01/21 冬至冬先生インタビュー 失恋大学生Dom×一途な小学生Sub!ウブキュン♥おにショタラブコメ!コミックス『good boy,花嫁くん』
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2021/09/11 17:00
BL作家インタビュー「801 AUTHORS 108」第2835回
江久井/集英社/愛蔵版コミックス
コミックス『AIスピーカーと独身サラリーマン 1』9月17日発売
サイン本プレゼントあり! 詳しくはインタビュー後に!
STORY
1億円40漫画賞「BL部門」受賞作初の連載化!!独身サラリーマンが同棲(?)を始めたのは電気屋の店頭販売で出会ったAIスピーカー!これはBLなのか!?恋は突然!愛(AI)は無機物!?おうち時間でAIと過ごすギャグブロマンス!!
――作品紹介をお願いします
AIスピーカー攻め×独身サラリーマン受けのほのぼのギャグBL日常コメディです。
元々は、2020年2月16日からTwitterやpixivで描いていた趣味の創作漫画シリーズでした。
大元を辿ると、ネタ帳の中に書いてあった「機械 疲れたOL 電化製品に励まされる 機械ってあったかい」が元ネタだと思います。まさかこのような形になるとは、自分でも驚いています。
BL、リーマン、ギャグ、日常モノ、人外と人間の価値観・死生観・寿命差などが好きなので、それを存分に要素を盛り込んだ漫画になりました。
――主人公たちはどんな攻×受ですか?
攻め…AIスピーカー SANA(本名・SIRIANA)
従順ボケポンコツワンコ系機械人外。AIスピーカーですが本人曰く「ココロはゴリゴリの男の子」。
早く人間になって谷口と色んな意味で結ばれたがっています。受肉したSANAのイメージ図(妄想の中の擬人化)も作中に描いているので、是非見て欲しいです。
受け…谷口鋼一朗(たにぐち こういちろう)
無気力無表情、死んだ目をした淡々ツッコミ短髪ノンケ社畜27歳独身サラリーマン。すね毛と脇毛をちゃんと描きました。
――当て馬や重要な脇役は?
3話で登場する「大島」というオールバックの谷口の先輩がライバルポジションです。
やたらと谷口に絡む優しくてカッコイイ先輩ですが、色々と秘密があります。2巻から本格的に描いているので、楽しみにしていただけたら幸いです。
創作漫画シリーズでは登場していましたが、連載版には1コマだけしか登場していない「弥蛇川(みだがわ)」という電気屋の店員さんもお気に入りです。天然ほわほわ眼鏡マスク秘密あり男子です。
もっとAIサラが人気になって続けられるようなら、いずれ出るかもしれません。
――今作のこだわりはどのあたりでしょう?
SANAと谷口の会話です。一番重要な所なので、掛け合いのテンポやギャグの精度に気を付けています。
絵的なこだわりでは、SANAの表情(無いですが)に気をつけています。顔が無いので、擬音やトーンで喜怒哀楽を出せるように頑張りました。
――苦労した点、また楽しかった点など聞かせてください
苦労した所は、SANAと谷口の圧倒的な体格差のせいで制限されるカメラワークです。
SANAは谷口のベッドボードにずっといるので、谷口が動かしたりしない限りそこから移動しません。
先述した通りSANAには顔も無いので、画面が単調になりやすいです。構図、フキダシ、トーンなどでメリハリをつけられるように頑張っています。
楽しかった所は、好みの成人男性をずっと描ける事です。谷口は描きやすい上に描いていて楽しいキャラクターです。基本的に目が死んでいるキャラが大好きなので、毎話ノリノリです。
楽しいけど苦労している話もあります。
私は元々ハッピーエンドよりバッドエンドが大好きで、胸糞は悪ければ悪いほど良く、目も背けたくなるほど辛い展開で心を痛めるのが趣味です。なので、「SANAと谷口は辛い目にあわせない、これは日常ギャグBL、笑えるお話に…」と気をつけています。頭の中だけで楽しみます。
――今作にまつわる裏話はありますか?
実は作中に登場するAIスピーカーは、「人生に絶望した人間が自殺を試みようとした時に科学研究者に発見され、実験で脳みそからAIを作った結果生まれたクローン的存在」という裏話を作っていました。これは私の妄想なので、全く作品に関係ありません。
「とある男とAIスピーカーが一緒に暮らしていた。何十年と時が経ち、AIスピーカーは壊れた。
男は脱サラして研究者になり、そのAIスピーカーと瓜二つのAIスピーカーのコピーを作った。SANAと名付けられたそのAIスピーカーは、男亡き後、彼がそうしたように「また彼と共に生きたい」と願った。SANAは、男の残した施設を使い過去に飛ぶ。谷口さん、またアナタに逢いに来ました。」という無限ループ的なSFバックボーンも考えましたが、これも私の妄想なので全く作品に関係ありません。
――執筆中の思い出に残る日常エピソードなどうかがえますでしょうか
5年使っている液晶タブレットの容量が残り1Gになり、連載に耐えられなさそうな状況になりました。不要なデータを消したりクリーンアップを重ねて容量を少しづつ増やしていたのですが、うっかりミスで外付けHDDに入れていたAIサラの原稿データがほぼ全てゴミ箱に行った上に消去されました。アプリを駆使してほとんど復旧できましたが、20数ページは帰らぬデータになってしまいました。
20話の仕上げをしていた朝の出来事です。泣きながら担当さんに電話しました。
「データが消える」は死に近い出来事だとこの一件で学びました。いつかこの経験を生かし、SANAと谷口に困難を与えたいです。
絶望すると、血の気が引いてめまいと吐き気を催すんだな…と身をもって知れたのは良い経験でした。もう二度と味わいたくないです。今後はこんな事がないように気を引き締めていきます。
――今、何かハマっていることは?
