てんてん
maou kourin
本品は『恋する救命救急医 魔王降臨』初版限定挟込ペーパーです。
本編幕間、森住が貴志と一夜を共にした翌朝のお話です。
オテル・オリヴィエの朝食はバイキング形式ではなく、卵の調理法を
選び、ベーコンかハムか、ロールパンかトーストかを選ぶタイプです。
昨夜、貴志の部屋でいいようにされてしまった森住は、朝ごはんなど
パスしてベッドに沈んでいたかったのですが、貴志は情け容赦なく、
森住を朝食に連れ出します。
曰く、生活の乱れはパーフォーマンスの低下に繋がり、オテル・オリ
ヴィエに泊まった翌朝に森住の仕事の質が落ちたら、ホテルのホスピ
タリティが疑われるからしっかり食べてもらうとの事。
友人をして「死んでも飯食うやつ」と称される森住から食欲を奪った
相手は涼しい顔です。しかも森住が貴志をむちゃくちゃやらせたのだ
とまで言うのです。
森住が言い返そうと口を開きかけたタイミングで、朝食が運ばれてき
てしまい・・・
B6サイズペーパー両面中折り2段組3頁と長めの番外編は、2人の
情事の翌日の1コマになります。
森住はとりあえず文句は心の中にしまって食事を始めます。美味しい
食事ともに食べ物の話がきちんと通じる相手は森住にとって貴重で
珍しい存在です。貴志とゆっくりと食事をとりながら、森住はなぜ
自分がこの男と穏やかに食談義しているのかわからなくなります。
貴志には仕事に行けそうかと問われますが、正直身体はギシギシで
気持ちも混乱しているけれど休む理由はありません。ただ感情が
付いて行かないだけなのです。
華やかな笑みを浮かべる貴志にはほんの少し毒があります。明るく
爽やかな朝のひとしずくの毒。森住はその毒カップに注いで静かに
飲み干す
・・・という優雅な朝食の一コマに潜む緊張が見え隠れするお話でした。
余裕の貴志と混乱しきりな森住の関係は始まったばかりです。貴志
の思惑通りに事は運ぶと思わせておいての山谷なのか、森住が果敢
に反するのかは、現時点では森住にすらわからないでしょう。
次巻に期待ですね。