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年の差と聞いて思い浮かぶのは、まずは男同士ならではのボーイズラブというか、メンズラブ。 妻が死んだあとの義父と婿との禁断の愛というストーリー(もともと義父が好きだったのを承知で妻が結婚してくれていたり、妻が存命中は懸命に恋心を抑えていたりというディテールの違いはあるものの)、いくつもいいものありますよねぇ。 個人的に一番好きなのは、鹿乃しうこさんの『君さえいれば…』。26歳サラリーマン×やもめの上司の元舅45歳←ややこしいな。でも、26歳に嫉妬して泣く45歳とか、たまらないです。 また、ずっと子どもだと思っていた小さな子どもが、いつの間にか大きくなって立場が逆転、押し倒してくる、っていうストーリーもいいですよね(うっとり)。 ちなみにこのパターンで一番強烈なのは、木原音瀬さんの『HOME』です。いや、どこまでネタバレを許してもらえるのかわからないですが、片想いだった人が亡くし、その身内の子ども(ちょっと人間関係は複雑なのでとりあえず)を引き取った主人公が、ずっと思いを募らせていたその子どもに強姦され、紆余曲折の末、一瞬思いは通じ合うものの、いくつもの誤解を経て、最後には…。いえませんが、すごーいホラーでした。でもまぁとにかく、結局、年上が受けになるのが、この手のメンズラブの醍醐味なのかしら? それはさておき。年の差で気になるジャンルは、ずばり「ショタ」です。ショタコン。ショタが好きな作家さんは、やっぱり小さな男の子が受けになるストーリーを繰り返し書かれますよね。女の子を対象とするロリコンというと、正直にいえば微妙な気持ちになるのだけれど、男の子が対象のショタコンは、どうなんでしょう? ちょっと苦手なジャンルだけに、挑戦してみました。 ショタでも一番大丈夫なのは、真生るいすさんの『坊ちゃまと主治医』。坊ちゃま、コミックの最初のほうは、年齢がぶれてますけど、でもとにかく、可愛い!! 主治医のアダムは、恋心を抑えているのに、坊ちゃまときたら、小悪魔みたいに、あの手この手でアダムの気を惹こうとして…。 本当はアダムのほうが坊ちゃまを好きなんだけど、イニシアティブを握っているのが坊ちゃまだからいいのかしら? それともふたりの関係がソフトで、性の匂いがしないから? うーん。というわけで、じゃあもっと過激なものにいってみたいと思います。 ショタといったら、この人を置いていないでしょう、CJ Michalskiさん。『ボクのご主人様』では、少年のショーンが領主の跡継ぎに出会って恋に落ち、7ページ目でカップルが誕生。そのあとは、激しいです。少年が「イヤ、イヤ」と喘いでいるのに、ご主人様はやめません。でも口先でそういっていても、今度も本当に好きなのは、ご主人様のほう。不思議なことは、すごく過激にセックスしていても、これもまた、性の匂いがしないこと。当たり前ですよね、片方が、性的な身体をもっていないんだもの。 ロリータが、性的な存在じゃない少女に女の性を与えることで淫靡になるとしたら、おそらく性的な存在じゃない少年に男の性を与えても、男の身体がもともとわたしたちの社会では性的な意味をもたないだけに、淫靡にはならないのではないでしょうか。 つまり、ボーイズラブのショタは、性的な存在になりたくはないけれど、性的な快楽を楽しみたい女性に、娯楽を提供してくれるんじゃないかと思うのですが。でもこのジャンルを描く作家が少ない理由も恐らく同じだと思います。女性は「相手に求められて、性的な存在になること」で自分自身の「価値」や「存在理由」を確かめる習い性があるので、性的な存在とならないで快楽を求めたいと思う女性は、おそらくはマイノリティなのではと思うのです。 そういう意味では、ショタという装置を使って一番楽しめるのは、やはり男性読者ではないでしょうか。 ここからはかなりの極論になるかもしれません。汗臭い男性の身体をあまり好きになれない男性、他人に弱さを見せることがタブーとされている男性が、心置きなく自分自身にかえれるのは、性的な存在ではない「少年」ですよね。その「少年」を、年上の女性に弄ばれるかたちではなく、つまりは自分の男性性を挫折することなく、愛してくれるのは年上の男性。そして男性にもまた、当然、愛されるだけではなく、愛したい気持ちもある。つまり、年上×少年は、男性にとって自分が抱かれながら自分を抱くための究極のパラダイスであって、女性が女の自分を愛し愛されるために、男性ふたりに自己を投影してきた装置が、この場合にだけ男性にも機能するのではないか、という気がするのです。 ただ最後に気になるのは、CJ Michalskiさんによく出てくる、どこからみてもいやらし~い、ヒヒ爺さん。少年に襲い掛かったり意地悪するけれど、いつも最後に非業の死を遂げるんですよね。自分がヒヒ爺さん役でないことだけを祈ります…。
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