剛しいらさんのレビュー一覧

盗っ人と恋の花道 小説

剛しいら  葛西リカコ 

欠けた魂を持つ二人

『答えて姐さん』で電子刊行をお教えいただき読了。挿絵、あとがきあり。

刊行当時に読んでいたら評価はもう少し下だったかも知れません。
9年前の作品を今読了して、物語の仕掛けが大変精巧であることに驚きつつ感心しています。
登場人物の心の動きを繊細に描写していくのではなく『それぞれの立ち位置からの関係性を描くことによって彼らの気持ちを想像させる』とでも言うか、余白が多い文章が読む楽しみを広げる…

14

黒衣の公爵 小説

剛しいら  珠黎皐夕 

SF王道の入り口

しいら先生の本を読みたくなって表紙買い。外国ものだろうと思っていたら、なんとSFで、しかも万能なコンピューターと人間のかかわり方なんかが書いてあって、びっくりすぎ。シリーズになっているようで、コンピューターとの続きが書いてあるのか気になりすぎるため、シリーズ続きを追いかける予定です。意外な拾い物だったというのが正直な気持ち。先生、もっと早くに読めばよかったです、今頃になって申し訳ありません(泣)

3

顔のない男 小説

剛しいら  北畠あけ乃 

綱渡りのようなギリギリの感覚

以前ちるちるさんの掲示板でおすすめされていてずっと気になっていた作品でした。

ずっとハラハラの連続で綱渡りをしているような、息もつけないお話でした。

三人の男のせめぎあいというか飛滝をめぐる桐生と音彦の戦いというか。

兄弟のお芝居の同居ということでしたが二人の関係がどうなっていくのかというところで強制撮影開始。
兄弟のお芝居の二人の生活をもっと読みたかったです。
音彦の芝居の…

0

帰宅 小説

剛しいら  茶屋町勝呂 

これがデビュー作

これが剛しいら先生のデビュー作。
時代的なこともあると思うけど、かなり暗くシリアス。いわゆるBL的な、攻めがいて受けがいて、恋愛関係があって、ラストは何らかの決着がある、という展開ではありません。
もっと文芸的、といってもいいかもしれない。
3作品が収録されています。

「ぴすとる」
家にも学校にも居場所のない中3の秀明。今夜もどうせ母親はいないからゲーセンに行って…と考えていたら、昔…

5

時のない男 顔のない男3 小説

剛しいら  北畠あけ乃 

もっと憑依を!

「顔のない男」の3巻目。
中編2編での構成です。

「愛のない男」
あのパーフェクトな俳優・飛滝惣三郎にも苦手なものがあった…それは「子役」と「動物」。
はあ〜なるほどねぇ。飛滝もその辺り、平凡だな!と思ったりして。
今回は、音彦とCMで共演する子犬と数日生活する展開になり、飛滝がアワアワする…
すると犬が逃げ出して、追いかけた音彦が足を怪我したりで、結局犬の世話は飛滝がすることにな…

1

ブロンズ像の恋人 小説

剛しいら  兼守美行 

ピュグマリオンを題材にして人生を描いていると思うのです

電子書籍で読了。挿絵あり。あとがきあり。

「あ、これ読んでない」と購入したら読む前に剛しいらさんの訃報が届き……
そういう事情がなくとも、私にとってはかなり読み応えのある一冊でした。

主人公の真砂は美大卒業後、彫刻家としてだけでは生活できず、マネキン制作会社でマネキンのモデル(型番って言うのかな)を作る仕事をしています。真砂を支配し、まるで自分の美術作品の様に作り上げた母が亡くなって…

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見知らぬ男 顔のない男2 小説

剛しいら  北畠あけ乃 

とりつかれた主役、を思い出して

「顔のない男」の続編。
私が「顔のない男」で好きだったところは、飛滝が奇妙な男なところなのです。
自己はあるのか、何かになりきる事でしか存在できない危ない男…
音彦と恋人になったけれど、その心の底では「音彦が求める男」「音彦に愛される男」を演じているのではないか?と思わせる曖昧な終わり方、そんなところが何とも好みでした。
さて本作。
どうやら「素」の飛滝がきちんと音彦を愛しているような……

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顔のない男 小説

剛しいら  北畠あけ乃 

狂気じみた熱

剛しいら先生の訃報に接し、本作を手に取らせていただきました。正直購入は随分前で、ずっと積んでいたのです。
「面白かったです!」と言うファンがここに1人います、と伝えられたら良かったけど…。愛は生きているうちに。

一読して、特に前半はヤバいくらい面白い!
憑依系の俳優がさらりと部屋にやってきて、当たり前のように「兄」になる。
あまり実績もなく才能も無いような、ルックスだけが取り柄の「弟役…

7

優しい男2 小説

剛しいら 

全エネルギーをあなたのために

「顔のない男」シリーズの番外編です。

音彦に映画の役が入ります。ライフセーバーである主要4人のうちの1人の役ですが、他の3人に比べて分が悪いといじけてしまいます。音彦が帰宅してから飛滝に愚痴る場面があるのですが、そこで「三人の男たちのことで頭がいっぱいだ」とさらりと嫉妬する飛滝に萌えました。大人の魅力満載です!

「海に行きたい」甘える音彦のために、飛滝は湘南の一軒家で、一週間過ごすこと…

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優しい男 小説

剛しいら 

オフの二日間

「顔のない男」シリーズの番外編です。

二作目「見知らぬ男」で音彦が主演する「葉山孝太郎」シリーズも三本目の撮影になりますが、わざとNGを出してくる共演者に音彦はいらだち、飛滝に愚痴ってしまいます。明日からの二日間がオフだという音彦に、飛滝がちょっと昔の執事に扮して、お坊ちゃまである音彦の世話をするという話でした。

音彦に現実を忘れさせて疲れを癒しているのかと思ったら、実は更に…というの…

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