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■姦淫の花/著者:夜光花/挿絵:水名瀬雅良/SHYノベルズ --あらすじ-- 大学生の磯谷誠(20歳)は、過疎化の進む四国のとある村で育った。 東京の高校に進学し、先に上京していた6歳上の義母兄・尚吾(26歳)と暮らしていた誠だが、1ヶ月前に起きた事件によって村の抱えていた秘密を知ることに。 そして、その事件を切っ掛けに尚吾の自分への想いを知り、誠もまた兄の尚吾に惹かれ、恋人同士としての生活が始まった。 尚吾のことは好きだけど、激しく求められることに抵抗もある。 まだ新しい関係に慣れない誠だが、ある日ふたりの元に事件の発端となった幻覚植物「鬼喰い草」が送られてきて…。 2008年に発売された「堕ちる花」の続編です。 「堕ちる花」は村で起こった事件を切っ掛けに、恋人同士となるまでの話。 村が密かに栽培し、収入源としてきた違法植物「鬼喰い草」が原因で事件が起こり、誠は友人を失います。 事件は一応の収束を迎えたけれど、事件が公になることはなく、中心となっていた人物も行方不明のまま。 今回はその後のふたりが再び向き合うこととなる村の因習と、誠が本当の意味で尚吾を受け入れる過程の話になっています。 前巻で消化しきれていなかった事件の背景ももちろんですが、ふたりの恋愛についても掘り下げられていて、話にどんどん惹き込まれました。 そして何より、激しくエロいです!(こことっても重要) 個人的に夜光花先生は萌えエロ作家さんという認識なのですが、今回は既に恋人同士となっているふたりの話なので、これでもかと詰め込まれています。 誠がかなり泣かされていて、ちょっとそれは愛があってもどうなの?と感じる場面もあったのですが、尚吾の背景を知るとその暴走も当然のことなのかもしれないなと思えてきます。 あ、それに誠は無自覚の淫乱小悪魔ちゃんですからね! 尚吾が煽られてしまうのも仕方がない。 この兄弟は割れ鍋に綴じ蓋。いや、毒をもって毒を制す? 性欲方面以外でも、過去の事も含めひとりでは重くなりがちな尚吾に対し、無邪気な誠はピッタリです。 全体的にとっても夜光花先生らしい話だと思います。 サスペンス的な要素もあり、エロもガッツリ。 1冊目はモヤモヤした読後感だったので続きが出ることに吃驚していましたが、続編で俄然話が面白くなってきましたよ! 次で完結となるようです。 どんな結末になるのか、そしてどんな萌えが詰め込まれているのか、続きがとても楽しみ! ■Punch↑(2)/著者:鹿乃しうこ/BBC --あらすじ-- 型枠大工の大木浩太(19歳)と、建築士の牧志青(31歳)。 ふたりは付き合って、同棲までしているけれど、お互いにまだ不安も感じている。 ある日、牧の元に浩太の親友・西賀が訪ねてきて…。 2006年に出たコミックスの続編。 大好きなこの話の続きが読めるとは思っていなかったので、読む前からテンション上がっていました。 期待通り、いやそれ以上に面白かったです! 2巻は既に恋人同士となっているふたりのその後。 ぶつかり合っては少しずつ関係が進展していて、その度にエッチも盛り上がり~♪ 鹿乃先生のマンガは基本的にどれもエロ濃厚ですが、それが全然下品じゃないんですよね。 ちょっとマイナーな萌えも何の恥じらいもなく登場して、普通にとけ込んでいる。 そのバランス感覚と漢らしさが大好きです! 可愛い顔にスジ筋ボディというガテン青年・浩太と、二枚目の外見に反してかなりエロオヤジな建築士・牧、というふたりのキャラがとても立っています。 特に浩太の外見と中身のギャップが美味しくていい! この巻には浩太の過去の切ない初恋話も収録されていて、これだけ読むとこっちの男(裕也)と幸せになって欲しいと思ってしまったり…。 い、いやいや、やっぱり浩太が浩太らしくいられるのは牧だよね! その辺りを次の巻でじっくり見せて欲しいです。 続編が待ち遠しい!! 最後にもう一冊、私が感想を書いているブログで反響の大きかったこの作品をご紹介。 ■堕ちゆく者の記録/著者:秀香穂里/挿絵:高階佑/Chara文庫 --あらすじ-- ある日、目が覚めるとそこは檻の中だった。 大手アパレルメーカーでデザイナーとして働いていた阿東英司は、1ヶ月のリフレッシュ休暇を社長の石田敬一に囚われたまま過ごすことになる。 英司を「A」と呼び、自身を「K」と呼ばせる石田。 理由が分からないまま自由を奪われ混乱する英司だが…。 「問題作」とか「実験的な作品」とか、そんな煽りをされていたこの作品。 内容も変わっていますが、話の間に「A」の書かされている日記と「K」が書いている日記の記述を挟んだ構成になっていて、それも独特の雰囲気を作っています。 英司が追い詰められながらも必死に抵抗し、正気を保とうとしているのに対して、序盤、石田がとても無機質に対応している様子が怖い。 しかし英司は、完璧な人間だと思っていた石田の心の闇を垣間見ることによって、次第にその闇に囚われはじめます。 追い詰められた先で、英司は自分が渇望していた生き方を見いだします。 それは英司が自ら選んだ答えであり、その流れは不自然に感じないのですが…。 でもやっぱり、冷静に考えると「目を覚まして英司!」と言いたくなりますよ。 思考の組立は分かるけど、その前提が何か間違っている気がする…。 一方の石田については、行動も常軌を逸していますが、それよりもあまりにネガティブ思考で私の理解を超えていました。 檻に閉じこめられていたのは、石田の思考の方ですね。 排他的なラストで、モヤモヤした読後感が味になっているこの作品。 監禁ネタで重い話というと、私は恐怖を覚えるようなホラー路線や耽美的なJUNE路線を予想してしまいますが、今回の話はそれとはまた違った雰囲気でしょうか。 私は身構えすぎたせいかあまり衝撃はありませんでしたが(もっと心身ともに痛い話かと思っていました)、読み手によって印象がかなり違ってきそうですね。 賛否両論ありつつも、読み応えのある作品であることは間違いないと思います!
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