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このコラムを書くにあたり、過去のちるちるのレビューを少しチェックしてみたところ、私しかレビューを書いていない作品がありましたので、ご紹介したいと思います。 【富士見二丁目交響楽団 外伝 野生のアマデウス】 原作は秋月こおさんの小説で、言わずと知れたフジミシリーズの外伝、ピアニストの生島高嶺(CV.矢尾一樹)と天才肌のホルン少年・八十川空也(CV.山口勝平)のお話です。 1998年に発売されましたが、ジャケットイラストはあのころ注目されていた「じゃりん子チエ」のパロディになっています。ジャケットを見たイメージではとってもコメディな感じが強いのですが、大方シリアスで、泣ける人もいるでしょう。 この作品が出される前に、既に3作の本編が出されており、この後にも本編は続いているのですが、私としてはこの作品が一番心に残っているし、このシリーズでは一番好きなのでおすすめしたいと思った次第です。 CDは1枚、75分ほどで完結なのですが、聴きごたえはタップリです。 ある日生島がソラを拾ってきて、悠希(CV.置鮎龍太郎)や桐ノ院(CV.増谷康紀)――本編の主人公、バイオリニストとコンダクターのカップル――を巻き込んだ騒動になるのです。 そんななかで、どうにも野獣でモラルなど無いような生島が、ソラに関わることでは結構いいお父さんのようになる部分と、年相応に見えないくらい幼い外見のソラが、その生島を愛してしまうまでの過程に心動かされます。 自分の生い立ちと重なるソラの壮絶な半生に、じっとしていられない生島の気持ち。感謝や愛を、奉仕することで返そうとするソラの哀しさ。 微笑ましいし、涙も誘われるし、とにかくたいしたセリフもないくらい語彙の少ないソラの一言一言が心に残るのです。 それこそ、「んっ」って返事する部分までです。 ワイルドだけれど人情家な生島の存在をさらに感じさせてくれるのが、矢尾さん独特のリズムを持ったハスキーな声です。 実はこのシリーズで矢尾さんが初登場したのは、他のキャラクターでした。シリーズ2巻目の「D線上のアリア」の思い込み男・八坂です。悠希を押し倒そうとして、桐ノ院にキックを食らわされるあの人です。彼は彼ではまり役だったのですが、やっぱり生島がピッタリなお方です。なんだか笑えちゃう英語はともかくとして・・・ズバズバ意見をいい、遠慮が無くてスケベだけれど、後を引かない気のいいオッサンのところが最高です。 そして、BL食物連鎖では、ほぼ底辺に居るとおっしゃる勝平ちゃんがソラ役です。育った環境のせいで、社会性も教養もあまりないけれど、素直で元気良く、人の意見を聞く耳を持っているソラを“一生懸命”表現してくれています。 子供と大人の境目にいるソラが、悠希からの母性愛や生島の無謀とも言える躾によって見違えたように変わっていく様がよくわかるのです。ただその根底に、無償の愛を信じられず、「何かしてもらったら、お返しをする」という哀しい部分も秘めているから、なおさら深みのある人物になっているのです。 生島と桐ノ院、桐ノ院と悠希の関係を知っていた方がよりわかりやすくて面白いと思うので、シリーズ本編6の「マンハッタン・ソナタ」を聴いてからをおすすめしますが、これ1枚でも問題なく聴けると思います。(7でシリーズ第1部完結です。)実は私自身、原作の後半は積読なので、その後ソラがどう活躍するのか、生島との関係がどうなっているのかは知らないのですが・・・。 私としては、基本ショタはお断りなのにこの子に関しては例外でして、原作も好きですがとにかく矢尾×勝平のカップリングがたまりませんので、自信を持っておすすめします。 現在おまけCD付の販売なのか、ドラマCDのみなのか、じゅねっとのサイトを見てみてもハッキリしませんが、もし、おまけCDが付いているようでしたら、これもなかなか大サービスでいろいろ話してくれています。 特に、結構モラリストの勝平ちゃんの、まじめなのに笑えるシモネタトークと、色々ゆるい感じの矢尾さんのシモネタトークが楽しいのです。 機会があったら、是非聴いてみてください。 【ネーム・オブ・ラブ】 それから、もう一作どうしてもおすすめしたい作品があります。 こちらのレビューでは4人のレビュー者の内3人が神評価をつけている逸品です。 宮本佳野さんの漫画が原作の【ネーム・オブ・ラブ】です。 とにかく配役がバッチリピッタリこの人たちしかいないでしょうといった感じなのです。だまされたと思って聴いてみてください。納得できると思います。
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