江戸時代。大雪の日に助けた美しい青年はヤクザで殺し屋だった…
「冷てえ目だな…心だけまだ死んじまってるのかね―――温めてやるよ」
雪 降り積もる中、脇差を手に、瀕死の状態で倒れていた美青年。
そんな彼の命を拾った医者の松庵。
互いの名も知らぬまま、結ばれていく二人だが…?
白髪の“おかん系”村医者×元男娼の美形ヤクザ!? 時代劇BL!世界観が素晴らしい❤❤美しい作画、キャラの魅力、物語の流れ、全てに惚れ惚れする!
物語もさることながら、圧倒的漫画力を感じられる1冊。
松庵はぶっきらぼうだけど村人に慕われていたり、出会う人に優しく接していてとても心が温かい人物なことが読み進めていくにつれ徐々にわかっていきます。
雪は美しい少年だけどどこか闇を抱えていて、元殺し屋で人を殺めることができる残忍な一面も持ち合わせています。
人を斬る描写が多くあるため終始暗い作品をイメージしてしまうけど、二人が恋をして愛を育み、ラブラブになっていく様子がたっぷり描かれているため「ダーク」と「ほのぼの」が両立している作品だと思います。
2巻は二人の過去が描かれます。
村の医者・松庵の生い立ちは江戸時代においてはありふれたものかも知れない。それでも医者になり、憎い憎い実の父の命を助ける巡り合わせの風向きの残酷さは、尊敬する育ての父とその息子への仁義立て。
「時松」という自分の実の名に、父を待ち続けた母とその母すら失ってしまった自分の中の泣いている子供を思い出し、自虐的になっていた松庵を包み込む雪。それは決して傷の舐め合いではなく。
雪は、「普通の」男になりきれない己の不安定さに囚われている。色街に生まれ男に買われる側の人生に嫌気がさして荒くれのヤクザになったのに、結局その男の世界にも馴染めなかった。女にされるのは嫌なのに、男にもなれなかった。
雪は誰かみたいな男になりたかったわけではないのだろう。雪が欲しかったのは雪のままでも男として見てくれる誰かだったのだろう。
2人の絆がより深まった1冊になっていると思います。
幸せそうで何よりでございます、おめでとうございます、という言葉を送りたくなるようなラブラブ感(死語)いっぱいのこの表紙。
完結編であるこの一冊は中身もそういうもので詰まってました。
先生と雪だけではなく、脇役もみな幸せになってます。
どこか不安定な部分を残していた二人。そんな二人が、ありのままの等身大のお互いを、なくてはならない無二の存在として心底受け止めて、愛して、生きていく姿が、くすっと笑えるエロを折り込みながらも、しみじみと描かれるこの3巻は、ドラマチックなところは少ないながら、じ~んと胸に響くいい巻でした。
出版社:ホーム社
レーベル:アイズコミックス.Bloom
シリーズ:雪と松
発売日:
価格:¥1,000(税抜)
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