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「~その1~ 体の形で考える」の最終で精神的に攻め(【攻め】)という考え方を紹介しました。積極的にエッチをリードしていく側、相手より精神的に優位な側とも言えるでしょう。 ここで重要なのは1つのカップルに攻めや受けが二人いても最終的に折り合いがつくことがあるけども【攻め】【受け】が二人いる場合は絶対に片方が考えを変えないといけないという事です。 どっちもが【攻め】で「こうしたいんだ」という風にどんどんリードしようとすると揉める元ですし、どちらも【受け】で相手任せにしようなどとするといつまでたっても先に進みません。 というわけでBLではリバーシブルの有り無しに関わらず【攻め】【受け】の役割分担が大事になります。そしてリバーシブルになるかは【攻め】の意識をどちらが持つかとその後の【攻め】の行動にかかっています。 ここではリバカップルによくある心の動きを分類しつつ追いかけていくことにします。 まずは完全リバーシブルのケースを3つ。 ケース1:受けが【攻め】を身に着けて ケース1では受け同士のパターンのリバカップル、村上左知 「ルールそのいち」 のリオとエツに登場してもらいます。この二人はその1で前記したように基本線の姿勢はネコ、つまり受けです。体格的にはエツの方がちょっと大きく、経験値も高いです。当初の二人の姿勢はどちらも【受け】。お互いネコという理由もあり、お互いを好きにならないでいようというルールを作ります。そんなルール作る時点で意識はしているのですが、これでは前に進めません。 ところが、間に一人攻めである当て馬が入ることによりエツの方から「キスしたい」「もっと好きになって」とアプローチをかけます。ここでエツの【攻め】のスイッチが入ります。 ここから最初のうちはエツが【攻め】で攻めなのですが、本来の体の方の好みは受けの方。そのことについてリオはそれでよかったのかな?と疑問を抱きます。そこを考慮したエツはリオの上に乗り、自ら受け入れるという【攻め】らしい受けを見せるのです。 自らの本来の欲望に忠実でありながら、相手の望んであるであろう方向性ともそれがたまたま一致している。その事によって自然にリバーシブルが成立するのです。 ケース2:攻め争いに勝って【攻め】を奪われる ケース2では攻め同士のパターンとして笹村剛 「まずは奪いあい!」 の外科医の瀧山と小児科医の佐久間に登場してもらいます。お互い相手を抱きたいと思っている時点で二人の相性はいいわけです。しかし、残念ながらお互いタチでしかも「俺がいれたい」と強く主導権=【攻め】を主張して屈伏しない状況。この状態ではエッチは成立しないのでしばらくは本気の抜きっこ(リバ以外でも攻め争いではよく見る情景です)で争うことになります。 攻め争いでは「先にいかせる」という方法で勝った瀧山。しかし、そこで佐久間は「抱かせてやる」という姿勢を見せます。受けていながらまだ【攻め】は佐久間の手の中にあるのです。その後も常に「今回は俺が抱かれていいですよ」「いつでも俺はあなたを抱きますよ」という上に乗る態度をちらつかせます。 そんな【攻め】に負け、最終的に瀧山は「どういう風に抱くんだろう」と流されて抱かれてしまいます。しかし、【受け】になってしまってるのでその欲求も素直に言えません。【攻め】の佐久間に抱いてほしいか?と聞かないと抱かれられないのです。ここでもし瀧山が【攻め】だったら?それがケース3になります。 ケース3:攻めるも受けるも【攻め】次第 ケース3では新井サチ 「ギリギリな僕ら」 のプロサッカー選手の彪とスタイリストの伸二に登場してもらいます。この二人の場合は高校の友人から先に告白した方が彪、告白されて逃げた方が伸二という関係。【攻め】のまわってくるチャンスは全くと言ってありません。 一瞬「付き合おう」というセリフによって【攻め】を得る権利を得かけましたが、性的経験値がゼロであること、が伸二に攻めも【攻め】も許しませんでした。 こうなると基本線攻め受けは変わってこないはずなのですが、この二人がリバーシブルとなってしまったのは彪の伸二に対する過剰な好奇心のたまもの、そして伸二の経験値のなさが表れてくるのです。 