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■ 恋は異なもの味なもの / かわい有美子 / いさき李果 / BBN 営業先で見かけたポスターに、大学時代の知り合いである柏葉芳晄を見つけた丹羽亨。その声に惹かれて近づこうとしたものの落とせなかった相手である柏葉を思い出し、懐かしさと好奇心から丹羽は早速会いに向かった。突然の事に驚きながらも気持ちよく再会を喜んでくれた柏葉の、計算などない純真さに丹羽はどんどん惹かれていく。自他共に認める遊び人だった丹羽だが、柏葉相手にはどうしていいか分からない。そんな中、ライバルの登場に焦る丹羽は、勢いで告白してしまうが…。 という、遊び人のサラリーマンと自衛隊員の話。 自衛隊員と言っても、音楽隊なのでガッツリ肉体派というわけではありません。ふたりは別々の大学ですが、サークル活動を介して知り合います。丹羽は柏葉に一目惚れして親しくなろうとがんばりますが、柏葉の家庭の事情もありそのまま疎遠に。容姿に恵まれ口の上手い丹羽は、特定の彼女に落ち着くことなく好みの相手がいれば性別にこだわることなく口説いているような軽薄な男。柏葉には以前落とせなかったリベンジくらいの気持ちで最初は近づいていくのですが、思いがけずその魅力に嵌っていきます。今まで軽い気持ちでしか恋愛してこなかった丹羽は、初めての恋に翻弄されっぱなしでいつものような余裕が持てません。そんな隙だらけのところに、今まで適当に遊んできたつけが回ってきたり、仕事でミスをしてしまったり。柏葉の目の前で何度も失態を演じてしまい、益々焦ってしまう。そして勢いで告白してしまいますが、中途半端でぐだぐだな結果に…。 一方の柏葉は、家族が入退院を繰り返していたせいもあり恋愛経験が乏しく、丹羽の事も友人としか思っていなかったのでどうしていいか分からず戸惑っています。丹羽は柏葉の誠実な考え方や優しさに触れ、「友人」に対する気を許した言動を目の前にしてどんどん惹き込まれていきますが、柏葉にとってはそんなつもりは全くない無自覚の行動なのです。散々遊んできた男が翻弄され、痛い目にあったりかっこ悪い姿を見せたりしながらまっすぐ向かっていく。そんな姿が微笑ましいラブコメ作品です。 そして、もうひとつの見所は柏葉の意外な一面。柏葉の意外な本性が見えてくるどんでん返しが面白い! 予想外な展開でびっくりしましたが、読み返してみると序盤からその気配があるような…。柏葉さん、ただ優しいだけの男ではないのです。それが計算じゃなく無自覚なのがかわいい。まぁ、何にせよ、最後まで丹羽が翻弄される話ですね(笑) かわい先生はしっとりした作品が多いイメージですが、今回はラブコメ。思いがけない展開もあり、楽しめる1冊です。自衛隊、萌えますね! 制服好きな方にオススメします。 ■ ヴァンパイアは食わず嫌い(上下巻) / 夏乃あゆみ(原作:樋口美沙緒)/ Charaコミックス 父の亡き後女手ひとつで子供たちを育ててきた母が入院し、長男の湊は手術費用を稼ぐため、夏休みに住み込みのバイトをすることに。条件は良いがどこか怪しげな洋館のバイトの面接を受けた湊は、そこで屋敷の主・アンリ・ツェペシュと出会う。美しいが口が悪く、湊を追い出そうとするアンリ。その態度に腹を立てながらも、その弟だと言う幼い子供・ヒナに引き留められ、湊は屋敷で働くこととなった。そんな中、部屋で倒れているアンリを見つけ介抱しようとした湊だったが、アンリに突然首筋に噛みつかれてしまい…。 という、現代を舞台にした吸血鬼もの! 吸血鬼は生きるために人間の血を吸うのですが、その中でも「薔薇」と呼ばれる相性の良い人間は栄養がいっぱいな血を持つ貴重な存在。アンリは力のある吸血鬼であるにも関わらず生きることに飽いていて、仲間たちとも距離を取り、ほとんどの時間を眠って過ごしています。「薔薇」の血を吸わなければ寿命は短くなるため、アンリは「薔薇」の血を吸おうとはしません。一緒に暮らしているコウモリのヒナはそんなアンリを悲しく思い、「薔薇」を見つけるために家政婦を募集し、人間たちを面接することに。そこへやってきた湊が「薔薇」だと分かり、ヒナは大喜びだけれど、アンリは不満げ。アンリの態度に苛立ち一度は出ていこうとする湊ですが、ヒナに必死に引き留められ、血を吸われる事を受け入れて働き始めます。 アンリは相変わらずだけれど、湊を突き放そうとするのは湊を想っての事で、決して嫌いなわけじゃない。そんな中他の吸血鬼たちとのトラブルなどが起こり、ふたりの関係が変わっていくのですが、ふたりの気持ちがすれ違いすぎでなかなかうまくいきません。お互いのことを思って行動しているのに、全然噛み合ってないふたり…。端から見たら惹かれ合っているのは丸わかりなのに、一方通行な言動が焦れったい! アンリは不器用で意地っ張りだし、湊は突っ走るし…行動する前にもっとちゃんとふたりで話をしなさい!と説教したくなります(笑)でも、大人(400歳!)なのに不器用で、ヒナに冷たくされて焦っている姿も微笑ましく、なんだか憎めません。 主役ふたりもいいけれど、とにかくヒナの可愛さ効果が絶大!! 仕草も服装も性格も可愛くて癒されます。暴走しがちなキャラにハラハラしっぱなしだったのですが、夏乃先生の美しい画とヒナのかわいさがとても効果的で、すれ違うふたりに対する焦れったさがかなり中和されていました。 全体を通して、夏乃先生の魅力がしっかり満足度に繋がっていて、漫画の良さが出ている作品。ストーリーも可愛らしさも楽しめますよ!
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