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第1回 BL小説アワード

TO TAKE HIS MIND OFF

エロエロ/年齢操作/設定以外のキャラ有

雪は最初目の中のカメラで対峙する人物の網膜を取り込み、その後判別をする。 「今すぐ口内洗浄をし、俺のPCと接続しこの部屋で起動されてからの全データを送りスリープしてろ。」

射当
5
グッジョブ

※設定以外のキャラ有
※年齢操作有
※エロ有
※名前表示変更(一部カタカナ変換または漢字に変更)
以下変更詳細
攻(追加キャラ):新見 コウキ (アンドロイドカスタマー 30歳)
受:高梨 カズキ(プログラマー 27歳)
アンドロイド:雪
前提:新見と高梨は同居中

[TO TAKE HIS MIND OFF]

二人で借りた部屋はお互いの仕事する部屋を一つずつ持つことができることを条件に探した。見つけたのは6階建ての中庭を取り囲むようにして部屋が配置されているアパートだった。そのアパートの3,4階部分を使っている部屋を二人の仕事場兼生活の場として借りている。
4階にある二部屋をそれぞれの仕事場としており、プログラマーである高梨の部屋にはモニターやハードディスクが積まれている一方新見の部屋はアンドロイドカスタマーの部屋らしく人口皮膚や、毛髪サンプルが置いてあり何体か改造を依頼されているアンドロイドが置いてある。玄関がある3階にはキッチンとダイニング風呂場があったことから残りの2部屋も生活に必要な部屋として使っている。ダイニングルームから扉一枚挟んだ道路に面した部屋はベッドルームとして使っておりそこに一人分の分厚いマットレスを二つ密接させ並べている。高梨と新見は仕事上のパートナー以上の関係にあり夜になればそこで時にセックスもしている。
しかし、昼下がりの今はその状況にはあてはまらない。
ベッドに腰掛ける身体つきのしっかりした茶髪の男のペニスを一生懸命加えて奉仕をするのは高梨が共に育ってきたというアンドロイドの雪だ。咥えさせている新見が仕込んだ温熱システムでその口内は温かく、舌やほほの内側、歯に至るまで今や高梨とそっくりに改造し唾液の代わりに分泌されるローションで湿っている。舌でペニスの裏をなめ上げ先を柔らかい唇で吸い、また一気に銜え込む。息苦しい様子や人間がする時に出るような小さな声も良く再現できている。
じっくり見れば見るほど恋人の高梨のように見え興奮し、ぐっと精液がたまった感覚がして、雪の頭を近づけのどの奥に射精した。
顔をゆっくりと引くと、高梨と同じ質感の黒髪、整った眉毛、黒い瞳、きめ細かく白い肌、を持った雪は新見を見上げる。血色のよい唇はローションと精液で濡れ、薄く開いた口の中には濃い精液がたまっているのが見える。
「飲めよ。カズキ」

「それは無理だって。」
新見は声のした背後をふり向いた。生身の高梨カズキが部屋の入り口で黒い長そでの綿で作られた丸首のTシャツに黒いズボンを履き、ノートPCを持って立っている。新見はボクサーパンツとスウェットを履きなおしながら要求を続ける。
「飲み込んでるみたいなさ、のど仏の動きとか無理?」
「考えてはみるけど、」
「みるけど?」
ベッドの上に高梨が上がってきて新見に耳打ちした。
「俺は絶対お前のなんか飲まないんだけど。」
「海外赴任で俺を置いていくんだからわがままの一つくらい聞いてよ。」
「雪を徹底的に改造して置いていくんだ。十分にわがまま聞いてるだろ。」
高梨は新見から離れ、先ほどの状況から変化を見せない自分のアンドロイドの正面に座り温熱システムの影響で温まった頬を手のひらで包みアンドロイドと目を合わせる。
「カズキ様。」
雪は最初目の中のカメラで対峙する人物の網膜を取り込み、その後判別をする。
「今すぐ口内洗浄をし、俺のPCと接続しこの部屋で起動されてからの全データを送りスリープしてろ。」
「はい。」
声紋と話し方で主人からの命令であると判断したアンドロイドはベッドから降り部屋を出ていった。
「雪はいい子だな。あの年代のアンドロイドなのにまだ元気だし。」
「それは俺があの年代の湿っぽい容量ばかりをとる感情プログラミングを破壊したから自己判断をしない『都合がいい子』だし、メンテナンスも手をかけてやってきたからまだもってる。しかし、あまりに俺そっくりで気持ち悪い。」
新見は背を向ける高梨の腎臓があるあたりにそっと指を触れる。指の先で布を感じ、頭で生身の彼の肌とその奥で血液を循環させ命を営む内臓を感じる。
「今日は良く喋るね。」
高梨は身体ごとふり向き、自然と離れる自分の背に触れていた新見の手を掴み向かい合う。
「俺だってお前と離れるのは寂しいって、言わないと伝わらない?」

