ごまくろ
one room angel
ワンルームエンジェル読後、こちらの小冊子を読みました。
発売日の関係で入手はこちらが先でしたが、もう楽しみで楽しみで、大切に温めていました。
私事になってしまいますが、実は、本編の評価は中立にしてしまったんです。お話のファーストインプレッションが、全くの予想外だったものですから。何日か迷いながら、困惑していますという旨のレビューも書きました。
しかし、ワンルームエンジェルのつくりはまさに天下一品です。構成やキャラクターの表情が、本当にイキイキとしていて素敵です。その秘密がこちらの小冊子に隠されていたような気がします。
まずネームとは思えないほど絵が、特にお顔が綺麗に描かれていて驚きました。もう本当に漫画のまんまで、ネームなのに眼福というのがすごいです。
冊子は、幸紀がバイトの面接で落とされまくるシーンから始まります。魅力的な脇役達の、わかりやす〜い表情も漫画のまま、面白いです。
本編の構成上、読み終わってからまた読み返して、更に読み返したという方が多いと思います。この小冊子はその答え合わせというか、補足として読んで欲しいなと個人的に思います。
漫画に夢中になっていて気が付かなかったヒントや情報が、より直接に、シンプルに見えてくるのが良かったです。
おそらくこの小冊子が1番に見て欲しかった場面は、天使が人間の悪意に晒されている1枚だろうと思います。
言葉という言葉で埋め尽くされた。本編でも印象的な場面ですが、ネームではフォントで綴られた悪意の後ろに、はらだ先生の肉筆で『ごちゃごちゃ』とびっしり書かれていました。その雑然とした嫌な感じが、よく伝わってきてうわっとなりました。
このネームを見たあと、必ずもう一度本編を読み返したくなります。
また個人的に、窓の外に『夜』と書いてあったり、キャラクターの足元に『カゲ』と書いてあったりしたのが可愛らしくて和みました。様々な意味で魅せる、作品の裏側でした。
ワンルームエンジェルを読んで、より理解を深めたいという方にオススメします。sns等でネタバレせず、ぜひご自分で気付いて読み返して欲しいです!
onBLUE8周年展の記念小冊子は全9種。
表紙イラストは『onBLUE vol.31』特集「はらだ中毒な私たち」の扉絵です。
それ以外は「ワンルームエンジェル 2話」のネームで、描き下ろしやコメント等は掲載されていません。
でも、このネームのすごさは見れて良かった!
「ワンルームエンジェル」は「止まり木」(『変愛』収録)をセルフリメイクしている、人間と天使のお話です。
ネームって、こけしのような人型が多い気がするのですが、はらだ先生のネームはしっかりキャラの表情が描かれてます!
それもメインキャラだけじゃない、店に居るだけのモブキャラの顔・表情まで描かれているのにビックリしました!
『on_BLUE Vol.32』掲載の2話とネームを見比べると、コマ配置の変更は無く、キャラの表情もほぼ一緒で、はらだ先生のネームとは、ペン入れ前の下描きのようなものなんですね。
2話は人間が天使を外に連れ出すシーンで、天使が着ているパーカーのフチには炎のような柄があるんですが、その炎柄まで描かれてるんです!
ネームもデジタルでされる作家さんの中には、ネーム段階からトーンが貼ってある方もいますが、原画展などで作成過程を見れば見るほど、作家さんごとのやり方があるんだなぁって思います。
ネーム→掲載原稿で違っていて印象的だったコマがあります。
人の心が読める天使が雑踏に立ち、社会の人々の不平・不満・悪意が溢れ出ているのを眺めるシーン。
ネームでは「上司死ね」「はやく死にたい」「ガキうっせーなぁ」等のテキストがページいっぱいに羅列されていましたが、掲載原稿ではフォントサイズや字体を変えて、濃淡を持たせ、グチャグチャに歪ませて、すべてを集合意識のように見せています。
この方が、”社会は悪意で満ちている”っていうことがビシビシと伝わってきます!
『ワンルームエンジェル』のコミックスは3/25発売です。
この天使が雑踏に立つコマはぜひ見てほしい。
雑踏のモブ達、シルエットだけでなくネームの段階でも手持ちのスマホやスケボーまで描かれています。
※『onBLUE vol.31』特集「はらだ中毒な私たち」は、はらだファン必見の特集!
のばらあいこ先生との受け攻めキャラ談義は特にオススメです。