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このシリーズの面白みは、まずキャラクターの魅力でしょう。 主人公神崎秀一は、警察機構に嫌気がさして、祖父から相続した雑居ビルの管理人として大阪にやってきます。そこでヤクザの若頭辰巳に気に入られてしまうのですが、主人公が飄々とした性格なので、ヤクザものというのに陰湿さがありません。 辰巳に無理矢理押し倒されても、「刑事時代には考えられないほど油断してたなあ」とまるで他人事。 それが人生を放棄して投げやりになっているかというと、そうでもなく情に厚く熱血な人の良さも時々みせてくれます。 辰巳もヤクザらしい色気があり、剛胆で組員にしたわれています。そんな辰巳が唯一執着しているという秀一。 しかし、ヤクザに執着されているというのに、暗さがありません。情人(イロ)と呼ばれて事務所の人間に顔見せすることになっても、仕方ないとその状況を楽しんでいるようなところがあります。 かといって、流されてばかりではありません。辰巳の立場を時々利用して、仕事を有利に運んでみたり。度胸も行動力もある秀一の人柄に好感がもてます。 秀一の暇つぶしだからと、色々な事件に首をつっこんでいくことを辰巳も容認していて、二人の掛け合いはリズム感、スピード感があり、楽しみの一つでもあります。 しかも秀一が雑居ビルにいるニューハーフにも、中国人家族にも分け隔てなく、礼儀正しく接するものだからご近所中の人気者。辰巳の部下からも度胸の良さから慕われるようになり和気藹々とした空気が、長く読者に支持されている理由でしょう。 身辺で勃発する事件も陰惨さがなく二人の関係のスパイスでしかなく、魅力的な脇役たちや、大阪弁での軽快なやりとりも楽しく、まるで一昔前のお茶の間ドラマのようなノリです。 ヤクザは読んでみたいけど、血や暴力が苦手な読者には、このシリーズは楽しんで頂けると思います。
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