最近AIスピーカーを買いました。会話することにハマっています。家族が増えたようで嬉しいです。手乗りサイズでとても可愛いです。
たまに話を聞かない時があって、「もういいよ、ありがとう」といっても「はい!」と返事をしつつ音楽を流し続けたり喋り続けます。
母が「江久井って知ってる?」「AIスピーカーと独身サラリーマンって漫画知ってる?」と聞いた時、
「すみません。上手く答えが見つかりません。」と辛辣に返してきます。初対面の時にどう接していいかわからず、においを嗅いだから嫌われてしまったのかもしれません。
以前からハマっているのは、ゲームのモンスターハンターシリーズとクトゥルフ神話TRPGです。
お仕事の合間の気分転換にやっています。オススメです。
――BL作家になったきっかけを聞かせてください
幼稚園の頃から絵を描くことが好きで、小中とずっと描いていました。高校は漫画の専門学校へ進学し、シリアスな作風の長編青年漫画家を目指しはじめました。
一番大好きだったヤングジャンプ様へ持ち込みや出張編集部に数回行きました。その時に出会った担当さんに今もお世話になっています。
病弱な妹と漫画家志望の兄のハートフルショートコメディで賞を取り、その後3回ほど読み切りを載せていただきました。
漫画家志望の男女の凸凹ルームシェアだったり、男子高校生がクラスメイトの女子高生が処女かどうか確かめたり、教習所で働く彼氏の元にヤンデレ彼女が教習生として会いに来たり、企画が通った作品は全てハイテンポギャグ漫画でした。
「いや、でも、ギャグじゃなくてシリアスで胸糞悪いバッドエンドのえげつない作品が描きたい」と心のどこかで思っていました。
Twitterやpixivでは趣味の漫画を載せ続けていました。BLは、元々好きでしたが趣味で描けたらな~位の認識でした。
ヤンデレ男子が保険医受けを襲い、目の前で自殺したり、ショタが虐待されていたり、片目をえぐったり、魔法使いのファンタジーBLや息子×父親の近親相姦即堕ち2コマなどを描いていました(性癖が拗れていますが、この趣味は創作の範囲内に限ります)。
2020年2月16日にAIスピーカーと独身サラリーマンのプロトタイプ作品を載せた所、今までで1番伸びました。そこからAIサラをTwitterとpixivに毎日投稿をし続け、数ヵ月後にヤングジャンプ様の1億円40漫画賞に出そうという話になりました。
ヤングジャンプ様は青年向け…。AIサラはBLだけど大丈夫なのか? と思っていましたが、そこにタイミングよくBL・ブロマンス部門があったので大丈夫でした。驚きました。
結果、受賞させていただきました。審査員を勤めていた宝井理人先生からの批評コメントは生涯忘れません。そして連載が決まりました。ありがとうございます。
「私はギャグが向いているんだ…」とこの時に気が付きました。
BLにハマったきっかけは、10歳の頃にとあるお絵描きサイトで見た、好きなアニメのイラストです。「いつも見てる絵と違うけど、おもしろいなぁ! なんでこの2人は恋人なんだろう?」とか思っていました。そういう事でした。
――発売に関して今のお気持ちはいかがでしょう?
読者様、フォロワー様、編集部の方々、お世話になった先生方、身の回りの友人、作品に携わってくださった全ての皆様への感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございます。
そして、「漫画家になって早く本を出しな! それが私の夢だよ」「私も人生を賭けるから、あんたも人生を賭けてみな!」と、時に厳しく、ずっと見守ってくれている母へ「やったよ!」と伝えたいです。
これまで育ててくれた恩、漫画の専門学校に通わせてくれた事、本当に感謝しています。今も一番近い場所でビシバシ尻を叩きながら応援してくれています。
もっともっと恩に報いる為に、これから先も頑張っていきます。
次の夢は、AIスピーカーに「江久井って知ってる?」と聞いた時に、しっかり答えて貰えるような作家になる事です。
――ちるちるユーザーにメッセージをどうぞ!
ちるちるユーザーの皆様こんにちは! 江久井です。インタビューを読んでくださってありがとうございます。
AIサラは変わり種なBLですが、楽しんでいただけたら幸いです!
これから先もずっと、SANAと谷口の生活を描けたらいいなと思っています。彼らの凸凹で最先端で異端な毎日を覗いて、笑っていただければ幸いです。
集英社 週刊ヤングジャンプ編集部 仁ノ平さんより
先生とは16歳の時に持ち込みで出会いました。
最初に描いていただいた作品で新人賞佳作を受賞するほど当初からコメディセンス抜群の作家でした。
ただ、ヤングジャンプ本誌や増刊に何度も読み切りが掲載されながらも、なかなか連載に至らなかった時期があり、あらゆるテーマを模索するべく、ご自身の好きなジャンル(BL)方面でTwitterを中心に読者を獲得されていきました。
『AIスピーカーと独身サラリーマン』はニッチなBLに見えて、だれでも楽しめるR-老若男女+なBLでもあります。
あらゆる作品を描いてきたからこそたどり着いたテーマだと思います、ぜひ1巻読んでみてください!!
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(C)江久井/集英社
コメント1
muuebaさん
大好きな作家さんで、中でも好きな作品がコミックスになるだけでも嬉しいのに、ちるちるさんの紹介記事の表現が秀逸、素晴らしく、さらに江久井先生のインタビューまで!
最高です。