沙野風結子さんのレビュー一覧

氷の軍神 ~マリッジブルー~ 小説

沙野風結子  きりみゆうや 

まさかよもやの紙一重!?

表紙絵にナチのSS軍服風の御仁が描かれているので、思わずその時代背景のお話なのかと思ってたんですよ。
ところがどっこい!現代でした。
主人公が中小企業の危機的現状を改善したいと、かなり前向きに取り組む公務員の設定でして、その彼がドイツに招待されて視察に訪れるんですね。
そこで出会ったのが、以前からその手腕に憧れと尊敬の念を抱いていた財閥の総帥の御曹司で。
ま、いろいろありまして主人公は拉致…

6

獣の月隠り 小説

沙野風結子  実相寺紫子 

いけすかない猟獣とア、アノ人が…!

「獣の妻乞い」のスピンオフ、銀髪の美しい狼とかわいいチビ狼編。
ハードな筆致の沙野先生に似合わず、序盤はとっても愛らしい描写です(驚)
チビ狼が野の花に話しかけるシーンはなんともいえない愛くるしさ!

「獣の妻乞い」でチビ狼の睦月は上から目線の
やなガキなんですが、こちらでは大変一途であどけない。

「獣の月隠り」は沙野先生、どうやら悩んだらしい痕跡があります。
沙野先生の持ち味は…

3

上海散華 小説

沙野風結子  小山田あみ 

沙野センセイにしては甘いストーリー。

アヘン戦争後、上海は不平等条約により開港され、
それを機にアメリカ、フランス、イギリス、日本がこぞって上海に租界を作った。
租界とは治外法権の外国人居留地。1920~30年代には各租界に洋風建築が立ち並び、
ショービジネスやナイトクラブが繁栄した。
上海が「不夜城」と呼ばれるようになったゆえんです。
またそれぞれの租界の境界付近は警察も手出ししにくかったことから、幇(パン)と呼ばれるマフ…

4

タンデム ~狂犬と野獣~ 小説

沙野風結子  小山田あみ 

美しすぎる犬と野獣

男に対して「綺麗」だの「美しい」だの形容するのは
もはやBLの常識、世間の非常識だと思うんだが(笑)
さらに「綺麗すぎる」とついに「~すぎる」までついてしまった。

靫(ゆぎ)は警視庁公安部の綺麗すぎる捜査官、
はて、綺麗すぎるってどんな美形なのよ?と思って
せっせと読んでみましたが、意外なことに靫のルックスについては
それほど書いてない。むしろ、身長が180㎝近くある大男だったり、…

10

獣の月隠り 小説

沙野風結子  実相寺紫子 

ァオオーーーーン! 遠吠えも切なく

「獣の妻乞い」のスピンオフ、脇役だった(&SS)月貴と睦月のお話。

もう一話、睦月と同期の新種の猟獣と猟獣施設の研究員の話も入っている。
どちらも猟獣の研究施設が主な舞台となっており、
前作ではあまり触れられなかった、猟獣の育つ過程や飼育施設内の様子が詳しく描写される。

身体が小さく、施設内の過酷な競争に勝ち残れないと思われていた睦月。
そんな彼が生き残って現場に出るまでになった…

7

獣の妻乞い 小説

沙野風結子  実相寺紫子 

精悍な狼の いたいけな愛

獣姦ものというよりは、人外ファンタジーで純愛もの。
件のシーンに関しては、物語の展開上必然もあって別にグロくないし、
むしろ心打たれるシーンになっている。

舞台は近未来、法律で死刑執行が禁止され、刑務所には受刑者が溢れ、
結果短い期間で出所して再び罪を犯す凶悪犯罪者達。
彼らを極秘裏に処刑し、治安維持する為に生み出された狼と人とのハイブリッド「猟獣」。


幼獣の頃助けてもらっ…

8

落園の鎖~狂犬と野獣~ 小説

沙野風結子  小山田あみ 

カルト・狂気・バイオレンス・エロス

現在、ワタクシが強力プッシュ!!!の沙野風結子先生作品です。
あぁぁぁぁぁーーーいつもながら、いやいつに増してグロテスクでハードだわー。

近未来――。
エコロジー・農業を軸としたカルト、ソイルロードに潜入する靫真道は
公安部の狂犬刑事。
潜入したさきで、かつて自分を犯した男、峯上と遭遇する。

ソイルロードは40年前に極左組織のカリスマだった男、岩城玄太郎と
その双子の孫、光と…

3

獣の妻乞い 小説

沙野風結子  実相寺紫子 

なに…?獣姦だ…と…?でもハンカチのご用意を!

蛇恋シリーズでもブットビ展開に度胆を抜かれましたが…。
思うに、沙野先生のスゴいところはタブーに近い挑戦をしながら、
エロスとともに誰かを強く思う気持ちをきっちり書きだすバランスの良さです。

序盤は正直、単なる人外系ファンタジーのもふもふテンプレかと思いましたよ。
しかし、そこから徐々にダークな世界が映し出されます。

犯罪率が高まり、凶悪犯罪者が闊歩する近未来。
孤独な少年・尚…

10

堕楽の島 ~狂犬と野獣~ 小説

沙野風結子  小山田あみ 

相変わらずブレない男前受・靫真通

靫の男前度がさらにアップ。
BL界に数多くの受はあれど、ここまで雄々しい受キャラもなかなか居ないかと。(笑)
前々作のレビューでも書きましたが、相手が周でなければ、靫は間違いなく攻キャラとして登場したはず。
それくらい、凛々しいです。かっこいいです。惚れてまうやろ…!(古い)

お話の内容は、まさかの宗教団体もの3連発。
靫の所属する部署上当然なのでしょうが、正直、3作とも展開が似通っ…

3

堕楽の島 ~狂犬と野獣~ 小説

沙野風結子  小山田あみ 

シリーズ完結は定着と中和がポイント

狂犬と野獣の過激コンビが完結を迎える作品です。
リズムを操るテロ活動で1作目からかなり過激な展開でしたが、これで終わり。
サブリミナル効果をモチーフにしたかなり興味深い作品で、どんどん惹きこまれました。
1作目の破壊のリズムから始まり、人間の喜怒哀楽や欲望と願望を増幅させるリズム、
そして今回の第3のリズムが揃う事で、受け様は攻め様を奪われる事になる展開です。

1作目から登場の悲しく…

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