我人が出て颯爽と現れて治療していたと言います。
シノはそんなところにラウルが現れた事を訝しみますが、アドネは意気揚々
と探しに行くと言います。シノも同行する事にし、メディも続くとリュース
もしぶしぶ席を立ちます。
劇場では演劇が終わったばかりのようで多くの人がいましたが、桃色のロー
ブを着た派手な見た目の魔術師と目が合います。どうやら彼がラウルと名乗
った人物のようですが、ラウルとは似ても似つきません。
ラウルの容姿を知らず、治癒をして本人が名乗っればラウルになってしまう
のでしょう。男は加護の札を売り出しますが、最初は喜んで買っていたアド
ネが、シノに偽物だと断定されると。たばかった罪だと男を追い掛け回す
・・・という偽ウラルを巡るコメディチックなお話でしたが、ラウルを待ち
続けるシノの切ない心情が見えるお話でもありました。
シノの10年はラウルが思うよりもずっとつらかったんだろうな (>_<)
でも、なんだかんだと言ってもシノは仲間には恵まれていたのでしょうね。
メディも未来であんな事をするなんて思えないちょっととぼけた感じの
男として登場していました。リュースとアドネは変わらないです♪
シノが宮廷魔術師になって5年が経っていました。
空飛ぶ魔法のフロウまで考え出して、天才魔術師として世間では知らない者が居ないほど有名になっています。
それでもラウルは会いに来てくれないので、シノは嫌な考えをしてしまいます。
1人では食事をしたくないので賑やかな街の食堂へ向かうと、リュースとアドネとメディが居ました。嫌がりながら皆と食事をしていると、隣の席の男達が劇場近くにラウルが現れて怪我人を治療したと話していました。
慌てて出て行くアドネを皆で追いかけて行くと、似ても似つかない男がラウルを名乗って札を売っていました。
本物のラウルを知らないアドネが騙されて高額な値段で札を買うと、偽ラウルはシノにも札を売り付けて来ました。偽ラウルのシノに対する呼び方を不審に思ったアドネの言葉に偽ラウルは慌てますが、シノに抱きついて白々しい演技を続けます。怒ったシノの説明にようやくアドネは偽物だと気付いて、今度は怒りナイフを持って偽ラウルを追いかけ始めます。
メディだけが不気味にシノに話しかけるのですが、この時からメディはシノに対して嫉妬して出し抜こうとしているのが分かります。
ラウルの存在を追い求めるシノの切なさと、相変わらずなリュースとアドネと、さらに5年後には気の毒な結果に終わるメディを読むことが出来ました。