玄上八絹さんのレビュー一覧

黒革の手袋 小説

玄上八絹  鈴倉温 

攻めわんこの健気。深まる「事件」への謎。

同人誌番号Op.22。13冊目の≪犬≫シリーズ。
商業誌と世界観を同じくする、同人誌オリジナルである。
ここに新たな主と≪犬≫が登場する。
わんこシリーズを読んできた読者は少なからず感じてきたであろう。「攻めわんこはいないの?」と。
無垢で健気で一途。≪犬≫たちに共通する主への愛の示し方は攻めわんこ、青砥も同じ。
彼の主、薫もこれまでの主たちと同じく過酷な過去を持っている。
薫の右手に常に嵌る黒革…

3

茨姫は犬の夢を見るか 小説

玄上八絹  竹美家らら 

跪くのはただ一人

犬シリーズ(わんこシリーズ)2作目です。
「茨姫は犬の夢を見るか」だけでも楽しめますが
しもべと犬のメンバーも登場するので、両方読む方が
より深く物語を楽しめます。

刑事部捜査第一課第二特殊犯捜査第五係、表向きには公表されていない係の
分析官を務める篠宮犬姫は、前作「しもべと犬」の刑事、石凪信乃と同じく
遺伝子操作で生まれた人工生命体です。
犬の遺伝子を組み込まれているので、警察…

3

ゴールデンハニー 小説

玄上八絹  御景椿 

ここまで読んだらもう一度「しもべと犬」へ。

「ゴールデンビッチ」の続編、公安の《犬》クラウディアと大吾の物語。
《犬》シリーズとして4作目。「しもべと犬」「茨姫は犬の夢を見るか」「ゴールデンビッチ」「ゴールデンハニー」と来たわけだが、どうかここまで読んだら「しもべと犬」に帰って再読してほしい。
なぜなら、4組の主と《犬》の過去に関わるおおもとの「事件」は繋がっていると推測されるからなのだ。
おそらく一読のみでは気づかないであろう伏線が、繰り…

3

しもべと犬 小説

玄上八絹  竹美家らら 

守りたい想い

警視庁の非公式な部署に属する刑事・奥村智重は、
人間の細胞から作られた人型の「犬」と呼ばれる生命体・石凪信乃を与えられて組むことに。
(あらすじより)

通称 犬シリーズ1作目です。
玄上先生のファンは、愛情を込めて『わんこシリーズ』と呼んでいます。

信乃は人の細胞に犬の特性を組み込まれて作られた人工生命体です。
主(智重)に忠実で、愛情深くとても健気で、智重を守るためならどんな…

5

ゴールデンビッチ 小説

玄上八絹  御景椿 

人工生命体≪犬≫の健気が切ない。

「しもべと犬」「茨姫は犬の夢を見るか」と世界観を同じにする、物語。
先の2作を読まずに「ゴールデンビッチ」続編の「ゴールデンハニー」を読むことも可能だが、綿々と続く事件を読み解くには必須なので≪犬≫シリーズとして読んでほしい。
しかし、表層的には前2作とは同じ警視庁とはいえ、こちらは公安。部署も違い登場人物も重ならない。現時点では。
作者の中にはどうやら、前作の捜査一課と合流させるプランがあるよう…

1

茨姫は犬の夢を見るか 小説

玄上八絹  竹美家らら 

物語の続きを期待したい。

「しもべと犬」に続く≪犬≫と主の物語。
前回が幾つ目かの事件をメインに扱ったのに対し、こちらは一つの事件を解決するために一冊が費やされる。
その分、世界観の濃度はグッと上がり、二組の主と≪犬≫が中心となり時間制限付きの事件の解決に向かう疾走感がたまらなく心地よい。
前回思いの通じ合った信乃、智重のカップルは体育会系新婚生活中。とのことだが、事件は容赦なく降りかかってくる。
そして、信乃にとっては青…

2

しもべと犬 小説

玄上八絹  竹美家らら 

圧巻の世界観に引き込まれた。

人工生命体、表には出て来ない裏の世界、アクション・・とBLにしては硬質の、ラノベ他では使い古された世界観だが、緻密に織られた設定、登場人物ごとの背景の深さがこの1冊のみからもうかがい知ることができ、ぜひシリーズとして完結させてほしいと求めてやまない。
というのは、このシリーズには続編の「茨姫は犬の夢を見るか」舞台を捜査一課から公安に移した「ゴールデンビッチ」「ゴールデンハニー」そして、同人誌という…

3

忘却曲線 小説

玄上八絹 

大介の物語も読みたい。

「しもべと犬」から始まる≪犬≫シリーズ最初の同人誌。
本編では脇役、ゲーオタコミュ障ながらやたら腕の良い取調官、大介こと大城戸祐介が主役。
≪犬≫を差し置いての堂々初同人誌というのがすごい。
シリーズにおける謎の多い脇役たちに背景となる物語がそれぞれ用意されていることが透けて見える一冊と思う。
読み終えての感想は、これはBLだろうか??ということ。
甘くない。・・ズルくて、寂しくて、切なくて、真実…

5

失恋コレクター 小説

玄上八絹  金ひかる 

攻めキャラ好きなのに今回はちょっと…

筆者の顔が垣間見えないものを書かれる玄上さんは、好きな作家さんです。
淡々とした文章が物語に没頭させてくれます。
これはタイトルの通り、攻めが女性に失恋した折に返されたり無駄になったりした物を、こっそり受けがとっておくお話。

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受けの棗は、不動産屋に勤めながら副業で琥珀の売買をする27歳のゲイの青年。
大学時代からの腐れ縁である朋哉へ片想い…

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コミック11作品、小説29作品の番外編

コミックは「花は咲くか」の番外編「white sleeping」以外は1ページ、小説は5~8ページです。
本編を既読している作品でいうと、本編を未読だと半分も楽しめずもったいない!という印象でした。

「明日屋商い繁盛」番外編は、花の下での二人の話。あともう少しだけ見たかった二人をちょっとだけでも垣間見られて嬉しかったです。

「失恋コレクター」の番外編「言い訳コレクター」は、同棲するこ…

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