葉月1238@
シリーズ五作目の舞台は、大正デモクラシー以前の吉原。
既刊とリンクしていますが、本書単独でも読むことができます。
吉原遊郭の跡取り・夏洋(攻め)と、四歳年上の奉公人・久助(受け)。
久助に密かな欲望を抱く夏洋は、ある夜思い余って久助を犯してしまう。
それから数年後。夏洋が楼主となり、何事もなかったかのように見世を切り盛りする二人だが…。
第一章は青年期の夏洋視点、
第二章は数年…
シリーズ四作目は、第一作目の京介×琢馬の続編。
スランプと亡き妻への罪悪感に苦しむ琢馬(受け)。
京介(攻め)に縁談が来たことも手伝って、何となく京介と疎遠になってしまう。
すれ違いつつも、互いのため覚悟を決める二人の姿が感動的です。
縁談関係ですれ違うというパターンは、すでに二作目と三作目で使われているため、ややマンネリ感があります。
しかし、大正時代を舞台に男同士の恋を描くと…
シリーズ三作目は、前作の紘彦×春洋の続編。
前作で恋人となった彼らが一難去ってまた一難乗り越え、生涯の伴侶としての絆を深めるような物語です。
春洋(受け)は、駆け出しの画家として活躍。
紘彦(攻め)は、「川並」という貯木場の木材を筏に組んで卸す職人の見習いとして修行を積み、益々逞しい大人の男へと成長していきます。
建築士を目指していた紘彦ですが、紘彦の兄が他界し、実家の材木問屋を継ぐこ…
吉原遊郭で生まれ育った春洋(受け)は、馴染み客の息子・紘彦(攻め)の相手をすることに。
春洋を陰間と勘違いする紘彦をからかうつもりが、彼のまっすぐな求愛に心惑わされ…。
シリーズ二作目の主役は、前作攻の友人として良い味を出していた画家・春洋。
酸いも甘いも噛み分けた、婀娜っぽい色気のある人物、という印象を抱いていましたが、本作の春洋は意外とおぼこい乙女。
年下の坊っちゃんに身も心も翻弄…
大正時代の東京。
苦学生の琢馬(受け)は、進学先の学校で繊維問屋の次男・京介(攻め) と出会う。
琢馬の詩を京介が偶々読んだことで、交友関係が始まるが…。
鳩かなこさんのデビュー作。
攻めの受けへの10年越の片想いが、やや古風な文体で情感豊かに綴られます。
冒頭の学生時代から一気に10年後に飛ぶ大胆な構成も物語にドラマ性を持たせています。
学生時代から10年、琢馬を想い続ける京…