total review:279077today:29
ゲストさん
無料会員登録
ログイン
剛先生は、骨太の文章がおとくいですが、高倉健や、松方弘樹の任侠映画がお好きだというだけあって、登場人物ほとんどがヤクザで、組長のためのご恩返しだとか、組の看板にふさわしい男になってみせるとか、うまく生かして、上手に殺すとか・・・ このシリーズを読み終わったら任侠映画をみおわったようにどっぷり思考回路がヤクザ色に染まること請け合いです。 そして「はめてやるっ!」シリーズの主人公辰巳鋭二こそが、BL史上もっとも残忍で美しくかつ、漢らしいヤクザだと思います。 広域暴力団傾正会の若頭・辰巳鋭二は、組長権堂の直属の幹部で、目的のためには手段を選ばず非道で一度ねらった獲物は逃がさないという冷酷さを持つ反面、仁義に篤く自分の部下には目を掛け可愛がります。 辰巳には、信頼を置いている部下が二人。四六時中一緒にいて辰巳のために命をすててもかまわない剣道有段者の安藤と、右翼活動家上がりのインテリ中村。 狛犬のように二人を従えて、ヤクザのシノギをこなしますが、ただの任侠映画でなくBL作品ということで、辰巳には入れ墨もありません。美しい入れ墨を自分にいれても鑑賞できないという理由から、子飼いの安藤の背中に自分の好きな上り龍を背中にいれさせています。そして、カップリングですが…安藤× 辰巳です。辰巳は受けですが、あくまでも安藤の主人であり、主導権は辰巳にあります。 女役をしていても、辰巳はいつも漢です。男を貪り喰らいます。興奮したり、ストレスがたまると、縛られたり、ベルトでたたかれたりと酷く扱われることをのぞみますが、その欲望をかなえられるのは唯一、安藤です。 辰巳に拾われた命だからと、安藤は辰巳に従順です。二人の時だけ鋭二と呼ぶことを許され、辰巳のつまみ食いに嫉妬しながらも、子飼いの舎弟のなかで関係を結ぶのは自分だけだからと自分を慰めます。 そんな二人の側で淡々と自分の仕事をこなす中村も、なかなか面白いキャラで、ストイックで、辰巳の影のように付き従っていますが、活動家らしく、休みの日には靖国神社の清掃活動のボランティアをしています。 BLによくある温泉シーンですが、やはりヤクザの温泉はひと味ちがいますよ。安藤はタオルの中に拳銃を隠し、中村ははずしたふんどしのなかに短刀を隠し、裸であっても辰巳をまもります。 極悪非道な辰巳がふと見せる人間らしさに、惚れ込んでいる安藤や中村同様、読者も辰巳の色気に萌えること間違いなしです。
Copyright 2008~ © All right reserved,BLサイト ちるちる