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■ テルペノイド/岡田屋鉄蔵/BBC 事故で亡くなった弟の子供である晴人(ハル)を引き取り、男手ひとつで育てているユキこと高橋幸人(ユキ)。 心を閉ざしていたハルだったが、隣に住む八木の助けもあり、今ではユキと良好な関係を築けている。 それが縁で独り身の八木と家族ぐるみの付き合いをするようになるが、その一方でユキは八木に対して好意を抱いていた。 しかしある日、仕事のパートナーでセフレでもある岡本健一(オカケン)とキスをしているところを八木に見られてしまい…。 3人で過ごす時間は心地よく、相手はノンケだからと行動を起こせずにいるユキ。 でもゲイである事がバレてしまったことで、お互いの気持ちを知ることとなり…という展開で始まる、八木×ユキのエピソードが3話収録されています。 八木のことは大切だけど、息子同然である幼稚園児のハルがユキの中では一番。 もちろんそれは八木も分かっていて、3人で一緒に幸せになろうと思っている。 でもなかなか簡単にはバランスは取れなくて、ユキも八木もそしてハルもグラグラしています。 子持ちBLが面白い要因はいくつもありますが、その中で大きいのは、家族という繋がりがある事だと思います。 そして、大人のドタバタした恋愛を見守る子供の視線が読み手と被るところも、共感に繋がり、微笑ましい気持ちになる。 その良さを生かしつつ、話のテンポや、心理描写の絡め方、全体の流れなどがとても心地よくまとまっていました。 さて、このコミックス、スピンオフも収録されています。 みなさんはカップル固定派ですか? 浮気ではありませんが、本編を含めユキと他の男性(オカケン)との濡れ場があるので、こだわりのある方はご注意くださいませ! スピンオフ1組目は、オカケンとユキ。 見所は何と言っても女装エッチですよ! 女装と言っても、美人な女装ではなくまさに男が女装しました!的なビジュアルです。 それでも萌えるのは、女装萌えのポイントをしっかり押さえているから! オカケンの言うとおり、女装で重要なのは「恥じらい」ですよね! そして、ふたりが出会った高校生の頃の話にも注目。 まさかユキの過去がこんな重かったとは…。 これを読むと、現在のユキの幸せそうな顔がさらに胸に染み入ります。 オカケンはモラル的には微妙ですが、この適当さがユキにとってはきっと必要だったのだろうなとか、オカケンの胸中とか、いろいろと感じるところがあり、キャラへの思い入れが一気に深まる話でした。 スピンオフ2組目は、オカケンの弟・陽一と会社の後輩・汐崎の話。 キャラは繋がっていますが、話は独立しています。 表題作のカップリングは期待通りの面白さだったのですが…。 オカケンとユキの話が私の萌え心に突き刺さりました。 そして、あとがきでもちらりと匂わされていましたが、ハルは絶対ユキが初恋の相手だと思うのです。 ハル視点の続編があると面白そうですね! 岡田屋先生の画は基本的に攻も受も筋肉モリモリ、男臭さムンムンなので、ガチムチ系が本気で苦手な方にはオススメしません。 でも、多少苦手な程度であれば(私もそんな1人)、その苦手意識を余裕でカバーするだけの内容の面白さがあるので問題なし! ガッツリと描写のあるエロも美味しいし、キャラもすごく魅力的。 オススメです! ■ミステリー作家串田寥生の考察/夜光花/高階佑/Chara文庫 出版社に勤める神凪守は、担当の人気ミステリー作家・串田寥生(本名・久緒静)の奔放な性格に振り回されながらも、密かに惹かれていた。 しかしある日、串田が突然言いだした守の故郷・女凪島への取材旅行に、困ってしまう。 帰れない理由を説明するも、串田は一向に諦めてくれない。 小さな島の中で、代々中心的な役割を果たしてきた神凪家の長男であるにも関わらず島を離れた守は、勘当した父親が亡くなった今でも肩身が狭い。 仕方なく串田を女凪島に連れて行き、姉2人と妹、そして妹の大学の友人たちが滞在している実家に、守と串田は泊まることになった。 7年に1度行われる神鎮祭を控え島はどこかおちつかない雰囲気が漂っている中、串田と守は怪しげな地下通路を発見するのだが…。 瀬戸内海にある閉鎖的な島を舞台に起こる事件。 ミステリー作家である串田が大人しくしているはずがなく、守は串田と共に事件を追うことになります。 神凪家は事件に深く関係しているのですが、守は成人する前に勘当されているため家の事情をほとんど知りません。 様々な事に興味を示す串田と共に改めて探っていくと、子供の頃は気にしていなかった謎が見えてきます。 そんな中で、串田との関係も変わっていく。 BLで島を舞台にした因習モノというと、因習にエロ要素があり、そこから恋愛に発展する事が多いですよね。 でも、今回は事件と恋愛は直接関係していません。 ミステリー作家である串田が事件を追うという部分が軸になっていて、結果的に恋愛要素はおまけのようなものだったという印象。 もう少し事件と恋愛が絡んでいるとよかったのかなぁと思いましたが、謎解き部分は読み応えがあって面白かったです。 串田の少し変わったキャラも、作家である事を含め話に馴染んでいるし、串田のおかげでミステリー小説っぽさが増していた気がします(笑) そして、ダメ男に惚れてしまった守ですが、大人しそうに見えて、実は結構相手に執着するタイプなのかしら?という面が見えてきたことで印象が変わりました。 ということで、夜光花先生の新刊は表紙の雰囲気通り、ミステリー小説仕立て。 「眠る劣情」のスピンオフですが、串田(久緒)が共通して登場しているというだけで、内容的には被っていません。 単独で読んでも問題ないと思います。 恋愛面が弱く、BLとしては少し物足りないところはありますが、ミステリーとしては面白い。 このふたりが事件に巻き込まれ、解決していきながら仲が深まっていくというシリーズになることをこっそり期待しています!
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