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この話って正確に言うとBLなんでしょうか? BLでないんでしょうか? レーベル的にはコバルトなので、BLもBLでないのも両方アリだし、男と男が恋愛するのがBLだとしたら、確かにこれは間違いなくそうだ、と言う事になるんですよ。 なるんですけど、ちょっとこれは判断が難しい所です。 まぁ、どっちにしても、カナリ特殊な話には違いないですけどね。 結構長いシリーズですが、今のところキス以上のエロはなし。BLとして読むとだからもしかして「物足りない」と言う人もいるかも知れません。 基本としては普通のライトなノベルズ、でもちょっと、ってか多分にBL風味♪ そんなカンジで読むとちょうどいいのかも。 主人公の岡本美希也は、京都の置屋・吉之屋おかみの一人息子。置屋とは、芸者さんや舞妓さんの事務所みたいな所です。この置屋から、舞妓さん達は日々色んなお座敷に出かけていくんですね。 時は七月、京都夏祭りの宵山の日、突如として吉之屋の舞妓さんが一人いなくなってしまいました。前日男の人と会っていたという事からも、もしかしてその舞妓さんは逃げてしまったんじゃぁ? と推測されます。部屋からスポーツバックなくなっているし。 それはさておき、でもそうすると、とりあえず一番先に考えなくちゃいけない問題は、その日に入っているその舞妓ちゃんのお座敷をどうするかです。 前日とかならまだしも、さすがに当日ってのはマズイ。当日ドタキャンなんかしたら吉之屋の信用が地に落ちます。何とかキャンセルせずに代りの舞妓を……と思ったって、宵山の日です。皆忙しくって、どこにも空いている舞妓さんなんていやしません。 傍でこの騒動を見ていた美希也は、ある提案をします。「自分が一日だけ見習いの舞妓になるのはどうか?」って。 自分なら、生まれた時からずっと普通に舞妓さんと接しているし、だから仕草も舞妓言葉も真似出来る。なんとか実家と母親のピンチを救おうと思ってそう言ったのですが、当然最初は却下されました。 しかし、まぁものは試し、ダメで元々と言う事で半ば強引に舞妓姿になった美希也は、声の出し方、雰囲気までも完璧が舞妓さんそのもの☆ それを見て、おかみもようやくGOサインを出すのです。 美希也の芸名は、千代菊。吉之屋の少年舞妓、千代菊の誕生です! 『吉野家の千代菊どす。どうぞよろしょうおたのもうします』 何とか男だとばれずに一つ目のお座敷をクリアした千代菊。二つ目のお座敷で、ある男に出会います。その男の名は、楡崎慎一郎。実業界の若きプリンス。32歳でバツイチで、祇園の大VIP。 そのプリンス、あろう事か、千代菊に一目ボレしちゃったんです。 直接千代菊に迫ってくるのはさすがに楡崎だけですが、でも他のお客達からも千代菊は大人気☆ 「次の千代菊のお座敷はいつだ」って、問い合わせと予約の電話がいっぱい吉之屋にかかってくる程。 おかげで、どうにも千代菊、止められなくなっちゃいました。最初は一日だけって約束だったのにね☆ 美希也自身も。また舞妓という職業が好きになっていたので「声変わりになまで」と決めて、以降も舞妓家業にいそしみます。 うーん、何だかあらすじだけ読むと、特殊…っていうか、もう殆ど無理矢理ってな感じの話なような気がしますねぇ~もっとはっきり言っちゃうと、こんなとんでもない設定の話がはたして本当に面白いのか?! と言いたくなる。 面白いんですよ、それが!! エエ、不思議と。(笑) ディティールがうまいんですね、そしてリアル。 例えば舞妓さんの衣装の柄や月毎に替わるかんざしの意味や種類など、祇園のしきたりや風習、舞妓さんの日常生活なんかも、こと細かに描かれていて面白い。思わず呼んでいて (へぇ~そうなんだー) とうなってしまいます。舞妓さんのことなんてちょっと珍しい雑学だから、つい誰かにひけらかしたくなったり♪(←やったらしい) 設定的にも思った程無理がないんですね。主人公の美希也は長髪だから地毛で髷を結える……と言っても、その長髪もちゃんと学生らしい訳がある。最終期限を「声変わりまで」とするのもそう。平日は学校があるので「週末舞妓」と言う手段を取るのも思わず納得です。 楡崎は、通常のお座敷の他にも、事ある毎に、すぐ強引に千代菊にお座敷予約を入れて来ます。お座敷ではキスしてこようとするし、それ以上も隙あらばしようとしてくる。もちろん、それは千代菊を女だと思っているからなんですが……オールバックに敬語でいつも千代菊に甘い言葉をささやくのですね。 千代菊は、そんな楡崎の事が、まぁ好きだったり時には嫌いだったり。要するに「天敵」なんだそうですよ。 何だかんだ言って、何かでも事件が起こると、助けたり助けられたりするこの二人、巻を追う毎にちょっとづつだけど親密度が上がって来る?? 千代菊は、毎回お座敷で色んな人に出会います。その人達と千代菊との間にも、時には淡かったり濃かったりの恋模様があったり、又騒動もあったり…そして楡崎が嫉妬しまくったり。(笑) この楡崎の嫉妬し方がまた中々笑えるんですよ、毎回毎回。 「少年舞妓、千代菊が行く」シリーズ、もしもまだ読んでいないのなら、この機会に是非是非まずは一冊、お試しあれ☆
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