かくして彪は「俺の方が待ったから!」と処女を奪い、「伸二の童貞いただけるってことだろ」と考えて準備万端整えて、しかも騎乗位でのしかかって童貞を奪うのです。伸二は今後攻めをする事も受けをすることもあるでしょうが、【攻め】続けられる事には変わりはないのです、よほどの事がないと。 完全リバーシブルだけでもこれだけ大きな違いがあるのですが、カップルのうち一人がリバーシブルとなるとさらにケース1~3では当てはまらないものが出てきます。 ケース4:【攻め】力に屈伏する元攻め ケース4では東野裕 「破廉恥のススメ」 の華族の息子、國臣と正嗣に登場してもらいます。 この二人は当初は純粋に攻めで【攻め】です。華族の息子や役者などの華奢な少年を目標として見定め、いかにして落とすかという恋愛遊びを楽しむ友人でした。しかしそういう間柄を楽しんでいるうちに國臣の思いは正嗣に向き、告白することになります。 もし、この二人が愛情的に近づきさえしなければお互いは【受け】を見つけて平和に攻めライフをエンジョイしていたと思われます。しかし近づいてしまった。そして雄力が強く、思いの強い國臣が【攻め】を得ることになります。ケース2のように受けが【攻め】を持たず、ケース3のように【攻め】が自由奔放ではないので、完全リバーシブルにはならないでしょう。 リバーシブルとは意識されませんが、非常に多いノンケをゲイが受けに落すBLも広義ではこれになります。なぜならばノンケ描写がされているという事は、確実に女性に対して【攻め】てたわけですから。 これが【受け】同士の場合はどうなるのか?数は少ないですが次で述べてみましょう。 ケース5:守ってあげたい物を見つけた【受け】 ケース5では村上左知 「非常階段で逢いましょう」 の安積と朋記に登場してもらいます。二人とも受けで「相手にお料理作ってあげたい」安積の方がより自覚の強い受けです。朋記の方はまだ守られたい、程度の【受け】自覚。二人は攻めである加島のきっかけで単なるビルの上下の人以外の関係が付くことになります。階段を上る事すらままならないひ弱なコネコ、朋記への保護欲が安積を攻めに転じていくことになります。 ここで上記の文章で安積に【受け】を使っていないことに気づかれたでしょうか。実は「~をしてあげたい」という奉仕欲求は【受け】というより【攻め】に近い感情なのですね。 勿論加島とのセフレ関係では住居に入り浸ってたりしてやや依存の気のある【受け】だったですが、こういう「もっと弱い」相手を見つけた時にいつでもリードし、【攻め】になる素質はあったのです。 ケース6:両面で愛されすぎる【受け】 最後にケース6で前編で紹介した中で今まで置き去りにしてきた3Pリバーシブルの例として安南友香子 「美味しく、いただきます!」 の三人、一喜、瑚鉄、みかさを観察してみましょう。 どちらかというと人を近づけない風貌性格にもかかわらず、たまたま絡まれていたところを守ったというきっかけで一喜とみかさに強烈になつかれる瑚鉄。しかも二人は瑚鉄をかなりエロイ目線で見ています。 一喜は女子にもてる攻めとして、みかさは男子にもてる受けとして人気があるのですが、二人は共通して瑚鉄への愛情を強烈に主張して二人のファンを追い払い「僕らの本気を舐めないで」と同時に童貞と処女を奪われることになります。 そう。体の形こそリバーシブルですが、瑚鉄は両面から全力で【攻め】られるわけです。この愛情は瑚鉄の人を近づけない凍った性格まで変えていくことになります。 というわけで、いろいろなケースを元にリバーシブルに向かう心理について探っていきましたが、大きく三つ気づくことがあります。まとめておきましょう。 1:体の受け攻めは心の【受け】【攻め】とは別。攻防戦も別。 2:体で受けて心で【攻め】る、もしくは逆も十分にある。 3:一度決まった【攻め】【受け】は攻め受けより逆転しづらい。 リバーシブルでないBLにも応用できます。たとえばヘタレ攻め×女王様受けなどはたびたびヘタレ【受け】×女王様【攻め】なこともあるはず。 リバーシブルがあろうがなかろうが、そういうアンバランスはあるかな?と楽しみながら、心の動きを考えるのも一興です。
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