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普通のオヤジ、カッコいいオヤジ、ちょい悪オヤジ、枯れたオヤジ、ヘタレオヤジ、紳士なオヤジ、傍若無人なオヤジ、エロオヤジ・・・。 BLにおけるその存在はあげたらキリがないほど、オヤジもいろいろオヤジの人生もいろいろですね。 それぞれが攻め受けに回ったら、いったいどのくらいのパターンがあるんでしょう。 そんな中から「オヤジを紹介してくれ!」と指令を受けて私なりに捜してみたんですが、これがムズカシイ。好きなオヤジはいっぱいいるのに。 一旦は新しいところで、有名な「美声で紳士なオヤジ」に落ち着きかけましたが、ワゴンセールでも必ず一番下に手を突っ込んで掘り起こすいつもの習性で、ちょっと目立ってないけどこれもいいわよ的なオヤジを探したところ、いました。 ちるちる様をチェックしたところレビューもされておらず、いい感じに埋もれていました。 2005年発行とちょっと前ですけど入手は十分可能ですので、「好きな本が絶版ばっかり」の面目なさからも救われます。 それは、キュートな髭オヤジ。 高尾理一さんの『危険な指先、甘い誘惑』 の加賀大晟(たいせい・36歳)です。 加賀はボディーガードである受け・真幸の警護対象として現れます。気が弱そうで、ガタイはいいのになんだか頼りなさそうな冴えない男。 二人は何度も襲われ、ホテルを移ったりなかなか緊迫した展開ですが、しかし当の加賀は飄々とオヤジな言動で脱力感を醸し出します。 どう見ても胡散臭い。 おどおどとヘタレを装っていますが、どうもそれだけじゃなさそうだ・・・と受けならずとも、このオヤジの正体に興味を惹かれると思います。 とても綺麗な手をしていて、真幸はその手に視線を奪われますが、もう一つ惹き付けられるのが加賀の「髭」。真幸は薄毛なタチで、自分には生えない髭に、憧れのまなざしを止められません。 にわかに髭フェチとなった真幸の「もう髭以外は目に入らないほどの髭賛美」に感化されてしまうのか、読む方もなんだか加賀の「お髭」がとってもステキに思えてきます。お髭スキにはたまらない共感を呼ぶことでしょう。 もちろん加賀オヤジは第一印象とは違うわけで、本当の姿は別にあります。 読み進むうちにわかってきますが、セクシーさやユーモア(オヤジギャグ風)、強さもあり、ヘタレで可愛い部分も併せ持つ加賀はとても魅力的です。こういうのを「可愛げ」と言うんでしょうかね。 寝ぼけたロバからライオンへと変貌する、そしてまたヘタレに戻る、いろんな顔を持つオヤジ。 受けの尻に敷かれても、「喜んで敷かれている」感じも余裕あっていいですね。 いざという時以外は昼寝してばかりの雄ライオンです。やたらと吼えず普段はゴロゴロしてばかりだけれど、緊急時には頼りになる・・・もしかするとオットにしてもいいかも?(笑) この加賀だけで十分美味しいですが、内容の方もアクションあり、興味を惹く展開の楽しい一冊だと思います。 加賀と真幸のかみあわない会話も面白かったですねー。 「オヤジ特集」ということで、オヤジ良ければ全て良し・・・でもいいんですが、やはり読み物として楽しめる方がより良いと思うんですよ。そういう意味でこちらは作品的にも○だと思います。 受が優秀で気の強い男前なタイプなので、そういう強く自立した受がスキな方にもウケると思います。 しかし加賀の秘密がわかってみると・・・ここだけはツッコみたい気になるかもしれません(笑)。 決して受け入れられないようなものではなく締め方も上手いですし、エンターテイメントとして全く問題ないですが。 そして褒めてばっかりですが、実はあとがきまで面白いですよ(笑) 読んだらあなたも加賀の髭をお手入れしたくなるかもしれません。 髭スキーなかたは必読。 そうでないかたも、機会がありましたら是非どうぞ。
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