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山藍先生はBLというより耽美小説を書かれる作家さんです。BLレーベルからも何冊か出ていますが、個人的にはハードカバーで出ている耽美作品の方がオススメ。ただ、かなりハードな作品も多いので手を出すのは勇気が必要かもしれません。今回BLレーベルから出たこの作品は耽美寄りのBL作品なので、山藍先生の魅力を初体験する方に向いているのではないでしょうか。 ■永遠の恋人/山藍紫姫子/みなみ惠夢/SLASHノベルズ ■『永遠の恋人』 両親の海外旅行中に、亡き祖父の書庫の片付けを頼まれた大学生の鹿内邦暁。 大量の蔵書を査定するためにやってきた古書店の店長・高木は、ハッとするほどの美貌の男だった。 美大で陶芸を学ぶ邦暁は、高木の陶磁器のような肌に触れたいという下心を持ち、高木の手伝いを申し出る。 だが数日後、書庫に祖父が隠していたと思われる絵画を密かに見ている高木の姿を発見し、高木に対する不信感が芽生えていた。 その絵画は男たちに嬲られ恍惚としている美少年を生々しく写し取ったものだったが、邦暁はその画と高木の共通点を発見。 そして、絵画を渡す条件に身体を求めるのだが…。 という、ちょっと不思議な雰囲気の話です。 高木は堅い雰囲気ですが、その中に怪しい魅力がある事に邦暁は気付き、さらに画の登場によって高木への興味は膨れあがっていく。 画の人物と高木には何かしら繋がりがあるようだけれど、常識的に考えてそれはあり得ない繋がり。 画に対する疑問と高木への興味が、画の妖しさによって煽られ、邦暁は高木の身体を求めます。 ネタバレはしませんが、思いの外その設定が面白かったです。 攻視点で、陵辱の状況を攻が口頭で聞いているという形もいい。 そんな内容を目の前で語られ、画も見てしまったら、邦暁が平静でいられないのも仕方ないですよ…! 意外にも、軽そうだった邦暁がその衝動に流されず、気持ちを大切にしていたことにホッとしました。 ■『夜の血族』 春貴は幼い頃、同い年の従兄弟で、本家の跡取り息子である國枝深雪の遊び相手になっていた。 甘やかされて育ち、傲慢な性格だった深雪に逆らえず、虐げられていた春貴。 それに耐えられず5年余り会っていなかったが、本家に借金を申し込んでいた家の事情から、深雪の呼び出しに応じざるを得なかった。 再会した深雪の変わらない言動に、逆らえない春貴だが…。 ずっと我が儘な深雪の下僕だった春貴は、その関係が身体に染みついてしまっていて、さらに親の借金の件があるために、5年ぶりに再会してからも深雪を強く拒めません。 両親を亡くしている深雪の後見人でもある大叔父の登場で、益々春貴に逃げ場はなくなり、深雪と共に身体を弄ばれることに。 何故そこで「深雪と共に」なの?となりますが、大事なのは、深雪と春貴、そして大叔父の上下関係です。 我が儘放題の深雪は春貴の上に立とうと必死で、でも大叔父には逆らえない。 春貴は理不尽さを感じながらも、深雪の姿に次第に気持ちが変化していきます。 最初は深雪の女王様っぷりにイラッとさせられましたが、大叔父に組み敷かれている場面で一気に萌えに転じました…! か、可愛いじゃないの! 普段ぶっきらぼうな言葉遣いをしているツンツン美人が弱っている姿に萌えます。 深雪がふっと垣間見せる弱さに堕ちました。 あらすじからも分かるとおり、実質数日の間の話ですが、ひたすらやっているような気がします…。 複数オッケーでリバ好きな方にはオススメです! リバ作品ってありそうでなかなかないので、それが最初から盛り込まれていた事に少し吃驚しました。 山藍先生にBLの常識みたいなものは当て嵌まらないし、それ以外にも散々濃いプレイがあるので、リバだから今更何だという気がしますが(笑) -- ということで、山藍先生の新刊は中編2本立てでした。 山藍先生の作品は耽美とBLでがらりと印象が変わります。 真面目な耽美は突き抜けるとコメディになる…と私は思っていて、山藍先生の場合、耽美作品はしっかり耽美なのですが、BLは時々突き抜けているので油断できません(笑) 今回、中編というところがよかったのではないかと思います。 程良く曖昧な終わり方が、作品の雰囲気に合っている。 どちらも生活感のない話で、「で、その後はどうなるの?」という所で終わっているのですが、物足りなさは感じませんでした。 これが1冊使って1話だったら、きっと突っ込みどころが気になってしまい、この独特な耽美さを保てなかったのではないかと思います。 耽美な雰囲気で話をまとめ、エロてんこ盛りにするには、この話の長さがちょうどよいですね。 山藍先生らしい濃厚さを求める方は物足りなさを感じるかもしれませんが、山藍作品初心者の方には読みやすい1冊なのではないかと思います。 あ、読みやすいと言っても、そこは山藍先生なので濡れ場に関しては普通のBLよりかなりハードです。 性描写の上に話が成り立っているので、濃い描写、リバや複数プレイが苦手な方には厳しいと思いますのでご注意くださいませ。 この作品が面白い!と感じた方は、是非ハードカバーの作品もどうぞ! 山藍先生の独特の世界を、一緒に堪能しましょう♪
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