てんてん
sora no itoshii dannasama
本品は『そらのいとしい旦那さま』のコミコミ特典小冊子です。
本編幕間、空良が剣の稽古をするお話です。
冬晴れの昼下がり、離れの庭に空良の威勢の良い声が響きます。
高虎が見守る中、空良が袋竹刀を握って魁傑を相手に剣の稽古を
しているのです。一通りの攻防が終わると、予告なしで手合わせ
が始まりました。
相手の構えから振り、視線などの動きに即座に対応し、切っ先を
躱すと同時に打って出る空良の所作は無駄がなく、高虎から見て
も夫の欲目ではなく空は筋がいいと思われます。
弥一に拉致された空を助け出してからしばらくして、空良が剣の
稽古をしたいと申し出ました。高虎は心に期するものがある眼差
しに隼瀬浦の領主の子の嫁として、護られる立場から守る立場に
なるという空良の決意を感じます。
戦場に出れば鬼神と呼ばれる高虎の伴侶となる人は、これから
どんな異名をもらうことになるのか。見た目だけからいえば手弱
女とみまがうほどの麗しい姿ですが、内包する情熱は激しく、
時々は高虎をも屈服させる強さを持つています。
今もひたむきに稽古に勤しむ姿は優雅で凛々しく、さながら・・・
A5判カラー表紙(文庫カバー同イラスト)2段組12頁のボリューム
で、空良が無事に戻った後の冬の日の出来事になります♪
空良に相応しい二つ名は「天女」ではないでろうか。そんな事を
考えていた高虎の前で空良が魁傑のから小手を取ろうとしていま
した。
魁傑には寸前で回避され、逆に竹刀を落とされますが、魁傑が突
いて出ようとした瞬間を狙った見事な技で、高虎も魁傑も空良の
上達の速度には驚きを隠せません。
日が陰ってきたことをきっかけに稽古を終わらせ、空良が防具の
籠手を取ると腕にはうっすらと打撃の跡が残っていました。慌て
る魁傑に稽古なのだから痣や傷は当たり前と言う空良が逞しく
見えます。
風呂場で改めて腕の跡をみても赤くなっているだけで高虎は安心
しますが、空良は高虎がハラハラした顔で見守っているから魁傑
はいろいろと悩みながら相手をしてくれているのだと言います。
高虎としては稽古の邪魔をするつもりはないのですが、空良が
生死をさまよった日々の恐ろしさを忘れる事は出来ないのです。
だからこそ稽古をしているのだと空良は言い、大らかな心で見守
って欲しいと言う空良に高虎は自分も成長しなければと思います
が、魁傑との本気の稽古には頷けない
・・・という空良の稽古風景に高虎のヤキモキするお話でした♪高虎
視点のため、本編以上に空良愛が溢れていて微笑ましい (^-^)
護られる立場から護る立場へと変わろうとする空良の変化を喜び
ながらも、愛する空良には傷ひとつ付けたくないという夫目線が
加わって、空良との会話が好け愛漫才めいているのが面白かった
です。
弥市に拉致されるということがあってから、魁傑に剣の稽古をつけてもらっている空良。
そんな二人の稽古の様子を腕組みをしてみている高虎。
肘や胴回りにけがをしないように、厳重な防具を着けさせているのですが
それでも心配で仕方のない高虎。
最初は魁傑の竹刀が空良の腕に当たると、稽古だと分かっていてもムッとなってしまうし、
自身(高虎)が手合わせをするとあからさまに手を緩めてしまうので
稽古にならないと空良に叱られ、ヤキモキしながら稽古風景を見守るようになった高虎。
すごく過保護なんですけど、空良の意見を尊重してここに落ち着いたんですね。
でも、痣を見ると怒っちゃうんですよね~。
ほんと愛以外のなにものでもないです~(*´▽`*)
そんな高虎の気持ちをわかりつつも咎める空良。
高虎の扱いがうまいです。
ただ守られるだけだった空良が、変わろうと思って頑張っている姿はとてもかっこよかったし、
高虎も頑張って成長を見守ろうとしてて、ほんとに良い関係だなぁと思いました。