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■ 相思喪曖 -二重螺旋4-/著者:吉原理恵子/挿絵:円陣闇丸/Chara文庫 --あらすじ-- 通り魔事件に続いて友人の桜坂が野上に刺されるという事件が起き、篠宮尚人の通う高校は夏休みの課外授業期間に入っても落ち着きが取り戻せないまま。 それでも、そんな事件を経て友人たちとの絆は深まり、学校生活は安定を取り戻しつつあった。 しかし、父親関係の騒動は新たな事件を引き起こし…。 -- 久々に出た二重螺旋シリーズの第4弾。 内容が濃く状況説明が難しいのですが、まずはざっとこれまでの流れを振り返ってみます。 舞台となる篠宮家は、父、母、長男・雅紀、長女・沙也加、次男・尚人、三男・祐太という6人家族。 そもそものトラブルの始まりは篠宮家の父親が愛人の元に走った事。 その後母親が自殺し、その自殺の真相に絡んで雅紀と沙也加は決別し、裕太は引きこもり…と怒濤の勢いで家庭崩壊していく。 そしてある日、ついに想いを抑えきれなくなった雅紀が尚人を犯してしまい、そこからふたりのインモラルな関係が始まる。 その尚人と雅紀の近親相姦がこの話のメインだとは思いますが、3巻あたりからは篠宮家の家庭騒動が軸となって話が進んでいます。 尚人が被害者となった事件を切っ掛けに、一旦は落ち着きを取り戻していた日常が、過去の歪みによって崩れ始めます。 いやぁもう本の中のこととは言え、人間のエゴを目の当たりにすると精神的に疲労しますね…。 まぁ、加害者には加害者の言い分や正義があって、決して雅紀がすべて正しいわけではないと思います。 刑事事件としては白黒ついたとしても、誰もが納得する玉虫色の解決方法なんて今更ないのだから、憎しみとか痛みを本人たちが乗り越えていくしかない。 自分の不幸を嘆くばかりじゃダメなのだと、早く加害者側にいる人たちに気付いて欲しいです。 この話に出てくる「悪人」は、篠宮父はよく分からないけれど、他は特別悪人というわけではなくて、誰しもが陥る可能性のある落とし穴に嵌ってしまっただけ。 だからこそ考えさせられます。 そんなドロドロの中、尚人の存在は相変わらず癒しですね! 家族の問題や雅紀との関係に翻弄されても、芯のしっかりした無垢な雰囲気は変わりません。 でも、雅紀相手だとそんな尚人がグダグダになってしまうんですよ。 そのギャップに萌えすぎて鼻血が出そうです…! 雅紀と尚人の関係は、雅紀が「好きだ」と伝えてからはかなり安定していて、尚人は近親相姦というタブーに怯えながらも雅紀に精神的に支えられています。 始まりはどうであれ、ふたりの間には揺るぎない繋がりがある。 この関係がこの先どう成長していくのか、とても楽しみです。 3年ぶりの新作でしたが、まだまだ話は続きます。 この先も読めるのは楽しみなんですが、もう少し早い間隔で出てくれると嬉しい…。 兎にも角にも、待ちに待った新作が読めて、円陣先生のコミカライズも読めて大興奮でした! 近いうちに尚人と雅紀に再会できることを祈ります♪ ■ 恋する暴君 (5)/著者:高永ひなこ/GUSHコミックス 大人気シリーズの最新刊です。 大学の研究室の先輩・宗一に恋をしている、後輩・森永。 紆余曲折を経てようやくふたりの関係が前進したと思ったのは気のせい…ではないはずなのですが…。 同居しているとはいえ、先輩は相変わらず心も身体も許してくれない。 少し近づいたと思ったら遠ざかる、そんなループから森永はいつ抜け出せるのでしょうか…。 まぁ、今までの態度を変えられない先輩の気持ちも分からなくはないのですが、そろそろ自分の気持ちを整理してください! ツンツンしていても、実際森永のことを嫌っている訳じゃないんでしょ? そうやって森永の優しさに甘えていると、きっと後でしっぺ返しがくるよ! …でも、そんな先輩も身体の方は正直なようで〜。 心は理性で抑えられても、身体の方はもうそんなことじゃ誤魔化せないところまできているということですね。 そしてそろそろ心の方も混乱しつつあるようです! 森永頑張れ! と、本編の方は相変わらずのドタバタですが、この5巻にはスピンオフも収録されています。 メインに持ってくるようなキャラっていただろうか…?と疑問に思っていたのですが…。 誰かと思ったら、森永のお兄さん・国博でした! 4巻で大騒ぎしていたあのお兄さんです。 結構頭の硬い人だったと記憶しているのですが…こんな形で再登場するとは思いも寄りませんでした。 国博の元親友で、森永が以前付き合っていた人物でもある真崎との話です。 笑い所は全くないシリアスな話なので、心して読んでください。 自分は正しいと思っていて、優しいようで実は他人の気持ちに無神経な国博。 今までの行いに対する反動が一気に来て、国博の常識が壊されていきます。 4巻の森永(弟)の過去の話も切なかったけれど、真崎の話も切なかった…。 強気な姿勢だった真崎が、森永のことを知って崩れ始める場面が痛い。 こんなに苦しんでも、やっぱり国博のことを憎みきれない自分を改めて知ってしまい、絶望する真崎の叫びが胸に突き刺さりました。 追い詰めたのは国博だけど、それを救うことが出来るのも国博で、ここまできてようやく自分の気持ちに素直になった国博のこの先の行動が気になります。 一応未来のある終わり方だけど、そう簡単に上手くはいかないでしょうね。 続きは…あるのかなぁ。 読みたいような、このまま余韻を残したままでいて欲しいような…。 重いけど、私はこういう話大好物なので、すごく美味しかったです! ということで、本編とスピンオフの二本立て。 本編が相変わらずの展開で物足りなさを感じそうなところだったのですが、このスピンオフがすごい威力で私の心を奪いました…! 読み応えたっぷり。 4巻でも思ったのですが、この森永と真崎の過去を考えると、森永には早く幸せになって欲しいと切実に思います。 だから、そろそろお願いしますよ先輩!
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