せつなくて、涙なくして読めない!
突然の父の死により、北日本一帯を支配する木賊組のすべてが17歳になる烈の肩にのしかかる。跡目をめぐって組では内部抗争が起き、幹部の多くが狂刃に倒れる。重圧に潰されかかる烈の支えとなったのは、謎の多い若頭・黒羽周次の存在だった。ところが周次は組を追われかけ、同時に烈自身にも組員の卑劣な欲望の手がのびる。なすすべもなく蹂躙される烈の前に、ある決意を秘めて再び周次が現れた―。閉鎖された特殊な世界に生きる男たち。金を動かし、人を操り、より大きなもののために殉じていく。彼らの名を“極道”という…。
本作品は裏社会で生きる男たちの強さや孤独、覚悟といたものが静けさの中で淡々と描かれていて、今まで読んだ893ものとはまた違う重厚さを感じる作品でした。
戦いという荒々しい場面でさえも、何とも言えない静けさ(暗さ)がまとっていて、そこが逆によかったです。
作品は北日本一帯を支配する木賊組の跡継ぎとして生まれた烈を中心としたお話し。
組長の息子でありながら893には全く向かない気弱な性格が17歳にして父を亡くし組を背負う立場に立たされます。
組長の息子に生まれてしまった運命と、孤独、黒羽(同性)に恋しているという引け目。
その葛藤の中でもがく姿や烈の身に降りかかる出来事の数々が切なかったです。