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1・2巻は、『是』の世界観の説明編といった感じでしょうか。 言霊師を持たない紺という紙様と、小さな頃に両親を亡くし、高校卒業前に育ててくれた祖母まで亡くし、ひとりになってしまった雷蔵が、人形師・和記や紙様や言霊師の住む屋敷・三刀家へやって来て巻き起こる騒動と、言霊師・彰伊と紙様・阿沙利のお話。 この2カップルを通して、言霊師や紙様の関係が上手く説明されており、読むことで『是』の世界が理解出来るようになっています。 あと、ちらちらと伏線が張られているというか、のちに登場するキャラクターが、名前を紹介されることなく出てきてたりしています。「あ、これ、あのとき出てたキャラだ!」と、気が付いたときにはニヤリとさせられます。それだけでなく、「雷蔵が死んだら、俺はたぶん泣くと思う」という紺のセリフ。雷蔵に聞かせている風を装っていますが、これが氷見編で強烈に効いてくるんですよね。 3・4巻で本領発揮、玄間×氷見編です。(個人的に大好きなカップルです) ここからはちょっと応用編といった感じで、紙様の「へぇ~」と頷いてしまうような、少々突っ込んだ設定が垣間見られます。 紺が言った『泣く』というキーワード。実は、紙様が泣くときは『白紙に戻る』ときなんです。人間が死ぬのとはちょっと違うんですが『白紙に戻る=死ぬ』というで、再生されてたとしても、それまでの記憶が白紙に戻ると言ったらわかりやすいでしょうか。仕える言霊師がいなくなったときには、白紙に戻りまた次の言霊師に仕える日を、小さな紙人形になって待つわけです。ですが、ときには寿命を迎えることや、核となるものが壊れ『魄死』を迎えることも。 さて、氷見はもともと玄間の父の紙様でした。父が亡くなったことで、玄間が屋敷ごと氷見を譲り受けるわけです。いつも父と一緒にいる氷見と出会い、その頃からずっと好きだったんです。氷見は玄間の父に大事にはされていたけれど、愛情とはちょっと違っていて、『愛する』ということが理解出来ませんでした。それでも、玄間と一緒にいることで愛を知りますが、愛を知ったときに悲劇が襲うんです。 (3・4巻を一緒に読まないと、「こんなところで~!!!」と悲劇が襲います) 氷見が涙を流すシーン、白紙に戻るシーン、紙様が再生されるシーン、と紙様関連の設定がわかるシーンがふんだんに出てきます。 5・6巻は、紙様・守夜×言霊師・隆成カップル。言霊師であることの哀しみを切々と伝えるお話となっています。 言霊師だって、みんながみんな望んで言霊師になったわけではないんです。そんなひとりが隆成。だって母とケンカして、つい言ったひとことで母が死んだとなれば、言霊師というものに嫌悪を覚えるのは当然。隆成の哀しみたるや、生半可なものじゃありませんでした。ですが、大事な人が大ケガをさせられたことで、怒りを爆発させた隆成。どんな気持ちで言霊を発したのか。そして、そんな隆成を守った守夜の存在。 そして7巻では、お待ちかねの琴葉編。いまだわからないことが多すぎて、早くその秘密を知りたいような、知ったら知ったで悲しみが深くなっちゃうんだろうかと心配したりも。 でも、謎といえば一番謎に包まれているのが、紙様を作り出す人形師・和記です。氷見を再生したのは今から16年前。その頃から見かけが何一つ変わっていないんですけれど……。いつも背中に背負っている大きな箱の中味とか、名前だけ出てくる言霊師・力一との関係とか。いつ明らかにされるのかなぁ。 ひとりの言霊師にひとりの紙様(しかも同性と決められている)。使い捨てとか、その場限りとかの薄っぺらな絆ではなく、強い強い絆がどのカップルからも感じられるんです。それぞれの登場人物の存在意義を尋ねているんだろうなぁと感じながら、でも、いるだけで癒される、そんな存在があってもいいんじゃないかな。お互いを求め、そばにいることで感情を持ち始める登場人物もいて。 この先も目が離せない、そして追いかけ続けたいマンガです。
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