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■恋ひめやも/著者:英田サキ/挿絵:小山田あみ/Chara文庫 卒業後初めて高校3年生時の同窓会に参加した棚橋孝太郎(25歳)。 そこで再開した当時の担任・水原慧(32歳)は、がらりと印象が変わっていた。 同窓会からの帰り道、高校時代淡々としていた水原が、電話で感情をあらわにしているのを見た棚橋。 そんな水原が何故か気になるが、棚橋には結婚もちらついている恋人がいて…。 高校時代、委員長だったために水原と関わることが多かった棚橋。 水原は感情を表に出さず淡々仕事をこなす教師で、棚橋には何を考えているのかよく分からない人物で、容姿も冴えず、同窓会で再会するまでは思い出すこともなかった教師。 再会した水原は少し垢抜けていて、そして偶然聞いてしまった電話の対応は、棚橋の知っている水原の印象とは違っていた。 何故かそんな水原が気になってしまった棚橋は、同窓会以降自ら接触し、水原と親しくなっていく。 結婚を考えている彼女がいるのに、水原も気になる。 水原の抱えていた孤独を知りますます惹かれていく棚橋は、そんな自分の気持ちに戸惑うのだが…。 という、教師と元生徒の話です 結婚を考えている彼女との平穏な関係を捨ててまで、同性の水原を選ぶのか。 そこには当然大きな壁があって、自分を突き放そうとする水原に対して、棚橋は諦めようともします。 でもやっぱり諦めきれない。 本当の気持ちを言わない水原の本心を知った棚橋は、すべてを捨てて水原を選び、頑なに口を閉ざす水原にぶつかっていく。 そんな前半の棚橋視点に対して、後半が水原視点です。 水原は棚橋の気持ちを受け入れたかと思いきや、まだまだ自分の気持ちを棚橋に晒すことができず悩んでいる。 水原が素直じゃなくてもどかしいのですが、でもそれも仕方がないんですよね。 恋愛を怖がってしまうのは、過去の経験やマイノリティである負い目があるから当然のこと。 でも、いつか終わってしまうから、その時が怖いからと言って、始めなかったら欲しいものなんて手に入れられない。 私は水原とは正反対に、チャンスがあったらとりあえず飛び込んでおけ!という性格なので、最初はこんな水原の後ろ向きな性格がいまいち理解できませんでした。 でもそれは、恋愛において自分はマイノリティではないし、水原のように今まで大きなものを失ったことがないからかもしれない。 水原は、その痛みを知っているからこそ臆病になっている。 不器用だけれど、いろいろな経験を乗り越えて棚橋を受け入れた水原は、きっとその関係を大切に育てていくのだろうなぁと思います。 水原に対する印象が読んでいく中でどんどん変わりました。 ということで、ヤクザも刑事も出てこない英田先生の新刊でした。 最近の英田先生の作品からすると、今回はちょっと異色な印象。 「地味目な話は読者のニーズに背いている…」とあとがきにありましたが、いやいやそんなことありません! もちろん派手な話も好きですが、しっとりと読ませてくれる話も大好きですよ。 面白かったです♪ ■そして続きがあるのなら/著者:内田カヲル/バンブーコミックス 表題作を中心に5話収録されています。 『そして続きがあるのなら』他 麻雀雑誌のマンガを担当している坂口は、ある日コンビニの店員をしている藤代を発見する。 藤代は高校時代の後輩で、坂口がマンガの才能に惚れた男。 その才能を生かしていない藤代に、坂口は強引にマンガを描かせるのだが…。 高校時代、藤代に出会い自分のマンガの才能に見切りを付けた坂口。 その後出版社に就職し編集の仕事をしているが、担当しているのは麻雀雑誌の中のマンガで、坂口は物足りなさを感じている。 そんな時に再会した藤代は、コンビニの店員をやっていた。 自分の才能を生かそうとしない藤代に、坂口はマンガを描かせようと奮闘し、その甲斐あってチャンスを掴んだ藤代は着々と人気作家に。 坂口は仕事にやりがいを感じるようになるのだけれど、人気が出れば出るほど、藤代は坂口の手を離れていってしまう。 抜け殻のようになってしまった坂口は、ここでようやく藤代の才能だけでなく人間としても惚れているのだと気付く。 頼ってくる藤代を助けてあげたいけれど、作家と編集という立場が関係を複雑にしていて…という、作家と編集のお話。 坂口は年上の女王様キャラで、藤代はヘタレワンコ。 藤代に対する坂口の言動は上から目線で強引なんだけれど、ちゃんと藤代の才能は認めている。 大好きなんですよね~、マンガだけじゃなく、中身を含めて藤代が! それを素直に言えないところが可愛いじゃないですか~。 坂口の、口の悪さと藤代大好き!な行動とのギャップがツボでした。 後半はグダグダと悩んでいて、いい加減腹決めろよ!と渇を入れたくなるような行動をしていますが、強気な坂口の方が悩んでいるという所が面白かったです。 藤代は元々先輩一直線なので、気持ちがぶれないんですよね~。 このふたりの性格と行動のバランスがいいなぁと思いました。 -- ということで、内田先生の新刊、表題作がとても面白かった!! 私、内田先生のコミックスを読むのは2年ぶりくらいで、これが2,3冊目です。 内田先生のエロ描写はとても男臭くて、「そんな毛まで描いちゃうの…!」と、その頃の私にはなかなか衝撃的だったためになかなか手を出せずにいました。 が、今回はその点余裕でした。 自分が成長したというのもありますが、以前読んだ本ほど濃くなかったからかな? キャラ的に、坂口も藤代も筋肉モリッとしているけれど、服を着ていればそこまで男臭さを感じないのがよかったのだと思います。 作品によっても好みが分かれそうだなぁと思う作家さんですが、この新刊は内田先生初心者の方でも読みやすいと思います。 オススメ!
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