世の中でオタクと言っても多種多様ですが、当事者たちには当事者たちなりの棲み分けがあります。
「鉄オタ」の中にも乗るのが好きな人と見るのが好きな人、新幹線が好きな人と鈍行が好きな人、さらにそこから路線ごと……と同じようでいてそれぞれ好みが異なることを知っている人は多いと思います。
かくいう「腐女子」という括りも、その中が細分化されていることは感じたことがあると思います。
「次に書くネタがない」とぼやいていたらちるちるさんが「気楽でいいよー」と言ったので、今回はそのあたりをつらつらと書くことにします。
まず、商業BL(オリジナル)好きとパロディBL好きは違います。
「オリジナル好きでパロディも好き」な人はいても「パロディ好きでオリジナルも好き」という人は意外と少ないです。
どちらも好きな人なら分かると思いますが、同人イベント会場の雰囲気は驚くほど異なります。
パロディジャンルのほうが参加サークル数が多く若い人がメインなので、余計にそう感じてしまうのかもしれません。
結局、似たような性質を持っていても根本は違うということでしょう。
パロディジャンルで人気の作家がデビューしたとして、商業でも人気が出るわけじゃないというのが分かりやすい例です。
オリジナルしか読まない人からすればただの「新人作家」ですし、パロディ好きからすれば「あのキャラを描いている作家好き」という場合が多いのでオリジナルまでついてくる人は極少数だと言われています。
パロディジャンルが好きな人の大半は、キャラクターが優先ということです。なので、どんなに盛り上がっているジャンルがあっても、その勢いがオリジナルの市場に影響することはありません。
また、過去にパロディジャンルの作家に何度も仕事の依頼をしましたが、「商業BLを読んだことがありますか?」と聞くと、だいたい「商業は読んだことがないです」と言われました。読んだことがある人でも、好きでずっと読んでいる人は本当にわずかで、あとは「友達がデビューしたので……」という感じです。
作り手側がその状態なので、読者にもそういう人が多いだろうというのは想像に難くないです。
現にパロディ好きの友人は、好きな作家が商業で本を出していることを知っても「機会があれば読むかもっていう程度」と言います。
自分はオリジナルから入ったので、感覚が違うんだろうなと実感しました。
次に、電子書籍でBLを読んでいる人が商業BL書籍を読むか、と言われるとそれはそれで違います。逆もまた然りです。
いろんな広告バナーに釣られてくる人が多いからなのか、エロければ売れるという傾向は電子出版の業界にはまだ色濃く残っているようです。
集計を見ると、確かに通常の書籍で人気の作品も入ってくるのですが、「これは何?」というタイトルからしてエロがメインの作品が並んでいました。
そしてだいたいが紙媒体では見かけたことのない名前の作家というのが、また面白いところです。
そこから推察するに、「電子配信を読んでいる人は通常の書籍を読んでいる層とは違う上に若いのだろう」と思いました。
エロがドキドキして楽しい時期の人=だいぶ若いorBL若葉マーク という勝手な解釈ですが、あながち外れていないんじゃないかと思っています。
(あと、日常的に商業BLを読んでいる人は、電子媒体に馴染みが薄いため読んでいない人が多いだろうとも言われています)
最近WEB雑誌が増えている一番の理由は、そういうWEB上にいる若い読者を紙媒体にも誘導して新規読者を増やそうという狙いがあるのでしょう。
ただなんとなく、
「単行本の刊行点数を増やして補填したい」
↓
「でも掲載作品を増やすのに紙の媒体は赤が大きいし、現状ではリスクが高すぎる」
↓
「そうだWEBにしよう!」
が一番なのではないかと勘繰ってしまいます。
電子書籍からハマって一般の書籍でBLを読むようになった人は、果たしてどれくらいいるのでしょうか。
うっすらとした憶測ではなく、実情を調べてみたいものです。
あとは商業BLを読むのが好きな層とBLCDを買う層にはズレがある、とも言われています。
もちろん両方好きな人もいるでしょう。
ドラマCDはキャストが持つ要素もとても大きいですから、商業BLが好きで声優も好きな人にはとても楽しいと思います。
ただ、商業BLにどっぷりハマっているタイプはアニメなどに詳しくない人も多く、中堅~若手ぐらいの人気声優がキャスティングされても分からない(=原作要素以外の商品価値が分からない)と度々言われました。
また、自分の中に確固たる原作のイメージが築かれている人は、そのイメージが崩れるのを防ぐために聞かない場合もあるでしょう。
その作品なら何でもいいというファンと、BL要素も楽しめる声優の好きな人が主に買っていて、さらにどちらかといえば後者が多い印象です。
うろ覚えですが、私が働いていた当時で2~3000枚売れれば当たり作だと言われたことがあります。現在は状況が変わっているかもしれませんが、そうすると売れていない作品は数百枚レベルでは……。
ここ数年で無くなったドラマCDレーベルもあるので、やはり厳しい状況だと実感せざるおえないですね。
あくまでも私的な見解でしかないですが、こうなんじゃないかと考えながら派生商品に関わっていました。
気がついたときには思っていたよりもしっかりと線引きされていて、紙媒体と同じ捉え方ではダメなんだと思い知らされたことがたくさんあります。
もし、すべてがクリアできるような、其処此処で人気の人がコラボして紙と電子とドラマCDでリンクしているシリーズ作(スピンオフも含め全新作)を展開……というこができれば楽しいかもしれません。ものすごくテキトーですが。
そういえば、今回挙げたコンテンツをすべて網羅している人はいるのでしょうか。
もしもいるなら、会って話してみたいですね。
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