てんてん
hana wa shitone ni sakikuruu
本品は『華は褥に咲き狂う(5)~兄と弟~』のフェア書店限定特典
ペーパーです。
本編後、光彬に心を奪われた牝馬のお話です。
小谷掃部頭と言えば、上様の信認厚い寵臣にて江渡庶民の人気を
集める南町奉行です。当然、厩舎には選りすぐりの名馬ばかりが
揃えられていますが、中でも鹿毛の牝馬は優美な馬体に俊敏な脚
を併せ持つ駿馬です。
気性も穏やかで人には従順、世話をする馬丁の手を煩わせたこと
は1度も有りませんが、数日前から六に飼い葉も食べず、水も飲
まず、ただ虚空を某っと見上げるようになってしまいます。
存分に駆けさせれば気も晴れるかと馬場に連れ出してやっても
ヒンと鳴いて立ち尽くすのみで、馬丁はほとほと困ってしまい
ます。
ここ数日で変わった事といったら主人が客人に鹿毛を貸し出した
事くらいですが、身なりこそ質素なものの凛々しく品のある青年
武士だったし、連れの長身の男もたいそう美しく、名のある御家
の御方に違いなく、彼らが何かしたとも思えません。
そんな中、主人が馬房に現れ、鹿毛に向かって1枚の手拭いを突
き出すと、鹿毛は弾かれたように振り返るや、ひくひくと手拭い
の匂いを嗅ぎ、頬を摺り寄せたのです!!
いったい何が起こったのかと馬丁は目を白黒させますが・・・
A4サイズ(書店により版違い)片面にて光彬に恋した牝馬のお話
になります♪
主人は手拭いを差し出したまま馬の長い首を優しく撫でて言いま
した。
あの御方はお前がたいそうよく働いてくれたとお喜びであったぞ。
また近いうちにこの邸にもおいで下さるそうだ。あの御方を心配
させぬためにもしっかり食べて英気を養わねばならぬ。
・・・わかるな?
言葉を理解したように牝馬は猛然と飼い葉を食べ始めます。馬丁
は慌てて厩舎を飛び出していきますが、小谷掃部頭は「全く上様
は罪作りな・・・」と呟きます。
饒肥藩の恵渡屋敷に乗り込む際に光彬はこの鹿毛を見事に操り、
藩邸の門すら飛び越えてみせ、鹿毛は光彬に惚れ込んでしまって
いたのです。
しかし、光彬の愛馬である純白の牝馬は気性が荒く、世話役にも
最低限の接触しか許さないくせに光彬にはとことん従順で貞淑な
駿馬なのです。
光彬は騒動が落ち着き久々に愛馬を駆ろうとしたら、雪華の機嫌が
やたら悪くて困ったと笑っていました。他の牝馬の所に行った事を
拗ねて見せたであろうことは明らかですが、当の本人は全く気付い
ていないのです。
鹿毛の牝馬の思いが報われる事はないだろうと、小谷掃部は同情
たっぷりに品目の首を優しく撫でる
・・・という罪作りすぎる上様に笑わせて頂きました♪
純皓も雪華も光彬は「自分だけのもの」って思ってるから、嫉妬心
が凄いですね。光彬は御台所と愛馬が1番なので、相手がそんなに
焼くなんて全く思っていないだろう事も明白で更に楽しいです。
聡い周りはいろいろといろいろ大変ですね (^m^)
罪深い。
こちらの書き下ろしペーパーを読み終わった感想です。
天性の人たらしで純皓をやきもきさせている光彬ですが、まさかの牝馬まで虜にしていました。www
本編では光彬とともに武家屋敷の門を飛び越える活躍を見せた祐正の鹿毛の牝馬ですが、光彬を忘れられず様子がおかしくなり、しかも光彬の愛馬の雪華にいたっては他の牝馬の匂いを感じ取り不機嫌になったとか。www
本編では祖父の彦十郎に固執する「玉兎」という怪しげなものにも執着され始めていました。
彦十郎と神君光嘉公の両方の血を引く光彬に叶うものなどない気がして来ました。www
特典ペーパーの内容は、なんと。
「馬にも愛される上様の大いなる魅力」。
本編にて。
目付に扮した純皓の家来・七田として饒肥藩邸に駆け入らんとする馬上の光彬。
閉じた門をものともせず、少年を共に馬の背に乗せたまま屋敷の屋根の破風を跳び越える活躍を魅せる光彬ですが。
この時乗っていた馬は、南町奉行・祐正(すけただ)の所有する鹿毛の名馬。
饒肥藩事件の後になって、なぜか飼葉を食べず、水も飲まず。
馬丁はわけも分からず狼狽するが、祐正にはそれがなぜなのかよくわかっていた…
つまり。
ただ一度、光彬と共に一陣の風となった記憶。
それが忘れられない恋煩いとなったのであろう…
光彬には愛馬・雪華がすでにおり。
祐正の馬の恋心は決して報われない。ただ、光彬の匂いのついた手拭いに歓喜するのみ…
光彬〜……!
どんな人物も、馬さえも魅了する光の将軍よ…!
(純皓は馬にも嫉妬しそうだよね。何?手拭いを?とか言って光彬を責めまくりそう)