宮本佳野さんのレビュー一覧

SWEET TALE コミック

宮本佳野 

穏やかに読める一冊

なんとなく、肌寒くなってきたころに読みたくなるお話ばかりなんです。
一言でいうなら、それぞれが自分たちの「家」を見つけるまでの物語。居候中だったり、失業中だったり、どこかで過去にとらわれていたり…。何事にも執着しないくせに自分が思う"かわいい"ものだけには執着したり。すでに同居しているふたりもいれば、これから一緒に住むんだろうというふたりも。こんな男がどこかにいてほしいよ..…

2

バニラ・スター コミック

宮本佳野 

オレなんて…

宮本佳野先生のお話って切ないよなぁ。先生の作品はシリーズものが多くてリアルタイムで追っていない者にはちょっと苦しい。これはゲイ×売りのお話でシリーズ最後の作品とのことですが、単体物として読んだわたしでも十分に物語の世界に入っていけました。

ゲイ向けアダルトサイトの動画で見かけた「ユウ」という俳優に興味を持って、オタ友に調べてもらったタケシ。ユウがウリもやっていることを知り、憧れの彼を思い切っ…

4

ラバーズ、ソウルズ 完全版 コミック

宮本佳野 

Lovers and Souls

秋を思わせる深いオレンジが印象的な表紙。
いつも忘れてしまうのですが、『ラバーズ、ソウルズ』(2002・松文館)は作者最初のコミックスなのですね。ちなみに初出は同人誌(2000)です。こちらの本は上記コミックスに「VANITY(表題作のその後-2001・同人誌-)」と「*Sleeping beauty*(表題作のふたりが出逢ったころのある日・今作描き下ろし)」を加え完全版として出されたものです。…

6

サンダイヤル―日時計 小説

杉原理生  宮本佳野 

痛いけどまろやか。

大好きな作家さんです。作品の世界観、ストーリー、キャラクター、言葉の選択や組み合わせが格別に個性的というわけじゃないのだけれど、作家さんの感性そのものに惹かれます。ものの感じ方とその扱い方がとても繊細で、それがきちんと伝わってくる丁寧な物語を描かれている印象です。個人的にボンヤリとBLに求めている、言葉で表しにくい正体不明のキモを表現してくださっている作家さんの一人でもあります。

雑誌に掲…

2

その前の日々 コミック

宮本佳野 

『HYDRA』番外編

同人誌『HYDRA』の番外編。
表紙は竜です、電話の相手は平良ですね。

ここでは、ハイドラ最終話エピローグ直前のある日が描かれています。このとき、竜とヒトミが最後に会ったあの日から6年が経っているようです。本編では、今までのヒトミの気持ちを把握している平良が、大阪にいる竜の電話番号を調べ連絡を取って「そろそろリセットしてもいいんじゃねえ?」とふたり(竜とヒトミ)の再会をセッティングしており…

3

Hello,again コミック

宮本佳野 

『HYDRA』番外編

※以下、内容をだらだらと書いています。

こちらも同人誌『HYDRA』の番外編。ハイドラ最終話、エピローグ少し前のお話だと思われます。すでに社会人(24歳)になっている平良とヒトミのサイドストーリーでもあります(ラストシーンで皆26歳だからエピローグの約2年前かな)。このふたりは、やはりこの時も言葉では表せない関係なんだなぁ。ちなみにこの頃、竜は大阪に。

最初の場面@カフェ。タイトルどお…

4

BLUE FILM コミック

宮本佳野 

『HYDRA』番外編

同人誌『HYDRA』の番外編で、ここでのカップルは「平良×ヒトミ」。Hシーン描写は控えめなものが多い宮本佳野作品ですが、こちらの内容はタイトルどおりにポルノグラフィック。あとがきでは「描きたいと思ったエロの50%ぐらい…」とおっしゃっています、十分エロいと思うんですけどね。

ふたりが大学2年になったばかり、20歳のころ。
場所は例の畳の部屋@平良の実家。

「へっくしょん!」というヒト…

6

FLOWERS コミック

宮本佳野 

3Pではない三角関係

こんな三人関係ありえない、とは思うのですが、でも面白かったです。
全員が全員と体の関係があるという三角関係です。3Pではありません。

互いに互いが全員好きなのが伝わってきて、明るいような、せつないような…節操がない、という意味では確かに苦手な方もいそうな作品だと思います。
主人公の亮は越してきたアパートで、隣室の誠と南野がセフレの関係であると知ってしまいます。自分もゲイじゃないかと長年悩…

5

甘やかな棘 コミック

宮本佳野 

不憫な主人公が…

「手をつないで、空を」に出てきた編集者、八木沢が主人公のお話。
シリーズと書かれていますが、スピンオフという感じでしょうか。
これ単品でも読めるお話です。

手をつないで~での八木沢があまりに不憫だと思っていたので、幸せになるところが見られてよかった。
でも明かされる八木沢の過去がDV、レイプ、心臓疾患…と知れば知るほど重く、作者さん曰く彼は不幸体質なんだそうですが、見ていてもかわいそう…

4

PLEASE -プリーズ-(新装版) コミック

宮本佳野 

売春ものですが

お金のために体を売る涼一と、それを買う高校教師佐倉のお話。
宮本さんの作品は売春がテーマになってるものがわりと多いのですが、涼一は影のある売りボーイというわけでなく、泣く泣く売春しているわけでもなければ性格も明るくて前向き。

こういう話だと体を売るほうの事情とか内面にスポットを当てるのがセオリーな気がしますが、これは買う側の佐倉がゲイであることによる生活面などに焦点があてられています。

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