どろどろ 背徳的に歪んで、美しい……昭和の闇
孤独な御曹司に植え付けられた快楽。地方名家・當間家の跡取りとして厳しく育てられてきた育郎(いくろう)は、座敷牢に匿われる妾腹の兄・蘭蔵(らんぞう)に父の関心のすべてを奪われていた。辛くとも気丈に振舞う育郎だったが、そのそばには、常に一人の男がいた。典彦(のりひこ)。育郎が幼い頃から仕える年上の使用人である。典彦は、孤独な育郎を蛇のように愛でた。深い口づけを教え、性処理とうそぶきながら股を開かせ、その長い指で尻を抉った。そうして育郎に快楽の種を植え付け体をいやらしく変えていった。そして数年後、事態は一変する。當間家当主が死に、育郎が次代を継ぐ時が来て――!?
奥の間に囚われていた妾腹の兄・蘭蔵を見ると、己の中の憎悪と恐怖が抑えられなくなってしまう育郎。父親を蘭蔵に奪われ狂ってしまった母親。そして、誰にも愛されなかった育郎に特別な想いを抱く典彦。ついにすっかり壊れ切っていた家の、当主も母親も死んでしまった。
背徳×主従×狂愛というとってもダークで歪んだBLです(笑) 主人公の育郎は境遇に振り回されるピュアでかわいそうな青年だったのですが…。
典彦の歪んだ愛情が、このシリーズを通して育郎を蝕んでいきます。典彦に触れるのは"してはいけないこと"と教えられた育郎が快感に堕ちていく姿が煽情的です。誰にもすがることのできなかった育郎が、典彦に体を作り変えられ、心までじわじわ浸食されていく感じがたまりません…!
蘭蔵の世話係として屋敷に住むことになった健一は、誰にも必要とされず、言葉も上手く話せない彼を命に代えても守ると誓ったのですが、その感情にさえ潜む欲望にゾクゾクすること間違いなし!蝉の声の中で傷を舐めるシーンが目に焼き付いて離れない!
父の遺言により、妾腹の兄・蘭蔵が遺産を継ぎ、ついに父からの何もかもが育郎ではなく蘭蔵に与えられた。育郎は定められたままにさち子と結婚するが、夫婦の営みをすることはなかった。典彦を求め、快楽を求め、育郎はついに最後の一線を越えてしまう。結婚した妻と當間の家を守ること。亡くなった母親の期待を裏切らないこと。がんじがらめにされた育郎の心と身体は限界で―――。
今回、ついに描かれた育郎の過去の壮絶さと、育郎坊ちゃんの可愛さとの高低差が物凄い回です。父からは軽蔑以外何も与えられず、狂い始めていた母親のもとでひたすら純粋に生きていた育郎がかわいくてかわいそうでたまりません!!さち子とセックスができない育郎に典彦が用意した策にもぞっとしますが、ラストの事件には背中がヒヤッとするような恐ろしさがあります…
今回の一番の見どころはなんといっても育郎と典彦が身体を繋げるシーン!本番にいきつくまでのシーンですでに頭がグラグラするほどエロい。BL史に残る極上の背徳とエロスです。
ついに典彦と繋がった育郎は、場所を選ばず開発されていく。 社長室、会社の便所、車内、旅館――ひたすら抱かれて雌になって、典彦から与えられる愛に縋った。妾腹の兄・蘭蔵の事件、典彦に命じられたさち子とのセックス、社長としての責務―――仕事の不手際の責任を負わされ、その身体で代償を支払わされる育郎。彼を真に追い込む者の正体とは。
今回は濃厚エッチ全開!比例するように一瞬たりともハッピーな瞬間が無くなってきました!
さち子の言葉で育郎がすこしだけ救われたと思った最中、政治家先生からの衝撃的な要求。その要求に育郎は抗えるのか? 典彦はどんな行動をとるのか? 手に入れたものを何もかも失って絶望する育郎の、悲痛さと強烈なエロスにくぎづけになります…!
そしてようやく典彦の「愛」とは何かが明らかになります。サイコパス執着攻め×メス若社長の下剋上主従背徳BL、 あなたも既にこの"檻"に囚われている――。
性接待でボロボロにされた育郎は、ただ傍観していた典彦が理解できなかった。事後、典彦を拒絶するも、三日三晩抱きつぶされる。育郎は典彦との接触を断ったが、至るところで蘇るメスとしての情事の記憶に仕事もままならず、失禁してしまう。一方、蘭蔵との接触を図るさち子に言いようのない嫉妬を抱く健一は、典彦にそそのかされ恐ろしい行動に出る。全てを知った育郎の下した決断とは。
かなりボリューミーな4巻ですが、衝撃の展開と欲望に塗れたセックスシーンで一気に読み切ってしまいます…。今回のイチオシエロスはとある人物に犯されている育郎が、スーツの上から典彦の股間に顔を擦りつけるシーン…動物的で死ぬほどえっちかよ!!
育郎も典彦も一緒に居たら絶対に救われないのに、互いでしか満たされることができない。すこしだけ典彦の心がみえたような、全く隠されてしまったような…この急展開に、いったいどんな結末が待っているのでしょうか。