「伝わらない。」

新見は衝動的に高梨の唇にキスをする。そのまま味覚を感じるセンサーがついて機能している舌を絡み合わせる。石を抱かされて海に沈んでいく人間のように高梨は自分よりも身体の大きい新見を抱いてマットレスに沈んでいく。二人の唯一の接点となっている絡み合う舌には血や感覚や熱が集まって、ずっと敏感になる。その熱が喉を下って胸、そして腹と広がっていく中で高梨は腹に直に触れる冷たい恋人の手をより克明に感じるようになる。それを反射的に追いやろうと添えた手に抵抗して、徐々に上へ上へと撫で上がってくる。彼の細く長い指の中で最初にそこに触れたのは人差し指だった。高梨は熱を持った身体の特に敏感な部分に触れられてビクっと反応する。絶え間ない口の中と上半身からの愛撫と刺激で快感に深く沈んでいきそうになる中で何とか自分を保ち、高梨は恋人の胸を押しやり突き放す。合わさっていた二人の唇は離れる。
「やめろ。仕事と雪のプログラミングの修正が残ってる。」
「俺はやめてもいいけど。カズキ、反応してたじゃん。」
高梨はカッと顔が熱くなるのを感じる。それはお前も同じだろう。と訴えるために新見の股に自分の脛を押し当てる。
「お前が我慢できねぇんだろ?」
先ほど一度吐き出したはずなのにもう元気に膨張して反りあがっているのは脛を押し当てられている本人がはっきりと身体の一部として認識している。
「俺には、雪がいるから」
組み伏せている男の顔を見つめて余裕をもって告げる。これは独占欲の強い高梨への明確な挑発だ。彼はアンドロイドが自分の代替として使用されるならまだしもそれを超えるなど全く許さない。
高梨の釣り目気味の目の中にある瞳が鋭いナイフのように光った。
「お前を愛してるのは俺だ。」
そこからは素直に互いの肉体をひたすら求め合う。

挑発されもう一度勃起したペニスはコンドームに包まれその上からローションをまとった状態で粘膜に覆われる筋肉が作る穴へ侵入していく。それが前立腺を押し上げた快感に自然と高梨の背は弓なりに反れてシーツから離れる。くびれた腰に手がかかりずっと奥に押し込まれて、引いていく、その繰り返しを短いスパンで彼のコントロールで繰り返される。高梨は抵抗することもせず、揺さぶられるままペニスと自分の直腸がぶつかっている衝撃や粘液とローションがたてる音を感じながら絶頂が近づくのを予感する。
上がっていく呼吸の中で酸欠に陥った脳が不意に真っ白になった。
腰が浮きあがり頭は大きくのけぞり視界から余裕をなくした新見の顔が消える。薄い肉が張るだけの自分の腹に精液がかかったのを感じた。
果てて放心し、目はうつろになった高梨の身体の中で新見は射精した。射精した瞬間きつく締め付けられたのを感じそのあと力が抜けていった。高梨の身体自体が弛緩したのを感じ顔を覗き込むと、静かに目を閉じ深い呼吸をしているのが見て取れた。新見は眠ってしまった恋人の頭を撫で、胸に優しいキスを落としゆっくりとペニスを抜いた。


日は陰り暗くなった部屋には自動で灯りがつく。直接電球は見えない作りになっており天井の四辺がうっすらと青く光っている。
掛布団は大きなものを共有し、ぬくもりを分け合うようにして高梨に添い寝する新見は眠る彼の穏やかな表情を静かに見守っている。
閉じていた目が、ふとさらに閉じるような動きを見せた。そのあとでゆっくりと高梨が目を開ける。
「そういえば最近ちゃんと寝てた?」
「寝れてないよ。」
高梨は目の前の恋人の問いに答えると静かに起き上がりベッドから降りて出口へと向かう。その後ろ姿にごめん。と声がかかったが、続きは手で遮って部屋から出ていった。


それから二人はそれぞれ、互いの仕事の合間に雪の調整を行っていった。高梨はプログラミングの面から、新見は自分好みに質感や触感を整えていった。
そして、ついに赴任する日がやってきた。ほとんどの荷物は送りきっており、小さなキャリーケースだけを持ち靴を履き終え高梨が玄関に立っている。
「雪抱きつぶしちゃうかも。」
急に仕事が入り空港までついていけなくなった新見が冗談を言う。
その言葉に高梨は笑い
「その前には帰ってくるよ。」
と返し、笑顔で出ていった。
手を振り見送った新見には1人で暮らすには少し広い部屋と雪だけが残された。

END.

射当
5
グッジョブ
4
月田朋 15/11/14 05:28

全作品で一番好みで一番萌えました!

紙屑屋 15/11/14 20:45

大好き、世界で一番、永遠に、愛してるなどの甘い単語を使わないストーリーにもかかわらず、限りなく甘く、エロティックなところにBLのカッコ良さを感じました。

豊かな表現力を感じるユニークな描写には、ため息がでました。

射当 15/11/17 16:11

ここまで読んで頂きありがとうございます。

以下挨拶となります。
運営様、この度は掲載頂き誠にありがとうございました。とても良い経験になりました。

月田様
お読み頂きまた、コメントまで残して頂きまことにありがとうございます。
一番好みというお言葉本当に胸に沁み入りました。
ありがとうございます。
自分の趣味を優先させすぎて共感してくれる人がいるのだろうかと思っておりました。勇気を出して投稿してよかったと思う次第です。

紙屑屋様
お読み頂きその上コメントまで残して下さり誠にありがとうございます。
私が目指しているところをそのままお褒め頂き自信に繋がりました。
かっこいいBLもありですよね^ ^
描写についてもお褒め頂きありがとうございます!
まだまだ未熟ですので精進していきたいと思っております。



紙屑屋 15/11/17 18:45

ご丁寧にリプいただいて、ありがとうございます。

カッコいいBL全然アリですよ‼︎
「ーー湿っぽい容量ばかりをとる感情プログラミングを破壊したからーー」
いいですね。このフレーズ。

「ーー寂しいって、言わないと伝わらない?」
「伝わらない。」
カッコ良すぎです。

タイトルもいいですね。惚れるのも惚れられるのも大変です。

好きなところを挙げるとキリがありません。

射当ワールド全開で、たくさんの作品を世に送り出してください。

益々のご活躍、心より願っております。

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