フランク
kiraware mamono no daisuki na hito
恋人同士になって一年近く。
ようやく念願叶って温泉にきた正人と青のお話です。
当初、正人はもちろん二人きりで旅行に行くつもりだったけど、計画を知って大喜びの青が黙っていられるはずもなく……いつのまにか「家族旅行」となっていて、内心ガッカリの正人。
なによりも二人「だけ」という自分の気持ちが、青には通じていない……と。
露天風呂付きの客室を奮発して取り、宿に到着後にいい雰囲気に持ち込むも「出かけるわよー!」という妹の一声で邪魔をされてしまう……。
だけど家族全員で出向いた夏祭り会場で、終始笑顔を絶やさず屋台のあれこれを目一杯楽しむ青を見ながら、青にとっては二人でしっぽりエロ三昧よりも、いろんな経験をさせてやれた今回の選択で良かったのかもしれないと正人は思い直します。
そして青は言うんです。
「神森村のお祭りは、いつもそおっと下まで行って太鼓の音を聞いているだけだったけど、今から見られるね。」と。
神森村の祭りを、こっそりと音だけ聞いて我慢していた青の姿を想像してたまらない気持ちになる正人。
そして盆踊り会場に着いた一行は、それぞれめいめいに楽しみます。
ここの描写がとても良くて、家族っていいなぁって思えます。
盆踊りの途中ですっかり疲れてしまった青を連れて、花火大会まで待たずに宿に戻る二人。
ようやく濡れ場かと思いきや、あと少しで達する!という絶妙なタイミングで花火大会が始まってしまうんです。
初めて見る花火にすっかり夢中になってしまう青と、想定外の事態勃発に萎えてしまう正人……。
正人はお預けを二度もくらってお気の毒ではあるんだけど、青が生まれて初めて体験する旅行・お祭り・花火といったあれこれを心から楽しんでいる様子が伝わってきて、青がとてもかわいい。
そして青が家族からめいっぱい愛されている様子も伝わってきます。
おまけにしては電子ページで17Pというボリュームなので満足度がとても高いです。